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総務文教委員会詳報

2009年02月18日

今日は総務文教委員会が午前10時より行われました。以下ご報告いたします。

 

企画課

 

まず「行政評価制度の導入」について事務報告がありました。行政評価制度とは、田川市が行っている事務事業全般について、いわゆるPDCAサイクルに基づいた施策運営を行い、貢献度や優先度について明確にしていくことを目的としています。

 

企画課としてはこの行政評価制度の導入によって、

 

①抜本的な事務事業の見直し

②行政の透明性の向上

③行政資源の有効活用、適正配分

④職員の意識改革と政策形成能力の向上

 

などの効果があると述べています。

 

スケジュールとしては平成21年度に事務事業評価を試行実施し、平成22年度に同じく一部実施、平成23年度に全部実施していきたいと述べています。

 

内容については今後担当課が詰めていくことになるのでしょうが、まず目を引いたのが実施までのタイムスケジュール。3年間もかかることになっています。

 

そもそも行政評価制度は機関委任事務がまだ残っていた1990年代から存在し、専門書や研究者の文献、そして一般市・特別区だけでも420自治体が行っているなど、実績はかなり蓄積された制度です。

 

それを3年もかけてボチボチやるという企画課の姿勢が当該施策の本気度をあらわしているんじゃないか、と思わざるを得ません。

 

また行政評価と言っても、ただ導入すればOKと言うわけではなく、初期投資(人的・物的)においてどれだけ集中するのか、も大きな問題です。しかし今回のようにボチボチ型では結局人の配置はほとんどされず、また予算配置もされないまま、実効性のある行政評価はされないのでは、という危惧を強く持っています。

 

そもそも行政評価にしても事務事業評価にしても、当該施策の評価を実施し場合によっては事業見直しも含め議論がされるという点では、財政当局の査定権限に近い状況になります。その点では、実質的なあたらな査定権限が企画課に委譲されることになるのですが、かなり重要な制度であるはずです。今後の配置人員、資金投下については来年度当初予算に計上されるのでしょうが、特に人員面で充実を図らない限り、実効性のある行政評価にはならないと断言できます。

 

またコンサルに制度設計を委託する形になるのかもしれませんが、だとしたら立ち上げ時の負担はなおさら軽減されるので、実行はより加速度を増すことが可能です。

 

ただ言えるのは、行政評価を行い、当該事業が優先度が低く、貢献度が低いと評価された事業であっても市長(議会)がカットする判断をもてるのか、と言うこと。その点でこの行政評価制度は、評価によって生じる新たな意思決定こそ課題なのです。市長自身がその決断を行うことを自治体の経営者としていとわないと思って、この制度を導入するつもりがあるのかどうか、も大きな評価になると思います。

 

なお構想日本などが行っている「事業の棚卸し」について行うつもりはないか?と問うと総務部長は「事業の棚卸しにかける力を行政評価に持っていきたい」という趣旨の発言をしました。ならばなおさら行政評価の導入を早くすべきでしょう、と私は思います。

 

いわゆるPDCAサイクルに基づく施策運営は私も一般質問で述べてきた問題ですので、今後も注視していきたいと思います。

 

次にホームページ作成・管理システム(CMS)導入について事務報告がされました。これはこれまで企画課がすべてのホームページのデータ更新を行っていたものを当該システムを利用して、担当課それぞれが独自に更新作業が行えるようになるというものです。

 

この制度自体は、早いホームページの更新と、ホームページの中身の充実にはとても寄与する制度ですので推進してもらいたいと思います。ただ担当課によって情報をホームページにアップするのがまちまちだったり、不十分の場合はどうするのか、また今回の目的は情報公開の推進なのですから、その目的を第一にこれまで以上に情報公開を進める観点でのホームページ構築でなければなりません。場合によっては全庁的には情報公開をすべき事項だとしても、担当課からしたら出したくない、と思っている情報についてどういう取り扱いをするのか、などは連携体制について企画課として十分取り組むように要望しました。

 

最後に田川市公の施設の指定管理者の指定の手続き等に関する条例施行規則の一部改正について事務報告がされました。

 

これは例えば市営住宅の浄化槽が新設された場合、他の浄化槽を一括して管理している田川市住宅管理公社が同じく管理したほうが良いと言うのが明確な場合、わざわざ指定管理者選定委員会の開催を求めなくてもよいというものです。

 

しかし他の議員から「特に市長が認めるもの、というような意味の条文が入るとそこで新たな問題が発生するのではないか」という意見が出されました。今回の場合「すでに指定管理者の指定を受けている団体を、当該団体が指定を受けている公の施設と同種で、かつ小規模な公の施設」という一文があるのですが、では「小規模」とはどこまでなのか、「同種」はどこまでなのか、という議論が不明確な状況の中では、市長の恣意的な選定が行う余地が生じるのではないか、という点での問題点なんだろうと思いますし、その点は私も危惧するところです。

 

もちろん今の運営上においては当該規定の追加は有用性が担保されるのかもしれませんが、将来上記の問題が具体的に発生する可能性も否定できないのですから、その点では市の公共物件の管理運営を外部に委託するという重要な案件に今回のような例外規定を設けるのは、あまり好ましいことではないのではないか、と思います。

 

人事課

 

ここではまず田川市特別職の職員の給料の減額に関する条例制定の専決処分に関して事務報告がありました。これは先日発生した田川市・川崎町清掃センターのダイオキシン排出問題について、一連の責任を取って市長が10%、副市長が5%の給与カットを行うもので、すでに今年1月29日付けで専決処分を行っています。

 

私としてはどういう状況であれ、専決処分を用いるのは極めて限定的でなければならないと思いますし、今回の人事課の資料にもある「議会を召集する時間的余裕がなかった」という言葉だけで専決処分を行うのは、議会運営全般において好ましいことではないと思っています。

 

次に、本市経済緊急雇用対策の失業者支援等に伴う臨時職員の雇用について事務報告がされました。

 

今回1次、2次募集を行った結果、総勢7名(男性6名、女性1名)が臨時職員として採用され、事務に当たっています。任用期間については本年3月31日までとしていますが、継続については別途検討と言うことです。

 

今回の場合、本来なら離職証明書が発行される解雇等の人が対象ですが、自主退職扱いの方も3名雇用しています。これは話を聞く限り、雇用保険未加入だったり、国等からの補助金を職員解雇した場合打ち切られる等の問題から、自主退職扱いにさせられたという事例だったそうです。また経済的に苦しい方には例外的に給料を日払いで支払っているとのことでした。

 

このような柔軟な運用自体はとても評価すべきものだと思います。ただ行っているのかもしれませんが、自主退職の強要や労働保険未加入は労働基準法違反ですから、その点について疑問がある場合は市役所で行っている行政書士相談等への紹介等も一緒に行うなどもしてほしいと要望しました。

 

総務防災課

 

福岡県共同公文書館の設置について事務報告がされました。これは福岡市、北九州市を除いた県内市町村及び県の公文書について適切に管理していく建物の建設を平成24年秋を目標に実施するもので、3月議会でそのための条例改正案を提出するとなっています。

 

建設予定地は筑紫野市にある10000平方メートルの県有地。建設事業費は約30億円、管理運営費は念に1億4千万円。市町村が負担する分が財団法人福岡県市町村振興協会(宝くじの収益金で運営)が全額助成するというものです。

 

しかし、収蔵規模は県及び当該市町村の30年分の収蔵規模しかないのに、管理する対象の公文書は明治以降の公文書や行政刊行物を対象とするなど、よく分からない部分がありました。その点について次回までに詳細を報告するように要望しました。

 

ただこういう施設が本当に必要なのかどうかはしっかり見ないといけません。例えば公文書館に持っていく書類も、まず各自治体が1次的選別を行うとされていますが、その1次的選別の事務負担がどれだけなのかもよく分かりませんし、すでに公文書館がある他の自治体ではどのような運営体制(資料の検索を容易に出来るか、個人情報に関連するものはどうするのかなど)なのかも詳細を知りたいところです。

 

税務課

 

税務課からは田川市市税条例の一部改正について事務報告がありました。これは田川市市税条例の中に入っていた国民保険税に関する条文を、国民健康保険税条例という独立した条例にし、業務分担が不明確とされていた点の改善を図ることを目的とし提案す。 

 

しかしどこが変わるのか?と聞いても、実態はほとんど変わらない、という感じの答えでした。ただ雰囲気としては国民健康保険における保険課の責任が明確になるという部分では、窓口でのやり取りも保険課への責任度が増していくのだろうと感じました。

 

ただ委員会で私も改めて述べましたが、保険課と税務課が離れたところにあるということに大きな問題があると私は思っています。第一税務課が2階にある自治体なんてそうそう見ません。一般質問で述べた総合窓口化にも関係しますが、やはり税務課を1階に持っていくための検討をしっかり行う必要があるのではないでしょうか。

 

教育総務課

 

教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について事務報告がありました。これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律で教育委員会の活動や、教育委員会が管理・執行する事務等について点検・評価を行うもので、平成20年度中に報告書の提出が求められています。

 

しかし田川市は平成20年度前期分(9月末日まで)を評価基準日とした報告書を3月議会で提出。平成20年度の全ての中身については今年9月議会までに提出するとしています。

 

この計画については教育委員の内部評価だけではなく、学識経験等外部の方々も含めた評価についても法律には規定されており、外部委員の参加について聞くと参加する方向で進めたいと教育部長より答弁がありました。

 

ただ行政評価でも同じことを述べましたが、評価・点検の結果、それをどのように生かすのかという点まで含めて議論しなければ意味がありません。その点についての充実については今後しっかり見ていかないといけません。

 

文化課

 

世界文化遺産の取り組みについて事務報告がありました。

 

この事務報告の文章の中には

 

「近年の世界文化遺産の捉え方は、単独の資産のみではなく、周辺の関連資産を含めた面的な保存、すなわち文化的な景観を重視しています」

 

と述べているにもかかわらず。

 

「世界文化遺産の取り組みについては(中略)伊田竪坑櫓と二本煙突に対象資産を限る」

 

と述べています。これは面的なものを世界文化遺産では求められるが、田川市としては面での景観の保存はしない、と述べているのに近い内容ですし、これは世界遺産登録への取り組みの根本に関わる問題ではないかと思います。

 

第一、面を重視するのに点に絞るでは、本年8月にも最終決定される「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産の最終確定に残ることすらままならないと感じます。その中で来年度に相当金額の予算計上を予定しているのでしょうから、その予算計上そのものが妥当性があるのか、ということも現状のままでは考えないといけなくなると思います。

 

今回のことでは松原一区の炭坑住宅を残すかどうか、というのが議論の対象になりまし海外の世界文化遺産登録に精通した方々からはあの建物を残すべきだ、とおっしゃっていたとのことでした。

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写真は松原地区ではありませんが、古い炭坑住宅です。今も現役で使われています。

 

しかしすでに法律に基づいて国の補助金も活用して都市計画道路が走ることになっており、松原地区の古い炭住は全て取り壊すことが決定しています。

 

本来世界遺産の性質は、文化財保護の観点も非常に強くあるものです。しかし、今回のように取り壊しますけど世界遺産はください、となるのかどうか。その点が大きな課題です。

 

以上で終わりました・・・

 

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