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法政大学勉強会1日目(長文)

2009年10月17日

今日は法政大学大学院政策創造研究科主催の

 

「地方議員のための政策創造講座 自治体政策における議会の役割 地域づくりの政策と議会イノベーション」

 

という長い名前の2日間講座に参加するため

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飛行機で東京へ。

 

今日は3つの講座を受けました。

 

まずは大学院政策創造研究科長の岡本義行教授による「地域づくり戦略と議会」の講義。

 

まず現在の日本経済や国際競争力に関しては、現在、加速度的に減少し、それもこれから続く可能性があることを述べた上で、新たな経済成長の方向を特に地方都市や中山間地が積極的に進めなければならないと訴えました。

 

その中で単なる大規模生産性のあるものだけではなく、技術力やコーディネートなど知識分野におけるビジネスモデルを追求することが重要であり、そこにおいては地方や都会といった地理的な問題はほとんどないのではないか、とおっしゃっていました。

 

また企業規模も関係はなく、むしろ中小企業こそ大きな価値があると付け加えています。

 

しかしそれらをコーディネートする人材が地方にいない、もしくはつながりあっていないことが大きな問題だと説いています。例えば、紅葉の葉っぱを一つの地域経済の柱にし大成功を収めている徳島県上勝町にしても、そこにある方がしっかり道筋を築いてきたからにほかなりません。事業化までの道のりをしっかり人材育成もまた必要と言えます。

 

それらについて海外の事例などについて報告。最終的には地域活性化に向けて以下の方法を述べていました。

  

1、他地域の施策や方法は参考になるが、二番煎じには競争力はない。

2、独自性が不可欠。

3、革新(イノベーション):①新しい財貨の生産②新しい生産方式の導入③新しい販売先の開拓④新しい組織の実現(独占の形成やその打破)

 

私の感想・・・

 

特に次の世代を担う地域人材は、多かれ少なかれ存在し、それが少なければ少ないほど、現状の地域に満足せず、何らかの形で地域を革新したいと考えている若者は多いと私は感じます。事実、田川市第5次総合計画の議論を傍聴していても真剣に考えている方ばかりですし、商工会議所青年部や商店街の若手の方々は、それが自分の会社の成長にも関わってきますから、なおさら真剣に考えどうにかしたいと思っています。

 

その点では、特に地方議員は、それら地域活性化を担う人々を「つなぎ・ひきだす」役割が今こそ求められている、と感じました。私もいろんな方々を有機的につなげることをまず行うとともに、そのための目標をしっかり定めて次につなげていくような仕組みを作らなければ、と感じました。

 

続いて坂本光司大学院政策創造研究科教授による「地域の産業と議会」の講義でした。

 

まず坂本教授は、地域の若年人口(一般的には15歳~29歳としていますが、坂本先生はこの数字を『実情にあわない』とし、独自に15歳~34歳と規定しています)が多いということは、そこが将来の夢を描ける街であるという証明でもあるので、やはり若年人口は地域活性化のメルクマール(判断基準)となれると述べています。

 

その中で若年層の人口増加に関与している指標として、地域に産業がどれだけあるのかでしっかり数値化できるとおっしゃっていました。事実各種統計をみても同様のことがいえるとのことでした。

 

しかし統計がこれだけでているので、地方自治体もそして地方議員もそれらを駆使して、自らの地域をクリアに見るような努力はほとんど行われていない、と断じています。

 

また坂本教授は地域における問題としては、総合的に2つのことに大別されると述べています。1つは一時的変化・問題、2つは構造的変化・問題です。

 

一時的変化とは、例えば今年は不景気のため物が売れなかった、などというもので、構造的な変化は、景気に左右されることなく発生している問題のことです。

 

その中で現在の地方自治体に取り巻いている様々な問題は多くが構造的問題と言えると坂本教授は述べています。例えば建設業の不振。坂本教授は以下のような理由で構造問題であると述べています。

 

「現在日本全体の大工や建設業者が、1月1日に一斉に家を造り出して12月31日に終わった場合、現在170万戸を作る能力があるといわれている。しかし実際は一年で90万戸しか造っていない状況である。また日本全体の世帯数が4700万戸あるのに対し、家の個数は5500万戸もある。空き家の多くはほとんどは使われず朽ちていっている。もはや住宅業界の不振は一時的変化ではなく、構造的変化である」

 

しかしこのような状況であっても伸びている業界があります。それは農業と福祉です。農業法人は毎年増えていますし、福祉関連の市場規模も毎年大きな伸びを示しています。

 

また若者の企業の選択の指向は、単なる大企業だけではなく心に響く、やりがいのある企業に行きたいと思っていると述べています。例えばわずか60人規模の中小企業に数千人の新卒が受験をする事例なども報告されました。地域の魅力的産業・企業は、単なる企業規模の大小ではなく、若者が入っていることを誇りに思える企業をどう育成するするかにかかっているとのことでした。それがまた地域の税収増加にも大きく関連していきます。

 

その点で、現在の地域の産力強化は大きく3つあるとしています。

 

1、企業誘致

2、インキュベーション(孵化させる)

3、既存産業の育成・支援

 

しかし坂本教授は、1も2を強化する自治体が多いのに対して、3の強化を自治体はほとんど行っていない、しかし3の既存産業の育成・支援が一番大切であると述べています。

 

特に企業誘致に関しては、近年の企業誘致によって誘致できる企業は「渡り鳥企業」であること、それはグローバル化している状況下ではいたしかたないこと、そしてこれらの企業はすぐに撤退する可能性があるとこと、などを述べた上で、ここに力を入れても意味がなく、その力を既存企業の育成・支援にあてるべきとしています。

 

しかし現在の自治体は従業員数が減っても、また効果がまったく把握されないまま補助金を垂れ流しているパターンが多すぎると批判しています。

 

その点で坂本先生は「企業誘致」ではなく「企業留致」をせよとおっしゃっていました。

 

そしてその方法としては、なにはともあれ経営者の意識改革が先決と述べています。企業は経営者がどういう見識か、どういう方針かで決まってしまいます。逆に経営者を超える従業員はいないし、いてもつぶされるだけとも述べています。例えば熊本県で行われている「田原塾」などを事例としてあげながら、地域経済の担い手育成を積極的に議員も進めるべきとおっしゃっていました。

 

また売り手と買い手のマッチング作業も同時に行うべきとしています。企業はどう作るかなんて問題ではなく、なにをつくったら売れるかが一番の問題であり、そのために、例えば高齢者向けの商品について、高齢者を集め意見交換を行いそこから商品化を考えるとか、その場を行政や議員がつくるとか行ってはどうか、とおっしゃっていました。

 

それらも含め、議会における地域産業政策立案能力を以下の点から求めています。

 

1、経営者の革新

2、起業家支援

3、場づくり

4、顕彰制度

5、感動創造型企業

 

私の感想・・・

 

まず個人的には、これまでこのブログでもそして一般質問でも述べてきた、「企業誘致ではなく地元企業の育成を行うべき」というのは一定の意味があったのだということを確認できたという意味では、とてもうれしかったです。

 

そして同時に坂本教授が批判していた自治体の産業振興に関する批判の多くが田川市にも大いに当てはまる、と感じました。田川市も企業誘致に関して部長級の部署を専門に置き活動をしています。また各種補助金も設定しています。しかしこれにどれだけの効果があったのか、そもそもその補助金が意味あるものなのか、十分な検証を早急に行うべきだと感じました。

 

しかし企業というのは補助金があるから来るものではない、と私は思っています。そこに魅力的な地域があり、人材があり、従業員の住環境がよい、というところに来るのだろうと感じています。その点では補助金を投げ渡す方式ではなく、どうやって企業間の有機的なつながりを築くか、そこにこそ自治体における産業振興は注目すべきです。

 

今、田川地域にある企業の中にも魅力的な企業はたくさんありますし、起業して伸ばそうと努力している若手もたくさんいます。我々議員も、そして行政も職種にとらわれず、しっかり今ある企業を応援する体制づくりが急務です。

 

また坂本教授が「民生費や教育費を減らして、産業振興費を残している自治体があるが、そんなところはとんでもない。企業なんて自分で会社を興せるぐらいのところなんだから社会的強者である。」と述べていました。

 

田川市も企業補助金はたくさん出していますが、小中学校の教育費は極めて削られているのが現状です。私が平成21年度当初予算で教育関連費の反対討論を行ったときのことを思い出しました。田川市の予算配分は「とんでもない」と叱責される状況なのではないか、といわれかねない状況です。貴重な税金をどう配分するか、構造的に変革する必要に迫られています。

 

 

・・・と、あと1名の方の報告をしたいのですが、時間がかかってしまっているので、また明日述べていこうと思います。

 

まずは1日目でしたが、なにか私がぼんやり考えていたことがとてもクリアに見えるようになったという感じでした。改めてコンスタントに高等教育機関で刺激を受けないといけないと強く思った次第です。

 

明日も5つの講義を受けます。

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