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令和2年9月定例会(第9日) 本文 2020-09-18

◯二十二番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団の佐々木允です。ただいまより質問を行います。
 まずは、人種または民族を理由とする不当な差別等の解消に向けた知事の認識と決意についてお聞きをいたします。テニスの全米オープン女子シングルスで二年ぶりに優勝した大坂なおみさんは、この試合の一戦一戦において、警察官による銃殺で犠牲となった黒人の名前入りマスクをつけて入場するなど人種差別への抗議を度々訴え、大きな反響をもたらしました。そもそも人種差別の禁止については憲法第十四条において明確に規定をされていますが、残念ながら、現在もなお日本においても、また福岡においても、人種または民族を理由とした差別というのは厳然とあるのが実態であります。
 そこで一点目に、人種や民族を理由とした差別について、知事は率直にどのような見解をお持ちなのかお聞かせいただきたいと思います。
 さて、この差別については、特に日本の中で長年大きな課題となっています。それは、在日韓国・朝鮮人に対する差別であります。本県は、朝鮮半島に近いこと、また私の地元田川地域など旧産炭地域を中心に歴史的に在日韓国・朝鮮人の方々が多い地域であり、二〇一九年度末現在、特別永住者は一万一千八百六十八人と全国で七番目に多い数となっています。近年、特に在日韓国・朝鮮人に対する人種差別、ヘイトスピーチが社会問題となり、二〇一六年五月、いわゆるヘイトスピーチ解消法が可決、成立いたしました。
 そこで二点目に、在日韓国・朝鮮人に対する差別について、知事はどのような認識をしているのか、併せてヘイトスピーチ解消法の意義、そしてこれまでの本県の取組についてお聞きをしたいと思います。
 さて、この法律が施行され、国や県も取組が様々行われた中でありますが、本県で残念ながらヘイトスピーチが実際に発生するという事案が発生しました。これは、昨年三月十一日、北九州市八幡西区の折尾駅において福岡県議選立候補予定者の応援演説が行われた際、北九州朝鮮初級学校や九州朝鮮中高級学校の生徒が登校する中、おまえら日本から出て行けと言われて当たり前、朝鮮人は危険ですなどと述べたものであります。本件については、北九州朝鮮初級学校側が同年七月、福岡法務局に人権救済を申し入れております。そして、本年八月二十六日、福岡法務局は本件事案をヘイトスピーチ解消法第二条のヘイトスピーチに該当すると判断し、新聞報道でも大きく取り上げられたところであります。
 そこで三点目に、本県内で法務局がヘイトスピーチに該当すると言及する事案が発生したことについて、知事はどのように認識しているのかお聞かせください。
 四点目に、ヘイトスピーチを繰り返す団体による県営公園の使用について触れたいと思います。現在、県営公園では、デモ行進等の集合場所等で県営公園を借りることが可能となっています。この県営公園を使用し、ヘイトスピーチを繰り返す団体が集合し、ヘイトスピーチを行う場になる可能性も否定できません。
 そこで、ヘイトスピーチを繰り返す団体に対する公園利用の対応及び、もしヘイトスピーチが県営公園内で発生した場合、県として毅然とした対応を取ることについて知事の認識をお聞きします。
 五点目に、人種または民族を理由とする不当な差別等の解消に向けたさらなる取組についてであります。ヘイトスピーチに関する本県の対策としては、本県が事務局となり、北九州市、福岡市、そして福岡法務局、福岡県人権擁護委員連合会が構成員として、ヘイトスピーチ対策連絡会議が設置されています。これまでの開催状況、そして開催状況に対する認識、本件を受けての今後の取組についてお聞きします。
 本県は、今年八月一日現在、外国人人口は六万九千四百六十九人いらっしゃいます。この数は、この五年間で一・五倍も増えている数であり、多くの国や民族の皆様が本県に居住をしておられます。県知事は県民に寄り添うという点において、これら外国人の皆様にも寄り添う知事であっていただきたいと思いますし、人種というあらがえない理由によって差別や排斥をするような行為は決して許さないということを明確にする知事であってほしいと強く願っています。
 以上の観点から、知事として人種差別、ヘイトスピーチに関する取組をどう強化していくのか、また人種差別撤廃に向けた力強い決意も含めお聞かせください。
 次に、待機児童の解消に向けた本県の取組についてお聞きいたします。二〇一六年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた、保育園落ちたという言葉を知事は覚えていらっしゃいますでしょうか。待機児童問題の深刻さを表した保護者の悲痛なメッセージは、その後の対策推進に大きな影響を与えました。しかし、国が目標としていた今年度末までの待機児童ゼロという目標は残念ながら絶望的であり、現在でもなお国全体で一万二千人もの待機児童がいらっしゃいます。
 さて、そういった中、本県では第一期ふくおか子ども・子育て応援総合プランにおいて、待機児童解消に向けて二〇一九年度末までに待機児童ゼロの目標を掲げていました。しかし、第一期プランの期間における待機児童の現状は、基準年度である二〇一四年度三百十五人に対して、結果として基準年度を一度も下回ることなく、終了年である二〇一九年度、昨年度においては、その数四倍にも近い千二百三十二人もの待機児童が本県内に発生をしております。この点について、二〇一九年九月の定例会において、我が会派の後藤香織県議がただしたところ、保育需要の伸びが市町村の見込みを大きく上回ったと知事は答弁をしておられます。しかし、同プランにおいては、目標数値の達成状況について、外部有識者等で構成される会議において点検、評価してきたはずであります。
 そこで、第一期の施策展開のどこに問題があったために多くの待機児童を生み出す結果になったのか、点検、評価やその後の施策展開などについてお示ししていただいた上で、知事にその認識をお聞きしたいと思います。そして、知事、先ほど申し上げたとおり、待機児童というのは子育て家庭に深刻な問題を抱えさせます。結果としてこのような状況を招いた責任をどのように考えているのか答弁を求めます。
 二点目に、現状においても多くの待機児童が発生していると聞き及んでいますが、直近の待機児童数、待機児童率の現状が全国と比較してどのようになっているのか、過去の比較や推移と併せてお答えください。また、そのことに対する認識もお聞かせください。
 三点目に、保育の受皿整備、保育人材の確保等についてお聞きします。八月三十一日、福岡県待機児童等対策協議会では、保育の受皿整備の推進及び保育人材の確保についてKPIを設けました。しかし、その中身は来年度、二〇二一年度までに県内の小規模保育事業所数を増加させる、養成校卒業者の県内保育所等就職率を向上させるとだけあります。そもそもKPIとは、一般的に重要経営指標と言われるもので、明確性、達成可能性に加え、計量性も重要であるはずです。しかし、このKPIでは小規模保育事業所を一つでも、県内保育所等就職率を〇・一%でも増加すれば達成した数字になってしまいます。
 そこで、まず今回のKPIとしてこのようなことを示し、そして具体的な数値目標をなぜ設けなかったのでしょうか、お答えください。その上で、KPIなのですから、具体的な数値目標を再度定めるべきだと思います。その点について、再検討を図ることについて知事の認識と取組をお聞きします。
 この項の最後に、第二期ふくおか子ども・子育て応援総合プランにおける待機児童対策についてお聞きします。第二期においても待機児童の目標はゼロ人としています。先ほど申し上げたような、達成はおろか悪化させた結果を招いた上に、数値目標のないKPIを設けて待機児童ゼロを目指すということは到底できないのではないかと思うのは私だけではないはずです。
 そこで、目標年度までに待機児童ゼロという目標の達成に向けて、具体的にどのように進めていくのか、とりわけ設置権者である市町村の取組をどう促すのか、具体的かつ詳細にお答えください。
 そして、前回の反省の上に立って、知事は、待機児童解消に不退転の決意でぜひ臨んでいただきたいと思います。その決意をお聞きし、一般質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
7 : ◯議長(吉松 源昭君)↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット)
◯議長(吉松 源昭君) 小川知事。
*知事答弁
8 : ◯知事(小川 洋君)↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット)
◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、人種、民族に関する差別でございます。我が国では、全ての国民が差別をされないことが憲法第十四条で定められておりまして、また世界人権宣言第二条におきましても、全ての人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教などいかなる事由による差別も受けることなく、この宣言に掲げる全ての権利と自由を享有することができると、その旨うたわれているところであります。国内外におきまして、こうした理念は広く共有をされておりまして、人種、民族の違いにより差別をされるようなことは決してあってはならないと、このように考えております。
 在日韓国・朝鮮人に対する差別でございます。在日韓国・朝鮮人を含め特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチにつきましては、平成二十一年に起きました京都朝鮮第一初級学校事件が社会的関心を集める契機の一つとなりました。また、県内でも昨年、九州朝鮮中高級学校の近くで行われた街頭演説が、福岡法務局により、先月ヘイトスピーチに認定をされておりまして、大きな社会問題となっていると、このように認識をいたしております。
 次に、ヘイトスピーチ解消法でございます。国は、社会的な関心の高まりを受けまして、平成二十八年にこの法律を制定をいたしましたが、これはあらゆる差別を許さない社会の実現に向け大きな契機になるものと、このように考えております。
 これまでの本県の取組でございます。外国人の人権につきましては、在日韓国・朝鮮人の方を講師に迎え、県民講座、人権相談従事職員研修を実施しましたほか、外国人の人権をテーマに啓発ラジオ番組を放送いたしております。また、ヘイトスピーチ解消法の施行後、県や両政令市、そして法務局などで構成しておりますヘイトスピーチ対策連絡会議を設置をいたしました。さらに、ヘイトスピーチを許さないことを伝える動画を制作をいたしまして、県のホームページにこれを掲載するとともに、この動画を両政令市と連携してそれぞれのサッカー場の大型ビジョンで放映するなど、様々な方法を使って啓発に取り組んでいるところでございます。
 県内でヘイトスピーチに該当するとされた事案についてでございます。このような人権侵害事案が県内でも発生したことは残念であり、遺憾であります。こうしたことは決して許されるものではありません。このような事案が発生をしないよう、ヘイトスピーチを許さない社会の実現に向け、しっかり啓発に取り組んでいきたいと考えております。
 ヘイトスピーチを繰り返す団体による県営公園の利用でございます。県におきましては、ヘイトスピーチ解消法の施行を受けまして、県営公園の利用申請書の内容からヘイトスピーチを行うおそれがあると判断される場合の対応方針を定めております。この方針に基づきまして、法務局や警察等と連携をし、申請者に対し法律遵守を働きかけ、ヘイトスピーチの防止を図るとともに、万一ヘイトスピーチが実施された場合には、直ちに中止及び公園からの退去を求めることといたしております。
 ヘイトスピーチ対策連絡会議についてでございます。県におきましては、ヘイトスピーチ解消法の施行後、平成二十八年度に、県、両政令市、福岡法務局、福岡県人権擁護委員連合会で構成をする連絡会議というものを設置をし、これまで三回開催をしております。特に昨年度は、九州朝鮮中高級学校近くで行われましたヘイトスピーチ事案について北九州市から詳細な報告、説明を受けました。本県からは、ヘイトスピーチを許さないことを訴えるポスターを共同で作成することを提案をいたしまして、連携して啓発に取り組んできているところであります。このポスターは、県内市町村、公共施設のほか、外国人の差別事案が発生をしましたJRの駅などにおきまして、その掲示を行っているところであります。今年度もこの連絡会議を開催をいたしまして、ヘイトスピーチの解消に向け、関係者一体となって取組を進めてまいります。
 人種差別、ヘイトスピーチに関する取組でございます。ヘイトスピーチは、人としての尊厳を傷つけるだけではなく、それを見たり聞いたりした人々に不安感、また嫌悪感を与え、差別意識を助長することにつながりかねず、決して許されないものでございます。今後は、今まで以上に幅広く、また多くの人にこのヘイトスピーチを許さないというメッセージを伝えるため、コンビニでのチラシの配架、SNSを活用するとともに、連絡会議において関係機関と一層の連携を図り、様々な機会を捉え、啓発を行ってまいります。
 待機児童数の目標値に関わる点検と評価についてお尋ねがございました。これまで子ども・子育て応援総合プランの進捗について、外部有識者による福岡県子ども・子育て会議及びふくおか出会い・子育て応援協議会におきまして議論をいただいております。その中で、待機児童が増加する要因といたしまして、平成二十七年度から施行された子ども・子育て支援新制度に伴う保育要件の緩和に加えまして、令和元年度からの保育の無償化、また保育士不足などが指摘されたところでございます。これらを踏まえまして、県におきましては保育所の計画的整備と保育士の確保に重点的に取り組んでまいりました。その結果、県全体で見ますと、令和二年度では施設定員数が利用申込み者数を上回ったところでございます。しかしながら、市町村ごとにこれを見た場合に、計画どおりに整備が進んでない団体、当初の見込みより多くの保育需要が発生をした団体、また整備は進んだものの、保育士の不足で定員どおりに受入れができない団体がございまして、結果としてプランの基準年度である平成二十六年度から待機児童が増加をいたしました。この点につきましては、県が市町村に対してこれまで行ってまいりました保育の受皿整備、あるいは保育士の確保の取組についての働きかけというのが十分な効果を上げられなかったものと考えております。
 本県の待機児童の現状についてお尋ねがございました。平成二十七年四月から本年四月までの五年間におきまして、十三の都道府県で待機児童が増加をいたしております。本県の待機児童数は、二十七年四月の七百五十九人から本年四月は一千百八十九人、保育所等の申込み者数に対する待機児童の割合でございますが、二十七年四月の〇・六七%から本年四月は〇・九四%となってございます。全国で見ますと、本県の待機児童数は、平成二十七年度、九位でございましたが、本年は四位に、待機児童の割合については、データが確認できる範囲で見ますと、三十年度は十位でございましたが、今年は四位になっている状況でございます。この状況を見ますと、県としてさらに待機児童対策を強化していく必要があると、このように考えております。
 福岡県待機児童等対策協議会におけるKPIの設定でございます。今年度、県と全市町村で構成する待機児童等対策協議会におきまして、小規模保育事業所を現状の二百三十八施設から増加をさせる、養成校卒業生の県内保育所等就職率を昨年度の三〇%から向上させる、県内の保育士離職率八・七%を全国平均の八・五%まで引き下げるという三つの指標をKPIとして設定をしたところでございます。今回の設定に当たりましては、現在、待機児童の八割を三歳未満児が占めておりますことから、その受皿となる小規模保育事業に積極的に取り組むと、そういった新しい方向を打ち出したところであります。待機児童解消という目標を達成するため、今後、未就学児童数の推移、保育ニーズの動向を注視しながら、各KPIの進捗状況と取組の効果と課題、これらを協議会において毎年検証し、その見直しについても議論を進めてまいります。
 今後の取組でございます。本県の待機児童の現状を踏まえ、今後、県としては個別の市町村の現状に即した対策を行っていく必要があると強く思っております。このため、今年八月に待機児童が発生した二十九の市町村を対象にいたしましてヒアリングを実施をいたしました。地域ごとの課題やこれまでの市町村の対応について確認をしたところであります。その上で、待機児童等対策協議会に新たに実務担当者会議を設置をいたしまして、まずは、こうした特に待機児童の多い地区の市町村を対象といたしまして、三歳未満児の保育の受皿の拡大、そして保育士の確保対策等についての有効な支援を検討、実施していくことといたしております。併せて、有効な取組の手法につきましては、他の地域の市町村にも横展開を図っていきまして、県全体の待機児童の解消というものを進めていきたいと考えております。県といたしましては、待機児童は待ったなしで解決をしなければならない課題であると強く認識をいたしております。各市町村の抱える課題にしっかり向き合って、対策を着実に積み重ねていくことによりまして、その解消を図ってまいります。
9 : ◯議長(吉松 源昭君)↓ 最初のヒットへ(全 1 ヒット)
◯議長(吉松 源昭君) 佐々木允君。
10 : ◯二十二番(佐々木 允君)↓ 最初のヒットへ(全 1 ヒット)
◯二十二番(佐々木 允君)登壇 それぞれ要望をさせていただきたいと思います。
 まず、ヘイトスピーチの連絡会議について言及がありました。実態は、残念ながら昨年度は一回だけで、今年度はまだ開催があっていないと聞いております。早急に開催していただくように要望いたします。
 待機児童に関して知事は、これまでの県の取組の課題を挙げて対策の強化の必要性に言及した上で、待機児童は待ったなしで解決しなければならない課題と締めくくっておられます。であると認識しているのであれば、第一期計画の反省の上に立って、本来は、本年度には具体的な、かつ網羅的な施策が展開されているはずであります。しかし、現状を見る限り、残念ながらその本気度が感じられません。結局は設置権者である市町村の責任だと、私は、他人事のように県庁は考えているのではないか。また、そのような状況であるから、結局第一期計画でもゼロとするどころか、基準年の四倍もの待機児童を増やした結果を招いたのではないでしょうか。
 そもそも保育の提供は措置であります。ということは、この措置制度というのは行政がその責任を負っています。そして、待機児童の御家庭に来年とか五年先とかいうものはありません。今、保育園に入りたいのであります。早急に対策を練り直して、劇的に施策が進むよう強く要望し、一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

福岡県議会議員
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