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専決処分
2011年06月22日
今日は田川市議会の議会運営委員会が開催されました。17日に田川市は6095万7千円の予算を「専決処分」した案件についての審議でした。
そもそも専決処分とは、簡単に言えば議会を開かなくても市長の判断で予算の議決ができるというものです。ただ地方自治法第179条には
「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」
に
「当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる」
と規定と規定するなど、専決処分の発動については極めて限定的な規定で明示しています。
これは鹿児島県阿久根市での予算案や副市長選任などを専決処分で決めていったことが問題になったように、議会にとって最も重要な議事(予算等について良いか悪いか議論する)、議決(予算等について賛成か反対か決める)を不能化するものだけに、上記のような表現となっています。
さて、今回専決処分の詳細は山本作兵衛氏の世界記憶遺産登録に関する予算が全てです。以下の通りです。
○ 検討委員会設置・運営 899万4千円
○ PRポスター、ステッカー、観光名刺、絵葉書作成 95万円
○ 店紹介リーフレット作成 46万2千円
○ 活用・PR事業コンサルタント業務委託 1583万7千円
○ ホームページ作成 399万円
○ 英語資料翻訳 273万1千円
○ 懸垂幕・横断幕作成・設置 93万5千円
○ 物産品等販売テント設置 118万7千円
○ その他事務費等 22万3千円
○ 保存・登板防止対策等工事 900万円
○ 石炭・歴史は靴物館トイレ改修工事 1000万円
○ 解説員賃金 58万3千円
○ 図録増刷経費 330万8千円
○ 駐車場警備委託 275万7千円
合計:6095万7千円
この件について、他の議員からは「早く予算を動かすのは必要。ただ法律に規定している専決処分の要件に合致しているのか、また議会の審議権を奪ったことについては異論がある」との発言があり、それらについて他の議員から同様の意見が出ました。
また執行部の説明では、今現在予算執行しているものは全くなく、トイレの改修に至っては「今から設計を」とどうやって積算したのかも疑いたくなるような執行部の答弁からも、今回の予算が極めてズサンであることが示されています。
私自身も「予算の専決処分に関して、十分な説明が市長からされるべき」と発言すると「それは委員長の意見」と返してきました。皆さんどう思いますか?議会って議論する場所ですよね。今後、一般質問でも「それはあなたの意見」って言い続けるおつもりなんでしょうか。意見に応えることすら放棄したととらえらる発言に、憤りと落胆と失笑といろんな気持ちが錯綜しました。
そもそも地方自治法179条に書かれた専決処分は極めて限定的な要件であることをまずは押さえる必要があります。
事実片山総務大臣の記者会見(2010年9月21日会見)で、専決処分の要件について
「例えば災害があって、直ちに応急措置をしなければいけない。予算が要りますよね。ところが、招集してもなかなか集まりにくい、大災害で。したがって、必要な予算を専決処分で決めてしまうという、こういうのは許されるのですよ。」
との見解を述べるなど、専決処分はそもそも災害などでしか許されないものだとされています。
またそういうものを抜きとしても、この予算、そもそも来館者などの希望に応えていないと私は思っています。一番は山本作兵衛さんの絵を見たい、というのが多くの方々の希望なはずです。また検討委員会の設置は大事ですが、何か行うにも検討委に聞く必要がある、という状況になれば、それこそボトルネックになる可能性も危惧されます。どのような形で進めるのかしっかり議会にも報告すべきです。ホームページの作成費が400万円なんて、大企業でもなかなかない予算です。
市長は「執行にあたっては議会の意見をしっかり聞いて執行する」と述べていました。それだったら今後執行する前に議会でその使途について説明があるということですから、議会審議も早急に行っていく必要があるかと思います。