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鉛筆が短くなっていることが嬉しい

2018年01月08日

 今日は、飯塚市のコスモスコモンへ。
 「みんなの学校 木村先生と考えよう!これからの学びin飯塚」に参加しました。
 これは、大阪市立大空小学校を舞台に、「みんながつくるみんなの学校」「全ての子どもの学習権を保障する学校をつくる」を合い言葉に取り組んだ木村泰子元校長の講演と、映画「みんなの学校」の上映会、そしてその後の交流会が行われました。
 大阪市立大空小学校では、障がいがある子どもも、通常学校にある「特別支援学級」は存在せず、障がいのある子どもも含めて同じ学級内で学びます。
 今、インクルーシブ教育いう概念があります。障がい者権利条約ではこれを
「人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な機能等を最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的 の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み」
 と規定しています。
 障害のある者が一般的な教育制度から排除せず、共に学ぶシステムづくりを目指しており、文部科学省でも提唱されています。
 一方、近年特別支援学校に通う生徒は大幅に増えており、福岡県内でも新設校の設置を始め、特別支援学校に関するハード面の整備が進められています。
 しかし、特別支援教育を始め、障がいのある子どもと、そうではない子とを「分断」する教育は、子どもの発達に強烈な「障がいのある人はかわいそう」という概念を植え付けるのではないか、と思います。また木村さんも同様の事を仰っていました。
 また、私はそれが加速したのはやはろ「全国学力・学習状況調査」、いわゆる「全国学テ」だと思います。この点についても木村さんは「そもそも学テは教員がテストの結果から、教育内容を振り返るものとしてやってきたもの。しかし、現在は『この学校は何位!』ということばかりが追いかけられる。そもそも障がいのない子どもを基準とした試験内容になっており、最低でも大空小学校にはいらないと感じていた」と述べています。
 しかし、大空小学校は他の学校と属性上特別に違うものがあるわけではありません。ということは、大空小学校に限らず、全国的にもこの全国学テは大きな影を落としているのだろうと感じました。
 考えてみれば、よく分かります。学テで何位!というを見るとすれば、それは平均点ですから、100点の子がいても、0点の子がいれば平均50点になります。何位が大きな指標になるとすれば、やはりそれをあげるために、成績が低い子を排除する傾向になるのは、どうしても起きてしまう現象だと感じます。
 映画の場面でも、子どもが答案に「分からへん」と書いたことを隣の子が諭したら、けんかになったという場面がありました。
 その後先生は「この子にとっては分からへん、でいいんやで」と諭した子どもに言っています。しかも分からないと書いた子どものこれまでの生き様などを披瀝しつつ「できる子を基準にしたらいけん」という内容の言葉を述べていました。
 「分からない」と言えないまま、どんどん落ちこぼれていく子どもは、きっと沢山いるはずです。でも分からないと言える環境って、意味があるんだ、と強く感じました。
 
 そのほかにも映画で「人を信頼しなさい」と諭す木村さんの姿は、大人同士にも当てはまるな、と感じました。また映画で出てくる先生方は、どんな悪い子でも、小さな良さを見つけては「素晴らしい!」とか「偉い!」と褒めていました。自己を評価してもらうことのうれしさは、当然大人の我々もある事ですし、子どもはその割合が格段に多いはずです。
 また、他の学校では不登校になっていた子が、大空小学校で学校に通い続けられるようになった場面の中で、そのお母さんが「鉛筆が短くなっているだけでもうれしい」という言葉が最も印象的でした。
 すべての子どもに学びを保障する、というのはこういうことなんだ、と目頭が熱くなりました。きっとなにか大きな一つではなく、細かい成功を積み重ねて、大きな石垣にして行くことが、これらの教育では特に意識しないといけないことなんだと感じました。
 
 ただ、私は県議会議員。「大空小学校はすばらしい」「木村先生のリーダーシップはさすが」と思うだけではいけません。
 やはりこのような充実した教育のためには、教職員の質と量をどのように確保するか、そのことがとても大切です。福岡県教委は、ようやく重い腰上げ、現在正規教員率が全国ワースト2位になっている状況を変えるため、現在正規教員の採用を大幅に増やしています。
 ただ、インクルーシブ教育については、かなり停滞しているように思います。特別支援という分断ではなく、地域の子どもを地域で育てる、という概念のもと、インクルーシブ教育の推進に向けて、全力で取り組んでいくために、私も政策提言をしていこうと思っています。
 また、先生自身の学びと気づきの機会をもっとつくるべきです。そして、することが目的のような研修会はどんどん排除していくべきです。働き方改革の中でもしっかり言っていこうと思います。
 教育関連予算を見ても、これでは従来備品の更新もままならない状況、という部分も多数あります。教育予算の確保と拡充に向け、しっかり県議会で財政当局と訴えていかなくてはなりません。
 
 学校現場は日々大きな変化の渦に飲み込まれ、その上2020年の教育指導要領大改訂で、小学校現場に英語教育が入っていくなど、ますます様相が変わります。
 これからも教育現場の声をたくさん頂きながら、よりよい教育のため、対話し続けたいと思います。
 長文を読んで頂き、ありがとうございました。


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