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2018.09.20 : 平成30年9月定例会(第14日) 本文

◯議長(井上 順吾君) 佐々木允君。(拍手)
*佐々木(允)議員質問

◯三番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆様、おはようございます。国民民主党・県政クラブ県議団、田川市選出の佐々木允でございます。通告に従い、早速質問に入らせていただきます。
 今回の質問は、第一に、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピックのキャンプ地誘致について、第二に、建設労働者の待遇改善に向けた諸施策について、以下質問いたします。
 それではまず、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピックのキャンプ地誘致について質問いたします。本年八月十九日、私の地元田川市が、ドイツ車椅子フェンシング競技の東京パラリンピックに向けた事前キャンプ地の実施に係る基本合意書に調印をいたしました。この調印式には、県の代表として大曲昭恵副知事が、田川市長とともにドイツ・ハンブルクまで足を運んでいただいたと聞いております。福岡県では、これまでに県内の市町村と一体となってキャンプ地誘致に取り組んできた結果、八つの国と地域で基本合意を締結しています。またパラリンピックでは、七月に南アフリカと調印した飯塚市に続き、田川市は県内二例目のキャンプ地決定となりました。田川市は、六年前から日独スポーツ少年団同時交流として、ドイツのスポーツユーゲントの子供たちを受け入れており、このことをきっかけとして、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致についても、当初からドイツを意識した誘致活動に取り組んでいるところであります。田川市長や市の担当者が何度もドイツを訪問する中で、先進的なドイツの障がい者スポーツの現状に触れ、ぜひ田川市に誘致したいとの熱い思いを持って関係者と協議を重ねてきたことが、この結果につながったと言えます。市関係者の皆様の御労苦に心から敬意を表するところです。
 この誘致活動の過程においては、ことし六月、全日本車いすフェンシング選手権大会が初めて田川市で開催をされました。私も観戦させていただきましたが、パラリンピックの金メダリストを初め香港、韓国の選手を含む二十一人の選手が熱戦を繰り広げ、市の内外から観戦に訪れた多くの方々に、車椅子フェンシングの競技のすばらしさが実感できたのではないかと思います。ことし八月には、県主催のパラスポーツ体験イベントが、同じく田川市で開催をされました。これにも参加をいたしましたが、障がいの有無にかかわらず、障がい者スポーツを身近に感じてもらい、その魅力を県民の皆様に発信する機会をふやしていくことが必要だと感じたところであります。その点からも、パラリンピック競技の事前キャンプ地の誘致は、障がい者スポーツの振興を図る上で大変意義深いものだと考えます。一方で、パラリンピック競技を誘致するためには、施設のバリアフリー化や専門の競技用器具等の準備が必要となるため、市町村単独ではなかなか難しい状況があるという話も聞いています。ぜひ、県として、でき得る限りの支援を求める立場から、以下、知事に質問いたします。
 まず一点目に、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピック競技のキャンプ地誘致の意義について、知事はどのように考えるのかお聞きします。
 二点目に、市町村のパラリンピック競技のキャンプ地誘致について、これまで県はどのように支援を行ってきたのかお聞きをいたします。
 三点目に、田川市や飯塚市など受け入れ市町村は、パラリンピック競技の事前キャンプの受け入れや相手国との交流に取り組む必要がありますが、一自治体では海外との交流や協議にふなれな部分も多くあるのが実態です。県としてどのような支援を行っていくのか、あわせてお聞きします。
 また、パラリンピック競技大会の自国開催は、障がい者スポーツの振興に大きな価値を残してくれるものだと思います。この絶好の機会に、本県として、どのように障がい者スポーツを推進していくのか、知事の考えをお聞きします。
 続いて、建設労働者の待遇改善に向けた諸施策について質問をいたします。建設業は、地域のインフラの整備、維持の担い手であると同時に、暮らしと地域経済の支え手として、なくてはならない存在であります。特に、昨年、ことしと続いた多くの自然災害においても、建設業は災害復旧に即座に対応し、復興のためのインフラ、住宅の整備の担い手として極めて大きな役割を担ってくださいました。それらを現場で担うのが、建設労働者や一人親方の皆様ですが、その担い手不足が大きな問題となっており、その点は、さきの我が会派代表質問でも知事にただしてきたところです。
 そもそも建設業は、危険な業務である上、休日が他業種より少なく、月給制度を採用していない職場も多いことなどから、近年、若年層から敬遠されているところもあるのが現状です。そのため、二〇一五年度における国全体の建設業就業者の実に三人に一人が五十五歳以上である一方、二十九歳以下はわずか一割程度と年齢偏在が顕著で、技能労働者全体の数は一九九五年の四百三十八万人から二〇一五年度の三百三十一万人と、この二十年で百万人以上の減少となっています。国も建設労働者の確保を進めるため、とりわけ待遇改善につながる諸施策を実施しています。社会保険の加入対策では、未加入企業を下請企業に選定しない、またはペナルティーを科すなど、強い姿勢で臨み、建設業許可業者のうち雇用保険、健康保険、厚生年金保険の三保険に加入している割合は、ことし五月現在九三%と、二〇一一年度の五六・七%から大きな進展を見せています。この一例をもっても、建設労働者の待遇改善において、行政の役割が極めて重要であることがわかります。その基本となる国の法律などを踏まえ、本県として建設労働者の待遇改善を強力に推し進めることを求める立場から、以下知事に質問いたします。
 まず一点目に、本県における建設労働者の求人及び労働者の充足状況、年齢構成、賃金の状況及び近年の労働災害の現状と特徴がどのようになっているのかお示しください。また、それらに対する知事の認識もお聞きします。
 さて、二〇一七年三月、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律、いわゆる建設職人基本法が施行されました。この法律は官民の全工事を対象に、適正な請負代金や工期、安全衛生経費の確保、設計施工等における安全の確保などを求めており、その具体化のため、国は基本計画を策定し、実効性の確保も図っています。
 そこで二点目に、知事は同法及び同基本計画について、どのような意義があると認識しているのかお答えください。
 この項の最後に、本県の実態に即した建設職人基本法県計画の策定についてお聞きします。同法第五条には、都道府県の責務として「基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、当該都道府県の区域の実情に応じた建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と規定し、その具体策として、同法第九条に都道府県に対して計画の策定を求めています。
 そこで、本県は同法に基づき県計画の策定を行う予定はあるのかお聞きします。
 また、策定に当たっては、労働者団体や業界団体など幅広い方々からの意見を集約する機会を設けるとともに、同法第五条にある「当該都道府県の区域の実情に応じた」中身となるよう、また国の計画にも記載されている、適切な賃金水準の確保等のため、本県の実態に合わせた実効性のある計画の策定が必要だと思います。今後の県計画策定に向けた県の取り組みについても、あわせてお聞きします。
 以上、知事の前向きな答弁を期待し、終わります。ありがとうございました。(拍手)


◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピック競技のキャンプ地誘致の意義でございます。パラリンピックの事前キャンプは、県民の皆さんがトップアスリートのプレーを身近に感じるいい機会になり、障がい者スポーツに対する関心を一層高めることにつながっていく、そのことはもちろんのことでございまして、特に障がいのあるお子さんたちにとりまして、夢や希望を与えてくれるものでもございます。また、パラリンピック競技のキャンプを受け入れるためには、施設等のバリアフリー化はもちろん、選手をサポートするボランティアの育成などその体制を整えていくことも必要となります。国は、こうした取り組みを推進する自治体を、共生社会ホストタウンとして登録をしてきておりまして、県内では本年五月、田川市と飯塚市がそれぞれ登録をされました。両市におきましては、ハード、ソフト両面での環境整備に着手をいたしますとともに、パラリンピックを契機とした障がい者スポーツの推進に取り組んでいるところでございます。このようにパラリンピック競技のキャンプ地誘致というのは、県民の皆様の障がい者スポーツへの理解を深めていくとともに、地域における共生社会の実現に向けた取り組みの推進にもつながっていくものと考えております。また、スポーツ立県福岡、その実現を目指す福岡県にとりましても大変意義のある取り組みである、このように考えております。
 市町村のキャンプ地誘致に対する県の支援でございます。県におきましては、これまでオリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致を希望する市町村との連絡会議を立ち上げ、県が収集した情報の共有を図りながら、対象となる国や競技の絞り込み、視察の受け入れや相手国との協議、交渉など市町村と一体となってその誘致活動に取り組んでまいりました。また、誘致活動に要する財政的負担を軽減をするため、市町村に対しまして視察受け入れやプロモーションツールの制作に要する経費を補助してきております。さらに、パラリンピック競技の受け入れが決定した田川市と飯塚市につきましては、共生社会ホストタウンの登録の申請に当たりまして、県は国との協議、また国への申請手続に関し助言等を行ってまいりました。現在、両市におきましては、宿泊施設、競技施設などのバリアフリー化に取り組むとともに、車椅子体験会、相手国文化を学ぶ教室の開催など心のバリアフリーを推進する取り組みも進めておられまして、先進事例として国からも視察に訪れられるなど全国でも注目される存在となっているところであります。
 市町村のキャンプ受け入れ及び相手国との交流に対する県の支援と障がい者スポーツの推進についてお尋ねがございました。パラリンピック競技のキャンプ地実施にかかわる基本合意を締結いたしました両市につきましては、今後、相手国との具体的な交流が始まってまいります。このため、今年度、キャンプで受け入れられた選手やコーチと県民の皆さんが交流する事業に要する経費を、これについて助成制度を新たに設けたところであります。また、県におきましては、我が国でのパラリンピック開催を契機といたしまして、障がいの有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむことができるよう、パラスポーツ体験イベントの開催、特別支援学校を活用した障がい者スポーツの拠点づくり、これに取り組んでいるところであります。県といたしましては、今後ともパラリンピック競技のキャンプ受け入れによる相手国との交流を推進するとともに、障がい者スポーツの振興にしっかり取り組んでまいります。
 次に、建設労働者の求人等の現状についてお尋ねがございました。本年七月における福岡労働局管内ハローワークの建設業関係職種の求人数は四千三百三十七人となっております。これに対する充足数は百二十一人でございまして、極端な未充足の状況にございます。平成二十九年における本県の建設業就業者の平均賃金でございますが、厚生労働省の調査によりますと、月額約三十六万円となっております。ここ数年、上昇傾向にありまして、全産業の約三十一万円に比べると高い状況にございます。年齢構成について見てみますと、総務省の調査では、本県の平成二十九年における全産業に占める三十四歳以下の就業者の割合が二五・九%であるのに対しまして、建設業は一八・四%となっております。一方で、五十五歳以上の割合について見ますと、全産業が二九・八%であるのに対し、建設業は三四%となっております。若年労働者が不足をし、高齢化の状況にあることがうかがえます。また、労働災害につきましては、福岡労働局の調査によりますと、平成二十九年における本県の休業四日以上の死傷者数は、建設業で六百四十一名となってございます。全産業に占める建設業の割合、就業者数で見ますと八%でありますので、これと見比べますと死傷者数は一二・一%、死亡者数では二二・二%と労働災害の発生率は比較的高い状況にございます。こうした状況から、建設業においては、高齢化や安全確保が課題となっておりまして、若年者の人材確保、処遇改善、そして労働安全衛生の取り組みが重要であると、このように認識をいたしております。
 いわゆる建設職人基本法と国の基本計画についてお尋ねがございました。建設職人基本法は、公共のみならず全ての建設工事につきまして、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的、計画的に推進をし、建設業の健全な発展に資することを目的に制定をされました。また、同法に基づく国の基本計画は、多くの建設工事従事者が現場で被災をされていること、高齢化が進む中、中長期的な担い手の確保が急務であること、それらなど建設業を取り巻く現状や課題を踏まえまして、基本的な方針、講ずべき施策、そして施策の推進に必要な事項について定めております。建設職人基本法の制定そして国の基本計画の策定によりまして、建設業が全ての業種の中で労働災害死亡事故が最も多いという状況の中で、その従事者の安全、健康の確保はもとより、処遇の改善及び地位の向上などの取り組みが進んでいき、今後の建設業の健全な発展に資するものであると、このように認識いたしております。
 県計画の策定についてお尋ねがございました。昨年六月の国の基本計画の策定を受けまして、県では同年十一月に県工事発注部局や労働、商工など庁内関係各課で構成をする県計画策定のためのワーキンググループを設置しております。県はこれまで、県発注工事現場での安全点検、労働安全衛生関係法令の周知徹底、社会保険等への加入指導など、これは議員が御指摘されましたけれども、社会保険等への加入指導など建設工事従事者の安全確保や処遇の改善に向けた取り組みを行ってまいりました。これらに加えまして、現在、国の基本計画の内容を踏まえて、県計画に盛り込むべき施策というものを検討しているところであります。今後は、建設業団体、労働者団体の皆さんから幅広く意見を聞くなど県内の実態というものを踏まえ、建設業全体の安全意識の向上、従事者の処遇改善の促進が図られるよう、県計画の策定に取り組んでまいります。


◯三番(佐々木 允君)登壇 知事に、建設労働者の待遇改善に向けた諸施策について、二点要望をいたします。
 今回、県として建設職人基本法に基づく県計画を策定していく、そのことが明らかとなりました。また、策定に当たっては、労働者団体や建設業団体の意見を聞くこと、県内の実態を踏まえた県計画をつくるという力強い答弁をいただいたところです。特に、県内の実態を踏まえるためには、県内の建設業や建設労働者の置かれた現状がどのようになっているのか、実態調査を行わないと実態は踏まえられないはずであります。計画策定の前提となる実態調査を早期に実施するよう強く要望いたします。
 また、県は公共工事の発注者であります。そして計画を策定する主体でもあります。当然のことながら、県発注公共工事で、建設職人基本法や今後策定する県計画の理念の具現化の先鞭を切ることが必要なのではないでしょうか。施策展開においては、県計画に即した入札制度改革にも取り組んでいただくことを、あわせて要望いたします。
 今後も本県の建設産業が、建設労働者に寄り添い、人が育つ建設産業へ大きく転換していくことを期待し、終わります。ありがとうございました。(拍手)

福岡県議会議員
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