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議会視察1日目 東京・台東区デザイナーズビレッジ

2013年10月23日

 今日から3日間、総務文教委員会の行政視察で東京と山梨を回ります。

 まず今日は東京都台東区にある「台東区デザイナーズビレッジ」を視察しました。

 台東区は上野駅や浅草など東京の観光地を抱える地域ですが、元々下町で問屋街や靴、食器、おもちゃ、バック、帽子などの職人が沢山いた地域でした。しかし、職人が減ってきており、東京都23区の中で事業所密度は3位ですが、廃業も1位となっています。

 このデザイナーズビレッジの運営については、村長の鈴木さんが一手に請け負っているようでした。鈴木さんは元々繊維業界で働いており、この廃校利用によるデザイナー育成については、公募に応募してきまったそうです。

 この施設の創設は平成16年。約1億8千万円をかけて改修しています。元々建物も昭和3年に建てられた歴史のある建物です。

 デザインビレッジの特徴としては、デザイン部門に特化したものになっており、特に廃校利用によるものではここが初めてとのことです。また問屋街ということもあり、自転車で走り回れる範囲で材料が買える上、職人がいることや、個室に加え共同作業スペースもあるのも特徴です。

 入居者の要件としては、創業5年以内の方で、この施設には最大で3年間入居できるとのことです。

〇ハード面

初めての事務所で低廉な家賃、共同スペース。家賃は相場の三分の一

ネットワーク

入居者同士の交流、女性が9割。平均年齢32歳。助け合いの精神。

卒業生の交流

地元企業との交流

〇ソフト面

マーケティング支援(村長はカネボウ出身)

商品開発や営業、販促支援

そこからうまれる様々なチャンス

メディアからの取材

流通からのオファー
 


 開始当時は、低廉な家賃に飛びついた人が多く、成長意欲に課題があったりしたそうです。そのため、第2期募集では、成長意欲をしっかり面談等で打ち合わせるようにしています。最

 また当初は4割ぐらい男性がいたのですが、今は9割が女性とのことです。

 そして、個人的には一番の特徴だと感じたのは、この施設に入居する方は、その場所で小売りをするのではなく、卸売りの販路を3年間で確保していくということです。他の施設はまず小売からはじめる方が多いのですが、そうなると、人が来ないと回らなくなる形と成り、結局長続きするという点で難しいとのことでした。3年間でしっかり販路とネットワークをもち、それをもって地域に飛び出していくというコンセプトは、今後のこのような施設運営では大きなヒントになると思います。

 また入居者に山梨県へ宝石研磨の技術を見てもらったり、縫製工場をみたりすることでものづくりの関心を高める取り組みなどを行っているそうです。

 卒業生の中には、陶芸やステッチなどでかなり有名になった方もたくさんおり、現在50組の卒業生のうち23組が台東区内に作業所を構えているとのことです。

 デザイナーズビレッジのイベントとして近年大きく注目されているモノとして、「モノマチ」という取り組みがあります。これは、デザイナーズビレッジの方と地域との交流を目的にはじめたものです。

 第1回のモノマチは平成23年年5月に開催。113組の方々が関わりスタートしたのですが、約1万人が圧エーエム李、近隣にある佐竹商店街は「30年ぶりに賑わった」というような活況ぶりだったそうです。

 第2回のモノマチはその半年後の金曜と土曜に行い、飲食店32、クリエイター114など223組が参加しました。

 ただ、中心は盛り上がったが、地域全体が盛り上がらなかった点が課題として、第3回モノマチでは(242組が参加)ものづくりの会場を3会場にし、学生による太鼓演奏や、JALとの連携、そしてまちじゅうでワークショップなど、ものづくり体験を行ってもらったそうです。

 第4回モノマチでは405組。駅を出るとボランティアがつき、人が溢れ、約6万人もの方々に参加してもらったそうです。職人見学ツアーや、ワークショップ、小物作りも沢山行われました。おかげで地域全体の連携も強化され、今ではものづくりを起点に、また卸の店を連携しつつ、盛り上げて行くため、今後年間を通したまちづくりをするための活動に進化していく予定とのことです。

 台東区南部地域が、職人とデザイナーやものづくりで人を集め、クリエイターの街にしていきたいと鈴木さんは意気込みを語っていらっしゃいました。その中心的なインキュベーション施設として今後のデザイナーズビレッジは大いに注目されると思います。

 入居者は3年に一回卒業で現在は、毎年入居者判定を行い、更新する方式としています。残念ながら創作意欲に欠ける人は出て行ってもらう方式にして、緊張感を持たせているとのことでした。

 またこの場所を鈴木さんは、「成長期から安定期にはいるまでの場所」として位置づけていますが、最初はそのコンセプトになるために、かなりの苦労をしたそうです。そもそもこのような施設は単なる貸しビル方式が多く、ここも最初はその方式を基準とした制度設計になっていたそうですが、残念ながらそれでは成功しないと感じ、卸売りや様々なコミットメントをする方式としてつくっていったそうです。そこにはやるからには成功させるという強い信念を感じました。

 この鈴木さんに支払っている委託料は780万円プラス消費税で、多の運営費全体で言えば、年間で2600万円程度かかっているそうです。時間貸しの駐車場収入や家賃を足せば、若干黒字が出るぐらいとのことでした。モノマチのイベントは1000万円程度かかっていますが、殆どを協賛金や参加費でまかなっているのも印象的でした。

 この施設を見て、というよりこの鈴木さんという方が確実にキーマンであり、やはり運営面をいかにしていくかが課題であると感じました。田川市にも来年4月には2つの廃校をかかえることになります。同様の取り組みが出来ないのか、色々私なりにも考えてみたいと思います
 




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