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2019年6月 定例会

2019年6月 定例会

2019.06.24:令和元年6月定例会(第12日) 本文

◯議長(栗原 渉君)
◯議長(栗原 渉君) 佐々木允君。(拍手)
*佐々木(允)議員質問


◯二十二番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団、田川市選出の佐々木允でございます。会派の御配慮をいただき、会派としては最初の一般質問を行います。二期目も県政のため、田川地域の振興のため全力で頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず一点目に、私の地元田川地域の振興についてであります。さきの所信表明において、知事は、福岡県をアジアとともに発展する一大拠点にしていくという強い決意が述べられました。一方で、弱い立場にある方々、困難な問題をお抱えの方々に寄り添っていく温かみのある行政を推進し、県民の皆様が生涯にわたって安心して暮らせる地域社会をつくると、これまで以上に人に焦点を当てて、その思いを語られたところであります。
 福岡県全体を見ると、確かに九州の中心的役割を担うとともに、アジアに最も近い地理的優位性がありますが、福岡県を細かくひもとくと、県内の状況はこの数十年一貫して厳しい地域と発展する地域の二極化になっており、この状況は、小川知事が就任して以降、むしろ拡大の一途をたどっています。とりわけ田川地域と県内平均との差を、知事就任の二〇一一年から直近の数字で見ていくと、人口は県内平均で〇・六%の増加であるのに対して、田川地域は八・九%もの減少、高齢化率も、県内平均の増加率は四・九%増であるのに対し、田川地域は七・四%の増、二〇一八年十月現在の高齢化率は、県内平均が二七・二%であるのに対して、田川地域は三六・六%と、県内平均を大きく上回る形で、田川地域の人口減少と高齢化が進んでいることがわかります。また一人当たりの市町村所得も、県平均が二百七十二万四千円であるのに対して、田川地域は百九十七万一千円と、実に七十五万三千円もの差があり、低所得な方の多いのが特徴です。
 我が会派は、二月定例会においても地域間格差問題について代表質問し、知事に県内の均衡ある発展、とりわけ厳しい地域に対する知事の取り組みの強化を強く訴えてまいりました。知事、アジアとともに一大拠点に本県がなろうというとき、その恩恵はある特定の一地域だけに集中するのではなく、厳しい地域にこそつながっていくべきではないでしょうか。また弱い立場、困難な問題を抱えている方々が多い地域にこそ、知事の言う温かみのある行政が率先して推進されるべきではないかと思います。このような思いのもと、三期目に当たって、今まで以上に地域間格差に本気で知事が向き合っていただきたい、そして、その中にあって、知事が田川地域をどのように認識し、どのような取り組みを進めていくのか、その思いを大いに披瀝していただきたいと思います。
 まず知事は、さきの県知事選挙において田川地域に訪れ、多くの県民と意見交換をされたことだと思います。そこで田川地域についてどのような声をいただいたのか、また課題を感じたのか、率直にお答えください。また、それらの声を受けて、今年度当初予算にどのように反映されたのかについてもお示しください。
 次に、先ほど述べたように、知事就任以降も、人口、高齢化率、市町村民所得などにおいても、格差はむしろ拡大している状況にあり、県民意識調査でも、筑豊地域は福岡県で生まれてよかった、また生活してよかったと思う度合いを初め多くの指標で、他の三地域に比べ厳しい数字が続いています。知事は、この田川地域と福岡都市圏を中心とした他の地域との格差拡大の現状をどのように認識しているのでしょうか、お答えください。また、そのような中、知事は田川地域の振興をこれまで以上にどのように取り組まれるおつもりなのか、その決意を田川地域の皆さんが未来に期待が持てるような内容で、ぜひお答えをいただきたいと思います。
 三点目に、田川地域における自動車関連産業の誘致及び振興についてであります。御存じのとおり、本県の自動車生産台数は全国第二位になっており、全国有数の自動車生産県となりました。自動車関連産業に従事する労働者の賃金は、他の業種に比べて高く、これらの企業が地元田川地域に誘致されることによって、先ほど述べた一人当たりの市町村民所得を大きく高め、人口増加にも大きく寄与します。このような期待から、二〇一六年十月に行われた県議会決算委員会において、田川地域における自動車関連産業の誘致及び振興について、執行部にただしたところであります。そこで執行部は、今後県と市町村が一体となって企業誘致に取り組むことへの強い決意が述べられ、地元県議として安堵したところであります。
 さて、それから三年近くが経過しようとしています。これまで田川地域への自動車関連産業についてどのような取り組みを行い、成果を上げてきたのかお答えをください。また今後より一層取り組みを強化していただきたいと思います。知事の前向きな答弁をお願いします。
 四点目に、観光振興、とりわけ田川地域でのサイクルツーリズムの振興についてであります。本県は、ことし四月から三カ年の計画期間で自転車活用推進計画を策定しました。その中に自転車を活用した観光振興と地域の活性化を取り上げ、五つのモデルルートを選定するとともに、今年度予算にもサイクルスタンドの設置など、新規予算を計上しているところであります。しかし、そのモデルルートを見てみると、残念ながら田川地域は入っていません。田川地域は自然豊かで、サイクリストも多く足を運ぶ場所となっており、添田町では坂道や峠道を自転車で登坂する競技であるヒルクライムを行う英彦山サイクルタイムトライアル大会が、これまで二十八回開催をされるなど、サイクルツーリズムに適した地域だと言えます。
 そこで田川地域のサイクルツーリズムの振興を、知事としてどのように図っていくのかお答えをいただきたいと思います。
 この項の最後に、田川地域の水道広域化についてただしておきます。本年四月から田川市、川崎町、糸田町、福智町の一市三町で水道事業の広域化が実現をいたしました。構成市町村は、いずれも給水人口の減少と水道管の老朽化が進んでおり、今後単独での運営が厳しくなるのは必至だっただけに、広域化によって住民負担の軽減につながることが期待されます。今後、水道施設の統合や料金の統一など、さまざまな取り組みが必要となりますが、市町では十分に対応できない部分もあると、不安の声を地元からいただいているところです。
 そこで県として今回実現した一市三町による水道広域化をどのように支援していくのか答弁を求めます。
 次に、本県使用料及び手数料等の支払いの手段多様化について質問をいたします。先ほど片岡誠二県議からも御質問あったように、今年度、民間企業へのキャッシュレス化推進に関する新規予算が計上されています。諸外国に比べ、日本はキャッシュレス化が大きくおくれている国と言われていますが、キャッシュレス化の推進により、インバウンド観光や働き方改革などさまざまな効果があると言われていますし、本県でもキャッシュレス化の推進が、今回の予算で大きく進むことを期待しています。
 さて、キャッシュレス決済の現場は民間だけではありません。本県も県税を初め使用料や手数料等において、県民などから多くのお金をいただいているところであります。まず隗より始めよの精神で、県自身がキャッシュレス化を初め支払い手段を多様化することこそ大切なのではないかと思います。
 そこで一点目に、県税を初め使用料及び手数料等の支払い手段を多様化することへの意義について、知事はどのように認識しているのかお聞きします。
 二点目に、本県が行っている県税を初め使用料及び手数料等の支払い手段多様化について、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお示しをください。また、県民からの支払いが多額なもの、利便性が向上するもの、観光振興につながるもののうちキャッシュレス化など支払い手段の多様化が可能となるものはどのようなものが想定されるのかお示しください。
 三点目に、今後、本県が行っている県税を初め使用料及び手数料等の支払い手段多様化について、知事はどのように取り組まれるのか、また県内市町村においても、県と呼応してキャッシュレス化が推進されることが望ましいと考えますが、市町村への推進について、知事の認識と取り組みをお聞きします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


◯議長(栗原 渉君)小川知事。
*知事答弁


◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、田川地域でいろいろ伺った課題、それに対応する予算措置でございます。田川地域でお聞きをした声の中には、他の地域とも共通するものといたしまして、人口減少、それから雇用の創出に関するものが多くございました。また交流人口をふやすため観光振興を図っていきたい、田川飛翔塾や地域のみんなで取り組んでいる田川まるごと博物館を応援してほしい、そういったお声を耳にいたしました。
 今年度の予算は少子、高齢化、人口減少という現下の大きな課題に立ち向かい、地方創生を推進し、誰もが住みなれたところで働く、暮らす、育てることができる、この三つができる地域社会をつくっていくこと、これに主眼を置いて編成をさせていただいているところであります。また先般運行が開始されましたことこと列車、これを契機といたしまして、沿線地域の魅力を発信し、外国人を含む観光客を呼び込むため、平成筑豊鉄道に対しWiFi環境の整備や多言語による情報発信に要する経費というものを支援することといたしております。あわせて田川地域の広域連携プロジェクトといたしまして実施をしております筑豊の次代を担う人材を育成する田川飛翔塾、また田川の地域の魅力を発信をする田川まるごと博物館、これらを通じまして、引き続き人材の育成、あるいは交流人口の増加というものを図っていきたいと考えております。このような今回の予算編成でございますけれども、田川地域でお伺いした皆様方の声に応えていこうとするものであると、このように考えております。
 次に、田川地域の現状認識と振興に取り組む決意でございます。田川地域は、御指摘のように高齢化、人口減少が、他の地域と比べて進んでおります。また生活保護率は県平均を大幅に上回っており、一人当たり市町村民所得も、先ほど議員が御指摘になりましたが、福岡市圏域と比べ三分の二の水準となっておりますなど厳しい状況にあると、このように認識をいたしております。
 一方で、田川地域は伊田の立て坑やぐら、二本煙突など炭鉱関連施設、上野焼といった歴史的な資源、英彦山や香春岳の自然、私自身、毎年伺わせていただいておりますが、風治八幡宮の川渡り神幸祭など豊かな歴史、自然、文化、伝統、これを有する魅力ある地域であると、このように思っております。また盆地特有の寒暖の差を利用したおいしいお米、野菜が生産をされております。県下有数のトルコギキョウの産地でもございます。そして、それらの地元農林水産物の魅力を発信する直売所、道の駅も多数あるわけでございます。地元でも評価の高い田川飛翔塾の卒塾生は、平成二十四年の開塾以来二百九人と、今なっております。卒塾生の中には、田川飛翔塾の運営にみずからサポーターとして加わっていただくなど、次代を担う人材も育ちつつあると思います。こうしたポテンシャルに、昨年三月には九州オルレ筑豊・香春コースが、またことしの三月には、先ほど述べました、ことこと列車という国内外から観光客を呼び込むことができる新たな観光資源というのがつけ加わったわけであります。これらも契機といたしまして、地域の皆さんと知恵を出し合って、力を合わせて、田川地域の浮揚と発展に一層力を入れていきたいと、このように思っております。
 次に、自動車関連産業の誘致についてお尋ねがございました。田川地域に対する企業誘致につきましては、これまで田川地域の市町村と一緒になって企業訪問を行うなど積極的に取り組んでまいりました。また既に立地した企業に対しましても、自動車産業アドバイザーによる取引の拡大支援、これを行うとともに、県と市町村の職員が一緒になって出向いて、技術向上、人材育成、設備投資に関する支援策の活用について、いろんな御提案を行ってまいりました。こうした取り組みによりまして、平成二十八年度以降、新たに田川市に一社が立地し、現在田川地域には十四社の自動車関連企業が操業いたしているところであります。この自動車産業のさらなる集積に向けまして、現在田川市内で新たな工場の建設に着手した企業、また自社敷地内での工場の増設というものを計画している企業が出てきているということを申し添えたいと思います。
 この田川地域でございますけれども、トヨタ九州、日産九州、日産車体九州のちょうど真ん中辺に位置をいたしておりまして、三つのカーメーカーへのアクセスが非常によく、理工系の人材も確保しやすい地域となってございます。また現在、国道二百一号の香春拡幅事業によります四車線化や国道三百二十二号香春大任バイパスの整備というものが進められているところでありまして、一層の利便性の向上というのが見込まれているところであります。今後さらに、田川地域の市町村と密接に連携をしながら、田川地域の立地環境について最大限PRをしていき、自動車関連産業のさらなる誘致に取り組んでまいります。
 次に、サイクルツーリズムの振興についてお尋ねがございました。田川地域は自然が豊かであると同時に、香春、添田、糸田、大任の道の駅、源じいの森温泉といった温泉の施設、いいかねパレットを初めとする宿泊施設などサイクリストの立ち寄るスポットも充実しているところであります。また毎年約六百名が参加をされております英彦山サイクルタイムトライアル大会も開催されておりますことから、サイクルツーリズムを進めていく上で魅力ある地域であると、このように考えております。昨年五月でございますが、県を挙げてサイクルツーリズムを推進していくために、福岡県サイクルツーリズム推進協議会というものを設立をいたしました。田川地域からも田川市、香春町、大任町、田川広域観光協会、香春町観光協会がそれぞれ参加していただいているところであります。この協議会のもとで、現在県では田川地域における新たな広域モデルルートの開発に向けまして、関係市町村と協議を進めさせていただいているところであります。
 次に、田川地域の水道広域化に対する支援でございます。田川地域におきましては、関係者の大変な御熱意、そして御尽力によりまして、ことしの四月から田川広域水道企業団とその構成団体でございます一市三町の水道事業が統合されたところであります。今後田川地域におきましては、経営基盤の強化のために新たな浄水場の建設、施設の統廃合や老朽化対策などに取り組んでいかれることになっております。県といたしましては、このモデルケースであります田川地域の取り組みというものが円滑に進んでいきますよう、国の交付金を活用した財政支援や私どもの適切な助言、これを行ってまいりまして、しっかりこの田川の水道の広域化、御支援を申し上げていきたいと、このように考えております。
 次に、使用料、手数料などに係るキャッシュレス決済の導入についてお尋ねがございました。キャッシュレス決済は、近年一般的な支払い手段の一つとして急速に広まっております。県税や使用料、手数料に導入することによりまして、支払い手段が多様化され、利用される皆様の利便性が向上するのみならず、インバウンドの誘客というものを期待できるところであります。本県におきましては、クレジットカード決済を平成二十一年五月に自動車税に導入して以降、県営筑後広域公園の宿泊施設の宿泊料、九州国立博物館の観覧料などにもクレジットカード決済を導入したところであります。これらに加えまして、本年度からは新たにスマホを使ったラインペイによります決済というものを、自動車税に導入させていただいたところであります。このほかにも、他の自治体におきましてはスポーツ施設の利用料、各種申請、証明手数料などで、それぞれ導入例がございます。一方で、御承知のとおりキャッシュレス決済というのは、決済手数料など新たなコストが生じるものでございます。このため県といたしましてはコストと利便性、その両面を勘案して、どのような分野で、どのようなキャッシュレス決済手段が有効か、効果的か、これについて検討を進めていきたいと考えております。また市町村に対しましては、こうした県における検討状況、また他の自治体の先行事例について情報を広く提供してまいります。

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