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2017.03.09 : 平成29年2月定例会(第14日)


◯議長(中尾 正幸君) 佐々木允君。(拍手)
*佐々木(允)議員質問


◯三番(佐々木 允君)登壇 皆様、おはようございます。民進党・県政クラブ県議団の佐々木允です。ただいまより、通知に従い、今回は二点にわたり質問をさせていただきます。
 まず調査統計事務の充実についてです。多様化、複雑化した社会において、よりよい社会の構築を図るため、知事もあらゆる施策を講じ取り組んでおられます。それらの施策実施や、その前提となる政策形成において極めて重要なのは、現状の分析と調査であります。そもそも、問題、課題とは、現状と目指すべき理想、その間の差を指すものであります。そして、現状と理想との差を縮め、もって理想に近づけるツールが政策だと言えます。では、現状と理想、その差がどのようになっているのかをしっかり調査し、把握しなければ政策をつくり出すことはできません。だからこそ、現状をつまびらかにしていくこと、そこからどのような現状となっているのか十二分に分析することが大切であります。逆を言えば、現状分析のない政策形成は基礎のない家を建てるようなものであります。本県における政策の企画、立案及び評価、見直しのための基礎資料として、調査統計そして分析は極めて重要な役割を果たしていること、そして県民にとっても意思決定に必要な基礎情報として調査統計をわかりやすく示していくことが重要であることを押さえつつ、それら調査統計行政及び分析に関する取り組みの充実を図っていただくことを目的に、以下質問をいたします。
 まず第一に、調査統計事務及びそれに基づく分析の重要性について、知事としてどのように考えているのか、その認識をお聞きしたいと思います。また、県民に対して統計や分析情報をわかりやすく提供していくことの重要性についても、知事としてどのように認識しているのか、あわせてお聞かせください。
 第二に、県民にわかりやすい情報発信について質問をいたします。現在、県民向けに統計データを気軽に入手できるものとして、ふくおかデータウェブというサイトがあり、調査統計課で運用されています。確かに項目は多岐にわたっているものの、中のデータを見るとデータが集約されていないもの、調査が終了しているものが散見されている上、それが一目ではわからない状況となっています。その上、最新データについての集約は行われず、最新データの所在がわからないものも、私が調査した結果二十件以上ありました。また、老人ホーム等の所在地一覧や、子育てに関する県民意識調査、市町村財政状況の推移など、県庁の各課のホームページでは掲載しているものの、ふくおかデータウェブにはそれらの項がないものもあります。ふくおかデータウェブの現状についての知事の認識と、よりわかりやすいサイトへの改編、またどのデータがどこにあるのかを全庁的に網羅した一覧表の作成などを通じて、県民にわかりやすく身近な調査統計データの提供を図っていただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
 第三に、本県の政策形成における調査統計の充実についてお尋ねします。最初にも述べたように、政策の企画、立案及び評価、見直しのそれぞれの段階において、調査や統計データはそれらの基礎資料として極めて重要な役割を果たします。本県の調査統計課においては、経済関連の統計分析においてはかなり充実をしており、ふくおか経済統計ハンドブックなどは本県の経済の現状を地域ごとに詳しく示しているとともに、今後の可能性などに言及するなど、調査統計をもとにした極めて秀逸なハンドブックだと思います。しかし、県民にとって身近な生活関連や教育分野の調査統計や分析については、ふくおか経済統計ハンドブックのように緻密な分析や調査が行われているものは、残念ながら見受けられません。県政運営の全般において、調査統計、分析の充実を知事としてどのように考えているのか、今後の調査統計、そして分析事務の充実について、知事の認識と今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 また、こういった中においては、県民にもわかりやすい統計情報の発信も必要です。岡山県では百一の指標からみた岡山県を作成し、百一項目にわたって、岡山県とそのほかの都道府県とを比較した統計データを毎年公表しています。岩手県では調査分析レポートとして、小中学校の児童生徒数の推移や、市町村ごとの所得格差の推移などを分析したものを県民にホームページで示しています。県民が興味を引く情報の発信についてもあわせてお答え願います。
 最後に、知事として統計分析の充実に関する決意をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、本県におけるオープンデータの取り組みについてお尋ねします。そもそもオープンデータとは、国や自治体等が保有しているさまざまなデータを、誰もが編集しやすい状況で公開をし、それらを企業や県民が情報共有することで経済活動や県民生活の向上につなげるものであり、国もその推進を図っています。具体的には、二〇一二年七月に電子行政オープンデータ戦略を国はまとめ、翌二〇一三年六月には電子行政オープンデータ推進のためのロードマップを策定しています。二〇一五年二月には地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインも示し、地方自治体に対してオープンデータの活用推進を求めています。また既に県内の福岡市、北九州市、久留米市ではオープンデータの取り組みを開始しているところであります。このオープンデータの推進は、国も透明性、信頼性の向上や、経済の活性化、行政の効率化などにおいても意義のあるものとしており、これは本県においても同様だと言えます。この点を十分に踏まえ、以下質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、本県としてオープンデータに取り組む意義について、知事の認識をお聞かせください。
 第二に、本県におけるオープンデータの取り組み状況についてお聞きします。オープンデータについては、県庁のホームページの県政基本情報の地域情報化のページを見ると、二〇一四年四月から、各種公共データの公開に向けて、今後、基本方針を策定し取り組みを開始するという記載があります。一方、その後の取り組みが三年近くたった今日に至るまで、県民や県議会には示されておりませんが、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また今後の県のオープンデータ公開と、県民への周知についてどのようにしていくのか、お答えください。
 第三に、市町村のオープンデータの取り組みの支援についてお聞きします。二〇一五年二月に国が示した地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインにおいて、都道府県の役割として「都道府県は、域内市区町村のデータを必要に応じ集約した上でオープンデータとして積極的に公開することに加え、市区町村間の連携を高めるうえで、データ形式、利用規約の整合化を働きかけることが望ましい。」とされています。一方、県内の市町村で見ると、先ほど述べたように福岡、北九州両政令市と久留米市でしかオープンデータの公開はされておりません。これは一般市や町村においては、単独でその取り組みを行うことが難しいためでもあり、だからこそ、先ほど国が示したように、県の積極的な関与が欠かせません。これらを踏まえ、県として、市町村のオープンデータの取り組みをどのように支援していくのかお答えください。
 この項の最後に、官民協働によるオープンデータの推進についてお尋ねします。オープンデータについては、公開するだけではなく、それらが実際に活用され経済活動の活性化や地域課題の解決に寄与することが大切であることは言うまでもありません。国もこの点については、二〇一六年五月に国が策定したオープンデータ二・〇官民一体となったデータ流通の促進で述べられており、二〇二〇年までを集中取り組み期間と定めています。今後本県でもオープンデータ作成に当たっては、民間企業やNPOなどと連携してその活用を推進していくことが重要であると考えますが、本県として今後どのように官民協働を進めていくのかお尋ねをいたします。
 以上、御答弁をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)


◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。
*知事答弁


◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、調査統計事務とそれに基づく分析の重要性と、県民の皆様に対するわかりやすい、その提供についてでございます。調査統計とそれに基づく分析というのは、政策の企画、立案、そしてその検証と評価を行っていく上で不可欠なものでございまして、調査統計事務は、県政推進の基礎を支える大変重要な役割、インフラだと思っております。また県民の皆様に統計データの分析情報をわかりやすく示していくことは、県政への県民の皆様の御理解を深めていただく上で大切なことであると、このようにも考えております。このため、今回策定をする新たな県の総合計画、また環境、農林水産分野における白書、財政状況報告といった県が公表いたしております冊子、パンフレットにおきまして、各種統計指標の分析結果をわかりやすい形で盛り込むよう工夫をしているところでございます。
 ふくおかデータウェブの現状と今後の充実についてお尋ねがございました。ふくおかデータウェブは、県が有しております統計、経済データを電子化をし、インターネットにより広く県民の皆様に対し情報提供を行う県統計情報サイトでございます。平成十三年に開設をいたしております。現在は、月報、年報合わせまして五十八種類の統計、約二万三千件のデータファイルを掲載をし、アクセス数は年間五十万件程度と多くの方に御利用されております。一方で、欲しい情報に行き着くまでに時間がかかる、どういったデータがどの統計にあるかわかりにくい、先ほど議員もいろいろ御指摘ありましたが、そういった点もあるところでございます。県といたしましては、ふくおかデータウェブにあります統計情報の多くが、今、県が検討を進めておりますオープンデータの対象に順次移行してまいりますので、この使い勝手の面での改善すべき点につきましては、このオープンデータの取り組みの中で、しっかり対応させていただきたいと、このように考えております。
 統計分析の今後の充実と、県民の皆様の興味を引くような情報の発信ということでございます。生活、教育分野を初め各政策分野における統計分析の充実を図っていくためには、まず政策立案に従事する職員一人一人がその統計の重要性、それぞれの業務への活用の必要性というものを改めて認識をし、統計分析能力を向上させていく必要がございます。このため、県におきましては、職員研修所の一般研修におきまして統計分析能力の向上につながる研修を行いますほか、政策立案に従事する実務者を対象に、産業連関表を用いた経済波及効果分析に関する研修を実施しているところでございます。本年六月には、県が職員向けに作成をしておりますふくおか経済統計ハンドブックにつきまして、昨年度策定をした人口ビジョンなどの最新情報を盛り込んだ改訂版をつくることといたしております。県民の興味を引く情報発信でございますけれども、これまでも定期刊行物「福岡県勢要覧」におきまして、本県が全国一位となっております各種統計情報を集めた福岡全国ランキング、これを掲載するほか、地元プロ野球チームの優勝の際には、その経済波及効果を公表するといったことも実施させていただいております。県といたしましては、県民の皆様に興味を持っていただけるよう、より一層工夫を凝らしてまいります。
 次に、私の決意でございますけれども、本県における統計分析の充実を図っていくためには、適切な標本を抽出し、それをいかに確実に収集するか、そのことで、数値の精度を高めていく統計のつくり手側の、そしてその数値を読み取って分析、評価をする統計の利用者側、この両面から取り組んでいく必要があると、このように考えております。統計のつくり手側につきましては、国の統計研修所への職員の研修派遣などによります調査技術の向上、業務マニュアルをつくりまして、より正確な事務処理を確保していく、また統計の利用者側につきましては、統計分析に基づく政策立案の必要性についての意識改革と日々の業務を通じた分析能力の向上に、それぞれ総合的に取り組んでいくつもりでおります。
 次に、国、地方公共団体のオープンデータの取り組みに対する認識でございます。国、地方公共団体のオープンデータとは、統計情報、防災情報、保育施設情報など行政機関が有しておりますさまざまな情報を国民や企業等が利活用しやすいように自由に加工できる形式で、二次利用の可能なルールのもとで公開するものでございます。公開された情報を活用して、例えば防災、子育てといった住民生活の向上に役立つアプリケーションの開発が進むことによりまして、国民の皆様に対し、質の高い情報の提供が可能となりますとともに、そのことによって新たなビジネスの創設にもつながっていく、そういったことが期待されます。また、政策決定の基礎となりますデータを明らかにすることによりまして、行政の透明性、信頼性の向上にもつながるものと認識をいたしております。
 オープンデータの取り組み状況についてお尋ねがございました。本県では、県政の透明性の向上、公開データの活用による地域経済の活性化などを目指しまして、オープンデータに取り組むことといたしております。また、政府の日本再興戦略におきましても、我が国の成長戦略を進める手段の一つとしまして、国を挙げて、この公共データの民間開放を進めることとされております。
 一昨年の二月、国がガイドラインを示しまして、全国の自治体が統一して取り組む方向を示されました。そのことから、県ではこれを受けまして、同年六月、御指摘のありました福岡市、北九州市、久留米市と一緒になってオープンデータに関する推進組織を創設をいたしました。そこで公開するデータ分類の共通化、データの形式の標準化などについて検討を進めてまいりました。昨年五月には、本県のオープンデータ専用サイトの構築に着手をいたしまして、現在庁内関係各部が有しておりますデータの公開について、具体的な準備作業に入っているところでございます。今後、データの登録、運用テストの実施と並行いたしまして、県民の皆様に公開予定のデータ、公開サイトの運用の方針、そしてその利用規約などをあらかじめお知らせをした上で、本年六月を目途にサイトの運用を開始する予定にしております。その後におきましても、サイトの運用状況、また利用者の方々の利便性を向上させるために行う機能の追加などにつきまして、県のホームページを通じ、広く県民の皆様にお知らせをしてまいります。
 次に、市町村のオープンデータの取り組みについてお尋ねがございました。県におきましては、今お答え申し上げました推進組織での検討をもとに、専門人材が十分ではない市町村においてもこのオープンデータの取り組みが可能となりますよう、公開サイトの構築、運用、そしてデータの一括移行などに利用できるシステム、これを今年度開発したところでございます。今後、このシステムに関する市町村説明会を開催をいたしまして、オープンデータの取り組みについて呼びかけを行うとともに、市町村の求めに応じまして県庁の職員が現地に赴き、技術的助言を行うなど、きめ細かな市町村支援を行ってまいります。
 次に、官民協働によるオープンデータの推進でございます。オープンデータの推進につきましては、国においてデータの公開を中心とする第一段階、それから、データの利活用による具体的な課題解決を図る第二段階、この二つのステップというものが示されております。県におきましても、今後これと同じ考え方で取り組むことといたしております。このため、先ほどお答えを申し上げました推進組織に、今後民間企業、またNPOなどにも参加をしていただきまして、オープンデータを使ったアプリケーションの共同開発など具体的な成功事例というものをつくり出し、それを積み重ねていき、そうした事例を広く関係者の間に周知をしていくことで、オープンデータの利活用を促進してまいります。


◯議長(中尾 正幸君) 佐々木允君。


◯三番(佐々木 允君)登壇 御答弁をいただき、二点にわたり要望したいと思います。
 まずオープンデータについては、今後の方針が今回初めて示されたところであります。しかし、国では既に先ほど御紹介があったとおり、第二段階に、もう既に差しかかっている中、本県はまだ緒についたばかりでありまして、今後国の動きに追いついていくには相当な労力が必要であります。充実した体制と先進事例を生かした施策の充実を図り、もって有益なオープンデータが多くの県民に早く示されるよう要望したいと思います。
 次に、統計分析の充実について、若干事例を披瀝しつつ要望をしたいと思います。知事は昨年六月の議会において、緑友会の代表質問に対する答弁で、本県の人口増加について「県全体といたしましては、人口はふえ続けておりますので、地域の活力というものが改めて確認されたものと受けとめている」と述べられています。国勢調査を見れば、確かに総人口というのは五年間で約三万人ふえているところでありますけれども、一方で、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は十七万七十七人減少し、六十五歳以上の人口は十八万一千三百八十八人ふえています。要するに本県は、人口がふえたのではなく、生産年齢人口が減り高齢者の人口がふえたのであります。となると、知事の言われる人口増で活力が確認されたと受けとめられるのかどうか、例えばそういった点が分析の中でいろんな議論ができていくというわけであると思います。
 知事は、統計分析に基づく政策立案の必要性についての意識改革、日々の業務を通じた分析能力の向上、こうしたことを総合的に取り組んでまいると先ほど答弁をいただきました。幾らすばらしいデータを持っていても、政策立案に生かすという意識がない限り意味をなさないものでありまして、ぜひ今後の政策立案においてその姿が早く可視化されることを強く要望して、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

福岡県議会議員
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