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「船尾小学校の統廃合の反対に関する請願」の不採択に対する反対討論

2007年12月05日

以下は討論の全文です。下の部分には講評を書いています。

 

 社民党市議会議員団を代表して「船尾小学校の統廃合の反対に関する請願」に賛成し、総務文教委員会の不採択に対してこれより反対討論を行います。

 

 まずこの請願は、船尾小学校を後世にまで残してほしいという、船尾校区の地域住民、父母、そして現在船尾小学校に通学している小学生の切なる思いであるということを、改めて確認したいと思います。そして私が発言するより、請願者こそこの壇上で心のそこから訴えたいと思っていることでしょう。その思いもこめてこれより発言をいたします。

 

 まずこの請願には最も重要な項目として「船尾小学校の統廃合を中止し、船尾小学校を存続させること」が上がっています。しかしこの審議を行っている最中にも関わらず、教育委員会はさる11月9日の定例教育委員会で平成21年度より船尾小学校を弓削田小学校へ統廃合するという結論に至っています。そしてその論拠を「教育委員会としての統合決定の論拠」として示しています。

 

 このことと今回の請願との関連性は、言うまでもなく密接に関連しています。例えばさる11月19日の総務文教委員会において学校教育課が提出した「『船尾小学校の統廃合の反対に関する請願』に関する資料」にも「教育委員会としての統合決定の論拠」を添付しています。このことからも、この請願と現在進められようとしている船尾小学校の統廃合とは完全に連携していることが、学校教育課からも示されたわけです。

 

 この論拠について一つ一つ申し上げることはいたしませんが、この統合決定の論拠には、明らかに意図的とも言える説明が列挙されています。

 

 例えば論拠の複式学級の解消では「授業時間が通常の学級の2分の1しかとれていない」と言っています。しかし現在船尾小学校では加配教員の配置により理科や算数、社会、国語の一部で既に別々の授業が行われており、この説明は現状を全く表したものではありません。

 

 また「適正な学校規模による教育効果」に「過小規模の学校では~」という一文があります。これはこれまでの説明でも船尾小学校のことを過小規模校と既定しますが、現在この言葉は福岡県教育委員会も用いておらず、公的な定義として「過小規模校」という言葉は、我々が調査した限りでは確認されませんでした。では、なぜ「過小規模校」の言葉を多用するのか。おれは船尾小学校が特殊な状況であると誇大に表現するためにあえて用いているとしか思えません。

 

 またこのことは「年間1600万円の経費の節減が見込まれる」という論拠にも当てはまります。もし小学校が統廃合された場合、地方交付税より838万5千円が減額されることになります。また仮に統廃合後、学校を社会教育施設等で維持すると、光熱費等で相当のお金がかかることが予想されます。このことからも統合による財政効果はほぼないと言えますし、このことはすでに田川郡の小学校の統廃合の事例からも実証済みです。

 

 他にも、この論拠のほとんどに明らかな疑義がある、と我々は考えており、その点からも教育委員会が示す統合決定の論拠は、船尾小学校の将来像などを考えておらず「とにかく統合したい」という教育委員会の姿勢が明確に示された「賛成のための賛成」にほかならない、と思います。

 

 また違った点で指摘をしていきます。学校教育課が示した「『船尾小学校の統廃合の反対に関する請願』に関する資料」には「地元住民とのコンセンサスを得るために」という一文があります。しかし、11月19日の総務文教委員会での学校教育課長の発言では「地元のコンセンサスを得たわけではない」という趣旨の発言をしています。ようするに、今回の統合決定は、地元のコンセンサスも得ずに行ったということであり、これは明らかに地元無視の統合決定であると、11月19日の総務文教委員会で示したことになります。

 

 また、教育委員会は統合決定後1年かけて地元や保護者の合意を得る努力をするといっていますが、11月9日の決定からすでに1ヶ月近くたっても、説明会は行なわれてはいません。正確には5月24日の説明会を最後に半年以上行なわれていません。このことも地元無視の統合決定であることの充分に示す材料になっています。

 

 請願が示している少人数指導のモデル校も、本市の教育委員会が示す特色ある学校づくりにしっかり合致します。実際多くの保護者や教職員から話を伺うと、保護者や教職員からは「子ども達は天真爛漫としている。元気があってイキイキとしている。小規模校の良さは縦割りの班活動で、学年同士で協力し合い、上級生はリーダーシップを養い、下級生は上級生を見て目指すべき姿を養っている。少人数だからこそ子ども達の問いかけにしっかりと答えられる、保護者とも時間をかけて話ができる。情緒豊かな子ども達が育っている。大規模校のよさもあるが、小規模校にはそれに負けない良さがある」と意見を頂いております。

 

 様々な規模や形態の学校がそれぞれの特色をいかした学校運営を行うことで、特色ある学校づくりが可能となり、それがモデル校としての役割も担っていくと確信しています。船尾小学校での教育実践を今後に生かす意味でも、船尾小学校を少人数指導のモデル校として支援し、その教育実践の成果を積み上げていくべきです。

 

 今回の統廃合で大きな問題になっているのが、複式学級に関してです。その件に関しては、昨日私たち社民党市議会議員団と保護者の代表の方々とともに福岡県庁に行き、県の教育委員会の複式解消教員をつけていただくよう強く要請してきたところです。教育委員会は「複式学級が最悪の教育条件」何度も述べてきましたが、そうであるのなら、そもそも複式学級の解消を最優先課題にするほうが先ではないのでしょうか。学校統廃合の問題と複式学級の問題とはそもそも別に議論すべきです。統廃合のために無理やり同一に議論をする教育委員会の姿勢に大きな疑問を感じます。

 

 また昨年6月、前議会の会派の視察で我が社民党市議会議員団のメンバーである石松・香月両議員が長崎県内の複式学級を視察しました。長崎県は離島が多いことから、県内の小学校の4校に1校が複式学級であり、複式学級の研究実践も大変進んでいます。2つの小学校に行き、実際に授業を見学しながら質問した中では、授業時間が半分になるとか、体育や理科の実験で制限されるとか、国語の音読が出来ないとか、そんなことは全くなかったと聞いています。子ども達は複式学級でしっかりと力をつけているし、教師も複式学級を担任することにより、教員としての力をつけています。単式学級と複式学級とどちらもある学校では、保護者は複式学級に子どもを入れたがっているという、驚くような実態もあったようです。このことからも工夫次第でどうにでもでき、むしろ複式学級には十分な可能性があることを実感したとのことです。

 

 これから少子化が着実に進行する中、市内の別の小学校でも複式学級が出てくるかもしれません。「複式学級は子ども達にとって最悪の教育環境だから統廃合する」ということなら複式学級になれば次々と統廃合を進めていくのでしょうか。船尾小学校での教育実践を今後に生かす意味でも、船尾小学校を少人数指導のモデル校として支援し、その教育実践の成果を積み上げていくべきです。

 

 最後に、「学校統廃合の社会学的研究」の著者、若林敬子東京農工大学教授は結びの部分に「地域社会から学校を奪うことは、そのごどのような立派な施設をつくってみたとしても学校にかわりうるものではない」と述べています。船尾小学校はすでに50年の歴史のある学校であり、充分地域文化圏・生活圏として確立している地域です。「船尾小学校の統廃合の反対に関する請願」は地域コミュニティーをまもりたいという船尾校区からの訴えでもあるということを、私たち社民党市議会議員団は受け止めています。

 

 以上の点から、社民党市議会議員団として「船尾小学校を存続させてほしい。少人数のモデル校として推進して欲しい」という「船尾小学校の統廃合の反対に関する請願」の主旨に賛成します。よって総務文教委員会の不採択という決定に反対します。以上で反対討論を終わります。

 

 今回は総務文教委員会の報告が不採択だったことに、議会として賛成するか反対するか、ということなので、我々は不採択に反対の立場なので、反対討論となりました。

 

討論では、反対討論を柿田議員、佐々木、陸田議員が、賛成討論を梅林議員がそれぞれ行い、採決の結果、

 

賛成15  反対6

 

の賛成多数で、請願の不採択は可決、不採択が決定しました。 

 

講評・・・

 

今回の原稿は、前日の夜中までかけて練り上げたものですが、もっと総務文教委員会での担当課の議事録などを参考すべきだった、という反省もあります。

 

しかし、討論でも述べたとおり「教育委員会としての統合決定の論拠」は他にも「賛成のための賛成」を証明するかのような内容がたくさんあります。

 

またそれ以前に、今回示したように住民説明会は5月24日以降半年以上全く開催されていません。しかももっとひどいのは統合決定をした11月9日以降1ヶ月近く住民説明会の予定すら決めていないこと。

 

この動きで、教育委員会や担当課の今回の統廃合の姿勢がよく見えてきます。それは

 

住民が入るとうるさいから、勢いに乗せてどんどん進めてしまおう。住民が言ってきてもどうしようもないぐらいの段階で、説明会をしよう。

 

ということだと私は思います。

 

それを裏付ける最も明確な理由は、今回12月議会に中途提案される船尾小学校の統廃合に関する条例改正案の上程です。

 

これまでの住民説明会は、あくまでも「審議会の答申に対しての説明です。教育委員会としての方針ではありません」と何度も担当は言っています。

 

ということは、

 

今回の統廃合の決定に関する地元説明会は一度も行われないまま、統廃合の条例改正案を上程している。 

 

ことになります。

 

もし今議会で統廃合の条例改正案が可決成立したら、「教育委員会としての統合決定の論拠」を一度も説明することなく、船尾小学校は統合されることが決定します。ようするに「住民が言ってきてもどうしようもないぐらいの段階で、説明会をしよう」という言葉に合致します。

 

これ以上言いませんが、これが今回の船尾小学校の統廃合の執行部の姿勢です。住民にとって重要な施設である小学校を、住民無視で決めようとする執行部の姿勢によって、今後の船尾校区や地域住民の行政不信は計り知れないぐらい高くなると思います。

 

この動きが、当選時に「教育を重視する」を言いのけた市長がいる市なんでしょうか。

 

今日の決定は本当に残念でした。前日夜中4時までやっていたので疲れもあったのか、終わると倒れるように座ってしまいました。。。

 

しかし、これからが第2ラウンドです。めげずにがんばります。

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