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示すべきは、長期的な視点

2009年07月29日

今日は議員研修会が開催されました。テーマは「田川市の財政状況について」。議員研修会というのは私が市議会議員になってから初めてじゃないかと思います。講師は財政課の米田課長が行いました。

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なんかしかめっ面ですが、真剣に聞いているので、決して課長に「いらんこと言ったらしょうちしないぞ」とガンつけているわけではありません(笑)

 

簡単に概略を言うと以下のような説明がありました。

 

○予算に対する支出は毎年2億円~8億円の赤字となっている。赤字部分は昨年度の繰越財源や基金の取崩しでまかなっている

○平成20年10月に作成した中期財政見通しより改善はされているものの、平成23年度から基金の取崩しができなくなり2億1700万円の赤字が発生し始める。

○23年度以降は毎年赤字決算になる。

○公債費比率16.4、起債制限比率:11.4、公債費負担比率:19.5

○平成20年度地方債負担比率:288億8439万2千円

○経常収支比率は平成20年度101.7%となった。予算を組んだ時点であるお金はすべて羽がはえてしまっている状態となっているし、足りない状況になっている。

○一部事務組合等の職員の人件費も含めた人件費比率は類似団体トップクラス。

 

言葉が難しいので分かりにくいでしょうが、すべての項目で厳しい数字が出ていますし、平成25年度以降はますます財政状況が悪化することが予想されます。

 

財政悪化の理由については以下のような理由が述べられました。

 

○人件費比率の高さ

○過去の建設事業の公債費(借金)返済

○扶助費(生活保護、介護保険等)の負担の増加

 

などがあげられています。

 

田川市の高齢化率は日本の平均の5年~7年先をいっている状況ですし、生活保護は全国平均の4倍以上になります。人件費負担も給与水準をはかるラスパイレス指数から見ても全国の自治体に比べ高い数字で推移しています。

 

人件費比率については定員適正化(私はもう限界ではないかと思っています)、建設事業の公債費関連は低利なものに借り換え、扶助費増加は総合的な就労対策、健康対策などがありますが、抜本的に健全会計になるというわけではないだろうと思います。

 

しかし自治体財政における5年程度の短期的な数字は、国の地方交付税や国庫補助金など依存財源を頼りにしている田川市ではクリアな指標ではありません。事実毎年の地方交付税の算定で左右されます。その点では一定の方向性は見えますが、正直この数字だけでなんとも言えないのが現実です。

 

このことからも財政当局に必要なのは、このような短期的数字の羅列だけではなく長期的視野にたった財政動向の方向性の明示ではないでしょうか。

 

田川市は今後

 

○広域下水道など下水道計画

○新ごみ処理場の負担費

○田川市立病院が仮に独立行政法人化になった場合の負担金

○5000戸にも及ぶ市営住宅の経年劣化対策

 

など短期的(私の言う短期的は10年程度)に見ても多大な財政負担を強いる事業が目白押しです(田川市立病院の独法化を支持しているわけではありませんが)。

 

また最も重要な視点は人口減少です。今後毎年のように財政出動が必要な高齢者層が増える一方、財政を支える現役世代の減少します。このことからも財政悪化は加速度的に進むのは明白なのです。

 

財政は自治体経営の根幹部分です。この点をしっかり押さえ、長期的視野に立ち持続可能な自治体経営のために、財政の観点から今何をすべきで将来になにを残すべきかをしっかり提示することが必要なのです。上記の部分は市長の部分が多いので、財政当局はまず客観情勢だけでもいいのでぜひ示してください。財政当局の真価がいまこそ問われています。

 

しかし本当にこのような人口問題も考え、財政状況を見ていく視点が全体化しているとは到底いえない状況でもあります。一部議員からは「財政調整不可の特定農業施設管理基金約70億円を取り崩すことも条例改正で可能だろう」や「平成25年度以降は公債費返済が楽になるだろう」、「国からの財政援助が見込まれる」という意見がありました。それも意見のひとつとは思います。

 

しかしこれからも田川市は20年、30年とあり続けます。その中で確実に財政悪化が続き、財政負担も確実に増えるのが確実の中で、短期的な数字を追いかけ全体化するのは極めて危険だと思います。

 

また「虎の子の特定農業施設管理基金があるから大丈夫!」という思いの方もいるかもしれませんが、それではもうぺんぺん草も生えないぐらいまで貯金を取り崩して、その後市営住宅の立替をお願いします、下水道整備をお願いします、高齢者福祉をお願いします、なんて到底できるはずがありません。この基金の取崩は極めて慎重になるべきですし、財政課長も「想定していない」と述べています。その通りで、財源調整不可の基金部分まで取崩は「想定外」であり「想定内」で物事を進めてはいけないのです。

 

いま行うべきは、次の世代にも継続できる自治体にしていくために我々議員はどうすべきか、だと強く感じました。

 

なお田川市立病院経営形態検討委員会については明日中に報告します。

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