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法政大学勉強会1日目続き(3講義目)

2009年10月18日

まずは昨日の続きから・・・。

3講義目は、諏訪康雄教授による「地域コミュニティーの雇用政策」でした。

 

まず諏訪教授は自治体において雇用政策は現状として極めてかけ離れている状況にあると述べています。それは全国の地方公務員270万人中、雇用政策に携わっている職員はわずか8000人しかいないことからも、容易に想像ができるとのことです。

 

その中でEU、特にイタリアを参考に地域における雇用政策の重要性を述べています。イタリアのトレントという大学は、半世紀前まで大学がなかった地域でしたが、県知事の強い要請で大学設立構想を打ち出します。その過程の中で、まずイタリアの既存大学にはない学部の創設と、地方自治体や商工団体、労働組合を巻き込んだ動きを展開し、トレント大学と作り上げていきました。

 

既存大学にはない学部では、社会学部を創設。そこに海外で社会学を研究していた優秀な研究者が帰ってくるようになりました。また自治体による学費補助、家賃補助、食費補助などを実施。ほかにも大学図書館と他の公共図書館との連携し、365日、朝早くから夜11時まで開け、地域住民にも広く活用してもらっているとのことです。

 

結果、イタリアの大学ランキングで、名だたる大学を押さえ第1位を押さえるまでに成長していきました。このように知識基盤社会のコアとなる大学を育成し、また優秀な学生を集める工夫をしていったとのことです。

 

しかし一方で日本においては、多くの大学が地方に生まれたものの、成功例はほとんど生まれていないと述べています。それはやはりイタリアの事例のように内発型の大学支援があまり行われていないこともありますが、単なる学生による期間としての大学ではなく、地域の産業振興のハブ機能や知的人材育成を担う高等教育機関として大学を位置づける必要性を説いています。

 

そのためにも特に働きながら学ぶといった地域の就業と学習が結合しつつ、地域の地の水準を高度化し、情報の暗黙知を形式知に変える必要性があるとしています。

 

また地域雇用を考える上で、まず現状の産業構造を抜本的に変化することが必要かどうか、また思い切って海外の企業を誘致はできないか、核となる技術・人材をのびざかりの産業にリンクしていけないか、なども重要になってくると述べています。

 

そのためにまず自治体としてはできることは、それぞれのアクターの相互ネットワークづくりであり、その支援は自治体としてもすぐにでも実施できる施策です。そして例えばそれらの活躍に意味を付与する(顕彰)することも地域の雇用政策につながりうると述べています。

 

地域雇用を活性化する上で重要なのは

 

1、まず目に見える成果を示すだけではなく、活動の過程とりわけ活動そのもののおもしろさも目に見えるようにし、活気を感じさせ、一緒に何かしたいという気を醸成していくこと。

2、小さくとも成果を上げていき、その成果を地域に共有化するだけではなく、広報部隊や営業部隊と共有し、活気の高まりを創出すること。

3、活動に地方公務員らもできるだけ巻き込むこと。

 

などを列挙していました。

 

私の感想・・・・

 

諏訪先生が特に強調していたのは、地域活性化はオンリーワンをどう築くかが問われているということ、そして「オンリーワンは領域を絞ったナンバーワンである」ということです。イタリアの社会学部の事例にしても、またこつこつとヒットを重ねていくイチロー選手も、オンリーワン=領域を絞ったナンバーワンなのです。

 

では田川地域ではどうでしょうか。福岡県立大学があり社会学部・看護学部など地域医療・福祉を支え、しかも伸び盛りの産業にリンクしている学部がしっかり存在します。しかし地域との連携はまだまだ限定的かつ一方通行のようにも感じます。

 

例えば、地域の社会福祉法人と社会福祉学科が連携し、より質の高い福祉を提供するための共同研究を行ったり、地域研究の成果を自治体に報告し、研究成果を自治体施策に反映させることも一つの方策です。

 

そしてそれらを実現するためのネットワークづくりが自治体雇用政策の要諦であるということです。その点でも改めて田川市が行っている企業誘致政策や各種補助金が果たして適正なものなのかを顕彰する必要性と、議員としてネットワークづくりの一翼を担うことが求められています。それは私自身の宿題として、今後取り組んでいこうと思います。

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