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2016.09.28 : 平成28年9月定例会(第15日) 本文


◯副議長(佐々木 徹君) 佐々木允君。(拍手)
*佐々木(允)議員質問


◯三番(佐々木 允君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の佐々木允です。今回は、医療的ケア児の支援に向けた本県の取り組みについて以下、質問をいたします。
 まず、医療的ケア児の現状についての知事の認識についてです。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律が本年六月三日に施行され、児童福祉法第五十六条の六第二項の規定が新設をされました。この条文でいわゆる医療的ケア児が初めて法律で規定をされたところです。また同日付で、医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の一層の連携についてと題した通知も各都道府県に送付されています。医療的ケア児は、新生児のとき集中治療室(NICU)を経験した子供が退院した後、たんの吸引や気管切開による人工呼吸器の装着など、日常的な医療的ケアが必要な子供を指します。そのため保護者は二十四時間つきっきりでケアをする必要があります。また近年の医療技術の進歩によって、その数は年々増加をしており、文部科学省の調査では、医療的ケアが必要な児童数は二〇一三年五月現在で二万五千百七十五人、二〇一一年五月では一万九千三百三人でありますから、わずか二年間で約六千人も増加していることになります。
 一方、こういった児童は重症心身障害児に認定されることもありますが、医療的ケアが必要なのにもかかわらず、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、指定難病制度のいずれにも対象とならない子供がいます。気管切開、経管栄養をしていても、歩けたり話すことができるのであれば、障害の認定の関係で障害者に該当しないということになります。このことを踏まえ、重症心身障害児も含めた医療的ケア児や、まさにこの法のはざまでつらい思いをしている子供の現状、法律、制度上の課題等は極めて憂慮すべき課題だと感じますが、本件について知事はどのように認識をしているのかお答えをください。
 次に、医療的ケア児の支援に向けた対応及び連携の確保について質問いたします。法改正や通知では、医療的ケア児の支援のために保健、医療、福祉、教育等の支援関係機関の密接な連携と対応を求めています。現状では、障害者の生活支援を行う相談支援専門員がその役割を担っていますが、医療的ケア児の場合、相談支援専門員と医療関係とのつながりが極めて脆弱であることや、医療的ケアそのものの知識を持っている相談支援専門員の絶対数が不足しているなど、連携体制が不十分であることが以前から課題となっています。以上を踏まえ、知事に四点質問をいたします。
 第一に、市町村に対して、この法改正の趣旨や通知などについて、どのように周知をしてこられたのかお答えをください。
 第二に、法改正や通知の趣旨に合致するような連携体制が内部で進められている市町村は、県内に現在、どれほどあるのかお示しください。
 第三に、医療的ケア児の地域連携については、専門的知見があり障害児施策のかかわりも深い県の積極的なかかわりが欠かせません。県としてどのような役割があり、どのような取り組みを行っているのかお答えをください。
 第四に、現在策定している福岡県障害者福祉計画には、医療的ケア児についての言及がなされていません。計画期間は来年度までであり、間もなく新たな計画の策定作業に取りかかると思います。新たな計画へ医療的ケア児に関する支援を言及する必要性について、知事のお考えをお聞かせください。
 続いて、医療的ケア児の親の就労と保育の保障について質問いたします。医療的ケア児が就学前の場合、障害認定を受けている場合においては児童発達支援事業所が利用できますが、この事業は時間帯が幼稚園とほぼ同じであり、九時から十四時までと短時間となっています。その上、医療的ケア児の受け入れを行っている児童発達支援事業所はそもそも少なく、多くの場合、自宅で親がつきっきりの状況となっています。そして、最初に述べた障害の認定等がされていない医療的ケア児に至っては、児童発達支援事業すら事実上利用ができません。こういった状況から、医療的ケア児の保育体制は県内に全くと言っていいほど整備をされておらず、そのため親の就労というのはほぼ閉ざされてしまっているのが現状です。そして、医療的ケア児が小学生になった後も同じ状況は続き、引き続き親によるケアに頼らないといけない状況となっています。この現状は極めて深刻だと言えます。知事、この状況を率直にどのようにお感じになられるでしょうか。
 第一に医療的ケア児の保育の保障について、第二にその親の就労の支援に向けた県の認識と取り組みについて、知事の率直かつ真摯な答弁を求めます。
 また児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業での医療的ケア児の受け入れの現状についてもあわせてお示しください。
 次に、医療的ケア児に関する実態調査についてです。法律の改正及び通知によって、本県も今後支援に向けたさまざまな取り組みを行っていくことが求められます。そのためには、医療的ケア児の実数はもちろんのこと、その親の家庭状況、支援体制の現状などについて十分把握することが極めて重要です。本県は、重症心身障害児を含む医療的ケア児の状況、障害認定や難病指定などのいずれも対象とならない医療的ケア児の実数、家庭状況などについて現状は把握をしているのか、知事にお答えをください。
 もし把握をしていないのであれば、県として医療的ケア児の実態把握やニーズの調査などについて、ぜひ行うべきだと考えますが、知事のお考えをあわせてお示しください。
 次に、医療的ケア児の教育支援について、まず基本的考えについて教育長に質問をいたします。まず県教育委員会は県立特別支援学校が二十校あり、医療的ケア児も含めた障害児の教育を支えています。その中で、同通知では、教育委員会としての取り組みも同様に示されているところです。まず教育長として、医療的ケア児の教育保障の基本的考えについてお示しください。
 また、医療的ケア児のケアのために現在、県立特別支援学校は看護師を順次配置していますが、具体的な取り組み状況や今後の充実についてもあわせてお答えください。
 次に、公立小中学校の医療的ケア児の現状について質問をいたします。まず、本県には、公立小中学校に通学する医療的ケア児もおられると思いますが、その児童生徒数について、その現状を教育長にお答えをください。
 また公立小中学校へ通う医療的ケア児のケアは教員ではできないため、特別支援学校同様、看護師の配置が必要となります。国は本年度から医療的ケアのための看護師配置事業の対象を、これまでの特別支援学校から公立小中学校にも補助を拡大をしています。この補助を活用している市町村について現状をお示しください。
 その上で、この補助を使っていない自治体があった場合、親が学校に待機をして医療的ケアを行いながら授業を行っていると聞き及んでいます。親の付き添いがなければ授業が受けられないというのは、余りにも親の負担が大きいと言えますし、親が学校に待機するというのは果たして適正と言えるのでしょうか。本件について、教育長の認識及び公立小中学校で医療的ケア児を受け入れた場合は、事業を活用して看護師を配置することの必要性について、その考えをお示しください。
 最後に、医療的ケア児の通学支援について質問いたします。医療的ケア児に対する支援において大きな課題となっているのが通学手段の確保です。事実、滋賀県教育委員会が行った医療的ケア児童生徒通学支援研究事業では、医療的ケア児童生徒の五二%が往復の送迎を保護者が担っており、聞き取り調査でも多くの親が、普通学校と違い長距離の送迎となってしまう特別支援学校の送迎に関して、その負担軽減を訴えていました。以上を踏まえ、まず県立特別支援学校において、医療的ケアを必要とする児童生徒のスクールバスの対応及び、スクールバスに乗車できない医療的ケア児童生徒についてはどのように通学しているのか、現状をお示しください。
 また通学に関する親の負担について教育長はどのように認識し、また先進事例等を参考に、本県としても何らかの検討を行うことはできないのでしょうか。通知にある利用者目線ということを十分に認識した上で、教育長の真摯な御答弁をお願いいたしまして質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)


◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。
*知事答弁


◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず、医療的ケア児の状況でございます。病院のNICU等を退院後、人工呼吸器、喀たん吸引、あるいは経管栄養などの医療的なケアを引き続き在宅で行います場合、御家族には常時介護の大変な御負担が生じている、このように認識をしております。平成二十三年の改正後の障害者基本法では、日常生活で支援を必要とする医療的ケア児も障害者に該当すると、このようになっておりますけれども、一方で、障害福祉サービス給付は障害者総合支援法及び児童福祉法によりまして、その適用対象が身体、知的、精神各障害者手帳の保持者、発達障害児者及び三百三十二の指定難病患者に限られておりますため、医療的ケア児の中には、障害福祉サービスを受けられない方がおられます。
 関係機関の連携の確保でございます。ことしの六月の児童福祉法の改正によりまして、私ども地方公共団体は保健、医療、福祉、その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制整備に関し、必要な措置を講ずることとなりました。この通知を受けまして、県におきましては市町村を集めた会議、これを開催をいたしまして、障害者自立支援協議会などをその意見交換や情報共有の場として活用するよう促したところであり、また、あわせて法の趣旨を周知したところであります。現在、協議の場を設置いたしておりますのは、久留米、直方、八女、行橋の四つの市となってございます。県といたしましては、市町村がそれぞれの状況に応じた支援の内容、その提供方法を検討することができるよう、個別支援内容をコーディネートできる人材の育成に取り組んでまいります。現在、国において障害児支援に関する基本指針、その検討がなされておりまして、そこで示される医療的ケア児の位置づけ、これを来年度私どもが策定をいたします第四次福岡県障害者福祉計画に反映させてまいります。
 次に、医療的ケア児の保育の保障と親御さんの就労についてでございます。一般の保育所は、保護者の労働または疾病等により家庭において必要な保育を受けることが困難な子供の保育を実施することを目的といたしております。一方で、児童発達支援や放課後等デイサービスの障害児通所支援は、在宅の障害児に対し療育、また生活能力の向上のために必要な訓練などを実施することを目的といたしておりまして、親のフルタイム就労を目的としたものとなっておりません。親のフルタイムでの就労を可能とするためには、医療的ケア児の受け入れ可能な保育施設の整備が必要となります。その際、医師、看護師そういった専門的な人材の確保、また運営にかかわる経費など、実現に向けての課題は大きいものと考えております。
 医療的ケア児の受け入れの現状でございますけれども、ことし五月に児童発達支援事業及び放課後等デイサービスを利用した障害児のうち、看護師によるケア等をお受けになった障害児は、五十九事業所で延べ三百四十九名となってございます。
 医療的ケア児の実態把握についてでございますが、医療的ケア児の数につきましては、平成二十六年度に医療機関を対象に調査を行い、長期入院及び医療型児童施設に入所しておられる方々の数と、在宅で病院、診療所の管理のもと、人工呼吸器や経管栄養などの医療を受けておられる方の数を把握したもので約六百人、このように推計されております。この人数は身体障害者福祉法など法律の対象となっているかどうかにかかわらず、医療的ケア児の全体数を把握したものでございまして、その家庭状況についても把握はいたしておりません。来年度策定をいたします第四次福岡県障害者福祉計画におきまして、医療的ケア児についての考え方を整理することといたしておりますので、その実態についても把握をしてまいります。


◯副議長(佐々木 徹君) 城戸教育長。
*教育長答弁


◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県立特別支援学校における医療的ケア児への支援についてでございます。県立特別支援学校においては、校内で経管栄養やたんの吸引等の医療的ケアを必要とする児童生徒は、十五校に七十四名在籍しております。こうした児童生徒の教育に当たりましては、従来保護者が校内に待機して医療行為を行っておりましたが、その負担の軽減を図りつつ、安全、安心な教育環境を整備する必要があるという認識のもとに、現在二十八名の看護職員を配置しております。今後とも対象となる児童生徒数に応じた看護職員を配置し、医師の指導、助言のもと、適切な医療的ケアを実施してまいります。
 小中学校における医療的ケア児への支援についてでございます。昨年度の調査によりますと、小中学校において日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒は十の市町村に十二名在籍しておりますが、看護師の配置は現在一名のみであり、それ以外は保護者が対応しているものと考えられます。小中学校においても県立特別支援学校と同様、医療的ケアを必要とする児童生徒に係る安全、安心な教育環境の整備は重要でございます。本年度から小中学校への看護師配置に係る国の補助制度が創設されたことを踏まえまして、ニーズに応じた制度の活用を市町村に働きかけてまいります。
 医療的ケア児のスクールバス利用についてでございます。スクールバスにつきましては、乗車する児童生徒全員の安全を確保するとともに、バス停等で長時間待たせることなく定時運行することが重要であるため、たんの吸引などの突発的な対応を要しない児童生徒のみ乗車を認めております。これに伴いまして、保護者等による送迎が必要な児童生徒は六十名程度いるものと見込まれます。今後、こうした送迎に係る負担の状況を把握するとともに、医療的ケアに関する運営協議会等において医師の助言を仰ぎながら、バス利用のあり方や福祉サービスの利用等について協議をしてまいります。


◯副議長(佐々木 徹君) 佐々木允君。


◯三番(佐々木 允君)登壇 御答弁をいただきました。要望及び一点再質問をいたします。
 まず、医療的ケア児の親の就労と保育保障について知事は、医療的ケア児の親の就労が難しい現実を認識しつつも、実現に向けての課題は大きいということを述べるにとどまっています。課題は大きいとうなずくだけではなく、その課題にどう向き合うかが私は知事の責務だと思います。ましてや、国は一億総活躍社会と言っていますけれども、医療的ケア児の親はこれでは活躍できるはずもありません。そして、知事は幸福度日本一という目標を掲げていますが、それは県民全体の平均値のみを見ればいいわけではなく、医療的ケア児やその親といった厳しい家庭環境に置かれている人にこそ、幸福を実感してもらうために行政の光を降り注ぐべきだと思います。実態調査の実施や計画への盛り込みなど、新たな取り組みも表明もいただきました。医療的ケア児に関する支援を待ちの姿勢ではなく、主体的に積極的に取り組んでいただきたいと強く要望をいたします。
 また、保育保障に関する経費の課題についても言及をされました。そもそも法律をつくった国の責務として、法とともに予算や制度づくりも早急に進めていくべきだと思います。知事は、国にその点を強く要望をしていただきますようお願いをしたいと思います。
 なお、医療的ケア児の保育の保障と親の就労について、認識については御答弁をいただきましたが、今後の取り組みについての御答弁がなかったように思いますので、この点についてどのように取り組むのか、再度答弁をお願いをしたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)


◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。


◯知事(小川 洋君)登壇 医療的ケア児の保護者のフルタイム勤務に向けてでございますけれども、この課題の解決には、先ほど御答弁しましたとおり、ケア児の受け入れ可能な保育施設の整備が必要になります。課題の認識まで述べただけで今後の取り組みについて入っておりませんでした。そのため、私といたしましては、先ほど述べた医師や看護師、そういった専門的な人材の確保、運営にかかわる経費など、制度の充実に向け国に働きかけをしてまいります。

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