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2020年12月 定例会(代表質問)

◯二十二番(佐々木 允君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団の佐々木允です。ただいまより会派代表質問を行います。また、本日は私の地元田川地域からも多くの後援会の皆様に御参加をいただきました。皆様の気持ちを胸に、ただいまから代表質問に入ります。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、冒頭ではありますけれども、十一月二十五日、本県において初めてとなる高病原性鳥インフルエンザが発生をいたしました。県も即座に対策本部を立ち上げ、県職員をはじめ国、自衛隊、宗像市、JAなど関係機関の不眠不休の対応で、七十二時間以内に処分が完了したとお聞きしております。対応された全ての皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。また、予算が先ほど議決をされました。知事におかれましては早期に執行をし、感染拡大の断固阻止に全力で取り組んでいただきますよう要望いたします。
 また、本県の新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方が百名を超え、昨日現在百九名となっています。お亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈りいたします。また、闘病中の皆様の一日も早い回復を御祈念申し上げますとともに、医療従事者をはじめ感染症対策の最前線で懸命にその対策に当たっておられる全ての皆様に心から敬意と感謝を申し上げ、質問に入ります。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きいたします。本県における新型コロナウイルス感染症の新規感染者の動向を見ると、累計で六千六十人、一日の感染者は十一月三十日から十二月六日までの一週間平均が三十七・三人と首都圏等に比べると低水準になっています。しかし、様々な感染症が流行しやすい冬季に入った今こそ、より危機感を持って医療体制を強化すべきだと考えます。
 そこで一点目に、現在の感染状況について知事はどう受け止めておられるのか、所見をお聞きします。
 また、予防策、治療の確立について、知事はどのような見解をお持ちか、併せてお答えください。
 次に、医療体制についてお聞きします。我が会派は、さきの九月定例会代表質問において、PCR検査等の体制強化について知事をただし、知事は、季節性インフルエンザのみならず、新型コロナウイルス感染症の検査も、かかりつけ医等の身近な医療機関において受けられる体制を県医師会とも協議しながら整備すると答弁されています。
 そこで二点目に、現時点でのPCR検査等の体制がどの程度拡大したのかお答えください。
 また、医療提供体制については、国の示した患者推計モデルにより算出された入院患者数に基づき、最大七百六十床を目指すとしていますが、現時点での確保数をお示しください。併せて、宿泊療養施設の確保状況についてもお答えください。
 次に、介護を必要とする感染者への対策についてお聞きをいたします。国は、高齢者は重症化のリスクが高く、施設での共同生活という形態上、一たび感染が広がると病院での治療が必要な人が相次ぐおそれがあり、高齢者施設での感染症対策を重点項目の一つに掲げています。本県ではないものの、実際に起きた介護老人保健施設のクラスターでは、入所者七十一人が感染し、そのうち十七名が死亡、そのうち十二名は病院に入院することなく施設内で死亡しており、遺族などからは重症化のリスクが高い高齢者を施設内にとどめ続けた対応に疑問の声が上がっております。高齢者の感染に対する病床の確保について厚生労働省は、高齢者は症状の程度に限らず入院が原則として、都道府県に対し、施設での集団感染を想定して準備するよう求めています。本県においても、既に十六か所の高齢者施設でクラスターが発生していることから、介護が必要な高齢者への対応に加えて、そこで働く職員への対応について、統一した見解を共有することが重要であると考えます。
 そこで三点目に、新型コロナウイルス感染者が高齢者施設で発生した際の対応策について、具体的な指導、助言の状況及び強化に向けた今後の取組についてお答えをください。
 また、高齢者施設等で働く職員に対する定期的なPCR検査について、本日、施設内感染対策を強化するため、民間の検査機関を活用し、一斉、定期的な検査を実施するための予算が可決をいたしました。そこで、具体的にいつから検査を実施し、どの程度の頻度なのか、また対象施設について具体的にお答えをください。
 この項の最後に、リアルタイムでの病床の状況や患者情報の把握についてお聞きします。感染拡大が全国で広がる中、迅速な感染者の受入れ調整や限られた病床の有効活用をするためには、リアルタイムでの病床の状況や患者情報の把握が重要となります。既に国において、全国の医療機関の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、医療機器等の確保状況等を一元的に把握するGMIS及び患者情報を把握するHER-SYSが稼働しているものの、全ての医療機関や自治体の利用には至っておらず、早期の完全運用が求められているところであります。
 そこで、本県におけるリアルタイムでの病床の状況や患者の情報についての体制整備はどのようになっているのか、とりわけ介護が必要となる高齢の感染者の受入れ体制も含めお答えをください。
 次に、コロナ禍における県民生活の支援についてお伺いします。我が会派では、今年十月、県内在住の男女就業者千人を無作為抽出し、新型コロナウイルス感染症拡大後の雇用状況や収入の増減などについて、インターネットでアンケート調査を実施をいたしました。
 調査では、感染症拡大時に離職した人のうち、三三%の人がコロナ禍の影響によると回答をしており、その中でも自粛期間を経て働き方、生き方などを考え直したとの理由で離職した人が最も多いことが分かりました。そのうち再就職した人は一二%で、三十歳未満の男性の再就職率が高い一方、四十歳未満の女性は無職のままの割合が高くなっていることも明らかとなりました。また、個人の平均収入が三百二十七万円であるのに、年代ごとの女性の平均収入は男性よりも最大三百三十万円ほど低く、三十歳未満の女性は二百六万円と、働く世代の中では突出して低くなっているのが現実です。そして年収二百万円以下の人が一三%となっていました。世帯別では、一人親家庭の九割近くを占める母子家庭、そして非正規雇用労働者の世帯収入が特に低くなっていました。生活を維持するために実践していることを尋ねたところ、小遣いや食費を切り詰めているという実態も明らかになり、四十歳未満の女性の約五割の方は、今後さらに経済的に苦しくなると予想されています。今後、さらなる失業者の増加、あるいは生活に困窮される方が顕在化してくることも予想される中、今こそ知事がリーダーシップを発揮して、積極的な雇用対策を展開していくべきときだと考えます。その際、短期の視点と中長期の視点を持ち、戦略的に対策を講じていくことが重要であると我々は考えています。具体的には、コロナの影響で求人が大幅に減っている今の情勢の中では、職を失った県民の皆さんに対して、当面の生活を守るための緊急的な支援と将来を見据えた本格的な再就職支援をそれぞれ提供していくことが求められると思います。
 そこで一点目に、知事は、コロナ禍における現在の雇用情勢をどのように認識しておられるのか、また具体的にどのような雇用対策を講じてきたのでしょうか、それぞれお示しください。その上で、これまでの雇用対策を踏まえ、今後どのように取り組んでいくお考えなのでしょうか、答弁を求めます。
 調査では、満足度も調査をいたしました。回答では、総合的に今の生活に満足している、やや満足しているが合わせて三八%にとどまりました。また収入が四百万円未満の世帯では四八%の人が不満と答えています。一方、県が本年九月に公表された県民意識調査では、幸福実感が十点満点中六・六九点となっています。県の調査と我々の調査のどちらが正しいというのは言えませんけれども、実感としては、やはりかけ離れていると我が会派は感じます。
 そこで二点目に、生活が苦しい人を対象として、国では生活福祉資金の特例措置を現在取っています。その内容と実績について御説明いただき、この制度の周知徹底をどのように図っておられるのかお答えください。
 また、この特例措置は当初七月末までの期限で始まりましたが、その後九月末、十二月末までと二回、受付期間の延長を行い、現在に至っています。しかし、今後の雇用情勢は、内閣府が発表した十一月の月例経済報告では、先行きについて、雇用調整の動きいかんによっては弱さが増すおそれがあると厳しい判断を示すなど、長期にわたり厳しいものになる可能性が十分にあり得ます。
 そこで三点目に、十二月末の期限延長はもちろんのこと、その期間延長も三か月ごとといった小刻みな延長ではなく、半年や一年といった相当期間の延長を国に要請すべきではないでしょうか、知事の認識をお聞きします。
 加えて、返済に窮することが予想され、借入れが困難な方の生活支援をどのように行うのか答弁を求めます。
 次に、本県の各種計画についてお尋ねをいたします。新型コロナウイルス感染症、豪雨災害の頻発に関して、さきの九月定例会において我が会派の大橋克己議員が、財政改革プランの見直しについて知事をただしたところです。御存じのとおり、感染者の増大によって、国は四月七日に緊急事態宣言を発出し、それに伴い日本全体で人の移動制限の要請が行われ、本県も多くの行政活動や各種イベントが中止となりました。一方、県ではその活動の指針となる総合計画をはじめとし、各部各課で様々な計画やプランを持ち、年次目標、行政活動の成果を表す指標を定めて行政活動を行っていますが、コロナ禍で県計画に盛り込んだ行政活動も中断、縮小が余儀なくされています。
 そこで質問です。まず、現在、県策定の計画、プランは幾つあるのかお答えください。
 また、コロナ禍で影響を受け、ほとんどの県計画が目標や指標の実現、達成を求めることが困難だと考えられます。この際、コロナ後の社会情勢を踏まえ、県計画の見直し、もしくは一旦凍結などをすべきではないかと思いますが、知事の見解と方針をお聞きします。
 次に、子育てに困難を抱える家庭の支援、とりわけ支援対象児童等見守り強化事業、子供宅食の導入について質問をいたします。我が会派が実施したアンケート調査結果でも述べたように、コロナ禍にあっては、経済的不安や離職等により生活が不安定になっています。子育て家庭においては、親の鬱や精神障がい、ストレスや経済不安などは、いずれも子供への虐待につながる要因とされていることから、本県においても早急に対策を講じる必要があると思います。
 そういった中、今注目をされているのが、見守りが必要な御家庭に食品を持って居宅を訪問したり、三密を避け予約制などで食品や食事を手渡しするアウトリーチ型の事業である、子供宅食であります。これは東京都文京区で初めて導入された取組で、生活の厳しい御家庭におおむね一か月に一度程度、定期的に食品等を届けると同時に、御家庭を見守り様々な支援につないでいく仕組みであります。国においても、本年度二次補正予算で支援対象児童等見守り強化事業として、子供宅食などの支援を行う民間団体へ、全額国庫負担で一民間団体当たり約八百三十万円の補助事業が計上されたところです。
 そこで一点目に、コロナ禍において、児童虐待防止の観点から、支援対象児童等見守り強化事業の制度の意義について、知事の認識をお聞きします。
 二点目に、子供宅食の普及促進についてお聞きします。厚生労働省は九月二十四日付で、都道府県宛てに、市町村に対する本事業の周知、活用に向けた働きかけを依頼をしています。現状では、子供宅食を実際に行っている団体は小郡市に一か所あるのみでありまして、今後、市町村への働きかけを積極的に行う必要があると思います。
 そこで、県として、国の通知を受けて子供宅食を県内市町村で推進していくために、どのような支援を行っていくのかお聞きをいたします。
 次に、コロナ禍における県産品の振興についてお聞きをいたします。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、飲食店の休業や消費低迷によって、県内の農林水産物や加工食品、県産品の需要は大きく低迷をしております。そういった中、県は地元産品を特別価格で販売する福岡県ウェブ物産展を、楽天市場及びJAタウン博多うまかショップにおいて五月二日から開催をし、最大三割引きという価格設定を行い、現在もその販売は継続をされています。
 そこで一点目に、この福岡県ウェブ物産展のこれまでの販売個数や売上げ、販売実績がどのようになっているのか、また物産展の意義についてお示しください。また、その現状に対する知事の認識も併せてお聞きします。
 二点目に、県産品のうち、特に本県の工芸品の販路拡大についてお伺いいたします。今回のウェブ物産展では、経済産業大臣指定の伝統的工芸品、知事指定の特産民・工芸品といった各地の工芸品も多数取り扱っています。これら工芸品は、後継者不足などによって厳しい状況にありますが、今回のウェブ物産展を通じて広く知っていただくと同時に、販売が進むことによって販路拡大、地方創生を進める産地の振興にも貢献できる機会になると考えます。
 そこで、今回の福岡県ウェブ物産展において、国指定、県指定の工芸品の売上げ状況はどのようになっているのか、また今回の取組が県内の工芸品の販路拡大にどのような効果があったと認識しているのかお聞きします。
 三点目に、今回の福岡県ウェブ物産展の継続化についてであります。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、いわゆるECサイトを活用したネット販売は、非接触型の販売手法として注目されています。また零細企業にとっては、対面型の物産展の場合、販売員の配置や荷物搬入などで労力がかかりますが、一方で、ネット販売ではそのような労力がかからず、効率的であるという声も聞かれます。
 そこで、現在県が支援している福岡県ウェブ物産展の取組を県内の工芸品及び各地の県産品の振興策、新たな販路拡大支援策と位置づけて、継続的に取り組むべきだと思います。今後の福岡県ウェブ物産展の継続化について、知事の認識及び今後の取組についてお聞きします。
 以上、答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
◯副議長(江藤 秀之君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。十一月以降、全国的に新規患者数の増加傾向が強まっていく中、私ども福岡県の新規感染者数は、北海道、首都圏、関西圏といった感染拡大地域と比較いたしますと低水準で推移をしているところであります。また、入院または療養されている方は十二月五日時点で三百六十人、うち重症者、中等症者は四十人となっておりまして、前回の感染拡大時と比べると、まだ少ない状況にはございます。福岡コロナ警報、独自の指標、この各指標を見ていきましても、現時点では感染経路不明者の割合を除きまして、その他の基準は全部基準以下となってございます。しかしながら、感染者数が五十人を超える日も増えてきておりまして、今後の状況を警戒感を持って注視をしなければならない、併せて感染の再拡大に向けた注意喚起を続けていく必要があると、このように考えています。このため、県民の皆様にはマスク、手洗い、身体的距離、三密の回避といった新しい生活様式の実践を、また事業者の皆様には業種別ガイドラインに沿った感染防止対策の徹底などを、引き続きあらゆる機会を通じて呼びかけてまいります。
 次に、治療につきましては、現在、この感染症に広く使える特効薬はございません。このため県におきましては、福岡発のバイオベンチャー企業でありますボナック社との間で、副作用の少ない次世代医薬であります核酸医薬による治療薬の共同開発というものを進めているところであります。また、国に対しましては全国知事会を通じまして、特効薬や治療法の確立を実現すること、また治療薬等の開発を行う企業に対し重点的な支援を行うことなどを提言をいたしているところであります。
 次に、医療体制でございます。県内における一日当たりのPCR等検査能力でございますが、現時点で約五千件となっております。九月補正予算に計上した県の保健所への抗原定量検査機器、この導入が完了いたしますと約六千件まで強化をされることになります。また、診療、検査体制につきましては、発熱等の症状をお持ちの患者さんが、かかりつけ医等地域で身近な医療機関において季節性インフルエンザだけではなく、この新型コロナの診療、検査も受けられるよう、県医師会等の御協力をいただきまして、発熱患者等の診療、検査を行う医療機関を福岡県診療・検査医療機関といたしまして、現在千二百五十七の医療機関を指定しております。そのうち一千以上の医療機関でPCR検査等を受けることができるようになっております。
 次に、病床確保でございます。現時点で重症者向けの病床九十床を含め五百五十一床の病床を確保しております。引き続き最大七百六十床の確保を目指し、医療機関への働きかけと調整を行ってまいります。また、無症状者、軽症者を受け入れる宿泊療養施設につきましては、現在四つのホテル、計一千五十七室を確保しているところでありますが、今後の感染状況に応じまして最大千二百室を確保することとしております。
 次に、新型コロナウイルスの感染者が高齢者施設で発生した際の対応策でございます。入所者が感染した場合、原則入院となりますが、入院調整などのため入所を継続される場合には、専用区画内の居室に移し、他の入居者と完全に区分しながら介助を行うとともに、健康状態を小まめに観察、記録し、異変があった場合には直ちに保健所に連絡をするなど対応が必要となります。県におきましては、こうした内容について研修用の動画とテキストを作成をし、これらを用いて施設内での研修を確実に行うよう指導をしているところであります。また、感染症専門の看護師に介護施設等に訪問をしていただき、施設内のゾーニングや防護衣の着脱の方法など感染者が発生した後の対応について指導をしていただいておりまして、今後さらに多くの施設を訪問し、その指導を行ってまいります。さらに、感染者が発生をし、感染拡大が懸念をされる施設につきましては、県から感染症専門の医師や看護師を緊急に派遣することといたしております。
 高齢者施設等で働く職員に対する定期的なPCR検査についてでございます。この検査でございますが、高齢者施設や障がい者施設の入所者は、特に重症化リスクが高いことを踏まえまして、入所系施設で入所者と接する可能性がある職員を幅広く対象といたしまして、一斉に、また定期的に行うものであります。本事業に必要な予算につきまして、本日議決をいただいたところでございまして、今後速やかに準備を進め、年内に事業を開始してまいります。また、その検査の頻度でございますが、来年三月までの間に一人当たり三回を上限にこれを実施することを予定いたしております。
 次に、リアルタイムでの病床の状況、患者情報の把握についてお尋ねがございました。県の調整本部におきましては、新型コロナウイルス感染症患者の入院調整を行う際に、病床の利用状況、患者の重症度等を関係者間でリアルタイムに共有することができる独自のシステムを構築しておりまして、これを活用して円滑な調整を行っているところであります。また、新型コロナ患者を受け入れる重点医療機関では、介護が必要な高齢の患者を受け入れることができる病床を確保しているところでありまして、その利用状況についても、先ほどと同様にリアルタイムでこれが把握できるようになっているところであります。
 次に、コロナ禍における雇用情勢についてでございます。県といたしましては、十月の有効求人倍率が一・〇〇倍と、今年の一月と比較して〇・四五ポイント低下をしていること、また新規求人数が前年同月と比較して約二割減少していることなどから、雇用情勢は全体として弱い動きとなっており、引き続き十分注視する必要があると、このように考えています。こうした認識の下、県におきましては、企業の雇用維持に向けた取組の支援と、解雇等が生じた場合の再就職の支援、その両面からの取組を進めてきているところであります。雇用の維持に向けましては、県内の企業が国の雇用調整助成金を最大限活用できるよう、専門家による訪問支援等を行い、これまでに飲食、サービス業を中心に、延べ二百二社の企業を支援したところであります。また、働く場を失われた方々の当面の生計を支える目的で、全国に先駆けまして、市町村と連携して県独自の緊急短期雇用創出事業を実施しておりまして、十一月二十五日時点で学生三百七十二名、留学生百十七名を含め四千百四十九名の方々の就職を実現しているところであります。さらに、人材不足分野への転職等本格的な再就職に向けた支援を強化していくため、若者、中高年、子育て女性といった年代別、また対象別の就職支援センターに求人開拓専門員を配置するとともに、求職者向けのセミナー、ウェブを活用した合同会社説明会、県内各地におけるミニ面接会などを実施しているところであります。県といたしましては、引き続き雇用の維持確保に向けた支援と再就職の支援、この両面からの取組に全力を挙げるとともに、今後とも雇用情勢を的確に捉え、福岡労働局等関係機関とも連携しながら機動的な雇用対策を実施してまいります。
 次に、生活福祉資金貸付けの特例措置の内容と実績等についてでございます。今年三月からでございますが、県の社会福祉協議会におきまして、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付けであります緊急小口資金と生活の立て直しのための貸付けであります総合支援資金について、それぞれ特例貸付けを実施しているところであります。緊急小口資金につきましては、対象者を低所得者世帯等から、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて資金が必要となった世帯まで拡大をしておりまして、貸付け上限額を十万円から二十万円まで拡大もしております。総合支援資金につきましては、最長六か月の貸付けが可能となっておりまして、対象者につきましては、先ほど申し上げました緊急小口資金と同様、拡大をしたほか、保証人がいない場合の年一・五%の貸付利率を無利子といたしているところであります。なお、いずれの資金につきましても、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる予定となってございまして、その詳細については現在国のほうで検討が進められているところであります。この特例貸付けの十一月末までの実績でございますが、緊急小口資金につきましては五万八千五百四十九件、九十八億五千百万円余、総合支援貸付けにつきましては三万六千六百八十七件、二百五十八億四千百万円余となっており、多くの世帯における当面の資金需要に対応してきているところであります。
 生活福祉資金の特例貸付けの周知でございます。報道機関への資料提供、各戸配布広報紙であります「福岡県だより」や新聞広告、県及び県社会福祉協議会のホームページへの掲載のほか、SNSの活用、労働者支援事務所、ハローワークなどの相談窓口におけるチラシの配布など様々な媒体を活用してこれを行っておりまして、引き続き県民の皆様への広報、周知に努めてまいります。
 特例措置の延長要請でございます。新型コロナウイルス感染症の影響により、生活福祉資金の特例貸付けにつきましては今年七月以降は徐々に減少してきておりますが、依然として相当の件数の申請が続いている状況にございます。こうした状況を踏まえまして、十一月二十三日、全国知事会の場で協議を行いまして、生活福祉資金貸付け制度につきまして、今年十二月末までとされております受付期間の延長、また後年度の地方負担も含めた確実な財政措置を行うよう緊急提言を取りまとめ、国に要請を行っております。先週の菅総理大臣の記者会見におきまして、この特例貸付けの受付期間を延長するとの方針が表明されましたが、その期間については今後、国のほうで感染拡大の状況や経済情勢を見ながら決めていかれるものと考えております。その後も、さらに必要が生じた場合には、さらなる延長の要請についても検討をしてまいります。
 次に、生活福祉資金が借入れ困難な方の生活支援についてでございます。総合支援資金を三か月借り入れた世帯につきましては、生活にお困りの世帯の相談窓口である自立相談支援機関からの支援を受けること、これを要件に、さらに三か月の借入れができることとなっております。自立相談支援機関におきましては、お一人お一人の話をよくお聞きした上で、住居確保給付金の支給、就労支援や家計改善に向けた支援のほか、活用できるいろんな制度につなぐなど様々な支援を行ってきているところであります。それでもなお借入れが難しく、生活することが困難だと判断される場合には、最後のセーフティーネットであります生活保護の申請を促すことといたしております。県といたしましては、こうした取組によりまして、新型コロナウイルス感染症の影響で生活にお困りの方々の支援に全力を挙げてまいります。
 次に、県策定の計画でございますが、総合計画のほか県行政の各分野における政策及び施策の基本的な方向を定める計画は、現在三十七本ございます。新型コロナウイルス感染症によりまして、人口ビジョン・地方創生総合戦略におきましては外国人入国者数や延べ宿泊者数、交通ビジョンにおきましては鉄道利用者数や乗合バス利用者数などの数値目標の達成に影響が出るなど、現時点で全体の七割に当たる計画に影響が生じている状況でございます。今後、新型コロナウイルス感染症の終息に向けた状況のこれからの推移、これを見ながら計画ごとに検証を行い、必要に応じ適宜見直しを行ってまいります。
 次に、支援対象児童等見守り強化事業についてお尋ねがございました。現在、市町村が設置をしております要保護児童対策地域協議会で把握しております支援が必要なお子さんに対しては、学校、保育所、市町村、児童相談所等の関係機関が電話や家庭訪問等により定期的に、その状況の確認を行っているところであります。これに加えて、この五月からでございますが、新たに始まった国の支援対象児童等見守り強化事業、この事業は市町村から委託を受けた民間団体等が食事の宅配等を通じて、支援が必要なお子さんの状況を把握するものでございまして、コロナ禍において児童虐待の早期発見に向け、地域での見守りを強化し、支援につなげる意義のある取組であると、このように認識しております。県におきましては、市町村に対し、これまでその事業の内容や活用事例を通知し、その周知を図ってきたところでございますが、今後は要保護児童対策地域協議会等の場を活用いたしまして、この事業の意義、内容、実施方法、先駆的な市町村の取組事例を紹介するなど市町村における事業の実施というものを働きかけてまいります。
 次に、福岡県ウェブ物産展の意義と販売実績でございます。新型コロナウイルス感染症の影響によりまして観光客の減少や百貨店での催事の中止、飲食店の休業などによりまして、対面での販売の機会や高級食材の需要というものが減少しているところであります。これを受けまして、売上げの機会を失われた事業者の販路の確保を支援するため、県産の加工品や工芸品、農林水産物などを割引価格で販売をする福岡県ウェブ物産展というものを今年の五月二日から開始しているところであります。十一月末現在のこの販売実績でございますが、販売件数は約五十六万件、売上額は約二十億円となっており、目標の十六億円を既に上回っている状況にございます。場所や時間に制限をされないネット販売の特色、特徴を生かしながら、九州はもとより関東、関西など広く日本全国からの購入につながっておりまして、県産品の販路の確保、売上げの拡大に貢献しているものと考えているところであります。
 ウェブ物産展における工芸品の売上げ状況についてお尋ねがございました。ウェブ物産展におきましては、国指定の工芸品を六十二商品、県知事指定の工芸品を三十四商品、合わせて九十六商品について掲載をいたしております。その販売件数は九十二件、売上額は約八十二万円となってございます。全体の売上げから見ますと、工芸品の割合はまだまだ少ない状況にございますが、これまでネット販売に取り組んでこなかった工芸品の事業者が、このウェブ物産展に参加することによりまして、対面によらない新たな販売方法、これを知る契機になったものと考えております。今後は、掲載商品数の増加を図ってまいります。また、新たに雇用したウェブデザイナーによりまして、工芸品の歴史、製造過程、生産者の写真など、よりそれぞれの魅力が伝わるような商品ページの作成を行い、それぞれの売上げ拡大に努めてまいります。
 次に、ウェブ物産展の継続についてお尋ねがございました。今回のウェブ物産展でございますが、県産品の知名度の向上や販路の確保、売上げの拡大に貢献していると、先ほど答弁したとおりであります。ネット販売の取引額は年々増加しておりまして、新しい生活様式が今後定着していく中で、一層その増加が見込まれるところであります。ウェブ物産展の継続につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による今後の観光客の動向、百貨店等での催事、イベントの開催の見込み、飲食店での高級食材の今後の需要の状況など勘案するとともに、本県の財政状況も踏まえて検討を進めていきたいと、このように考えております。

◯副議長(江藤 秀之君) 佐々木允君。

◯二十二番(佐々木 允君)登壇 知事に、以下、要望を三点述べさせていただきます。
 まず、生活福祉資金についての答弁をいただきました。その中で、緊急小口資金、総合支援資金の件数と金額の説明がございました。この数字を前年同期間と比較をすると、緊急小口資金は百十三倍に、総合支援資金においては千八百三十四倍にも増えています。特例措置があるので一概に比較はできないかもしれませんが、この感染症が県民の生活に極めて厳しい影響をもたらしたことは、この差からも明確であります。また、対応に当たる市町村社会福祉協議会では、急激に増えた業務で、本来行うべき業務が滞っているという声も聞きます。知事には県社協を通じて実態をつかみ、支援が必要であれば、その対応に当たっていただくよう要望いたします。
 また、周知に関しては、同資金の受付窓口である市町村社会福祉協議会の連絡先、これは先ほど答弁でもありましたけれども、例えば県社協のホームページを検索をしても、具体的に各市町村社会福祉協議会の開所時間、そういったものが詳細に案内がありません。また、そもそも探すにもすごく見にくい状況になっていたりとかするわけでありまして、今後さらに広報に力を入れるべきだと考えます。多くの人が目につきやすいネット広告や、分かりやすいリンク、相談時間等の情報の掲載など、きめ細かい広報、しっかり対応していただきたいと要望しておきたいと思います。
 県計画の見直しについての答弁もいただきました。知事は、必要に応じて適宜見直しを行うと答弁をされました。確かに、目下の情勢の中で決めにくい部分もあろうかと思います。しかし、予算や県民生活に深く関係する計画も多く、収束時期が見えない中で七割もの影響が出た県計画を、いつまでそのままにしておくのか、このことは多くの県民が疑問を持つところであると思います。影響が大きい計画からでも早急に検証作業に着手をし、併せて早急に軌道修正等を図ることが、実態を踏まえた行政運営及び県民生活の安定につながると思います。知事のリーダーシップを強く求めます。
 それでは次に、再生可能エネルギー先進県の取組についてお伺いします。資源エネルギー庁によると、本県は二〇二〇年六月時点で、固定価格買取り制度に基づく再生可能エネルギー発電設備の新規導入量は全国七位でありまして、福岡県地球温暖化対策実行計画では、本県は再生可能エネルギー先進県の一つになっているとしています。また、二〇一九年度に策定した県総合戦略においては、県内における再生可能エネルギーの累積導入量を二〇二四年度末に二〇一八年度比四〇%増の三百二十万キロワットとする目標を設定しております。導入に向けたより一層の取組が必要であります。
 そこで一点目に、本県では教育委員会、警察本部所管の施設を含む県有施設における再生可能エネルギー発電設備の導入状況はどうなっているのか、知事にお聞きします。
 次に、県有施設における再生可能エネルギーの使用、そのことについてお聞きします。世界レベルでは、企業が自らの事業の使用電力を一〇〇%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブRE一〇〇に、環境省は二〇一八年六月に公的機関としては世界で初めてアンバサダーとして参画しました。そして、RE一〇〇の取組の普及のほか、自らの官舎や施設での再エネ電気導入に向けた率先的な取組、またその輪を広げていくこととしています。また、日本国内では、企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体が使用電力を一〇〇%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ一〇〇%利用を促進する新たな枠組み、再エネ一〇〇宣言REアクションに二〇二〇年十月現在で八十八団体が登録、参加をしております。都道府県では、神奈川県、鳥取県、熊本県がアンバサダーとして参加し、特に神奈川県では、県有施設の使用電力の再エネ一〇〇%化に向けた取組を進めることとしています。県内においては、九月一日、ユニ・チャームが本県苅田町にある九州工場で使う電力を全て再生可能エネルギーに切り替えました。年間で一般家庭千四百世帯分の排出量に当たる約五千トンのCO2を削減できると見込んでいるところであります。
 そこで二点目に、こういった世界的潮流や社会的責任を踏まえ、教育委員会、警察本部を含め、本県でも電力供給に係る一般競争入札の際に、再エネの利用などを前提とした入札をしているのか、現状についてお聞きします。その上で、県有施設の使用電力の再エネ一〇〇%化をすべきだと考えますが、知事の認識をお聞きします。
 この項の最後に、本県も再エネ一〇〇宣言REアクションにアンバサダーとして参画し、再生可能エネルギー導入促進を応援すべきだと考えますが、知事の見解をお聞きします。
 次に、農業振興、とりわけスマート農業についてお聞きをいたします。農林水産省は十一月二十七日、二〇二〇年農林業センサスの調査結果を発表しました。その中で、本県の耕地面積が三十アール以上または農産物販売金額が五十万円以上の農家を指す販売農家数は、五年前の二〇一五年は三万四千六百五十九戸であるのに対して、本年は二万七千二百五戸と、わずか五年で二一・五%も減少するという厳しい結果が明らかとなりました。また販売農家の平均年齢も六十六・九歳と高齢化が進んでいます。このように、農業従事者の減少、高齢化が進み、将来の労働力不足が懸念される中、食料生産の基盤である水田や畑地の維持をしていくためには、一つには農業従事者の確保を進めていくこと、そしてもう一つには、一人当たりの作業面積の限界を突破して、より多くの面積を効率的に管理する省力化、そして収穫増の技術革新が求められます。そしてそのためには、今注目されているスマート農業による技術革新が重要であると思います。
 そこで一点目に、知事はスマート農業の意義をどう認識され、県の農業施策にどのように位置づけているのか、お示しください。
 併せて、今後スマート農業を進めていくとしても、地域振興の観点、水田農業、施設園芸、中山間地など、それぞれ地域の特性に応じた活用が必要ではないでしょうか。そこで、興味を持たれた農家の方々がスマート農業を理解できるような実証、これはどのようになっているのか、お答えください。
 二点目に、スマート農業機械の導入についてです。確かにスマート農業機械は、これまでの機械に対し作業効率や省力化が格段に向上していますが、ロボットトラクターや環境制御機械は、いずれの価格もかなり高額となっております。過去においても高額な農業機械、設備によって農家負担が過大となり、経営が厳しくなった農家も少なくはありません。
 そこで、スマート農業機械の導入には、農家の負担が過度にならないように県の支援が不可欠だと考えますが、現在、県では地域を支えている水田農業や園芸農業で、負担軽減のため、どのような支援をされているのか、お答えをください。
 その上で、さらに導入が促進されるために、今後県としてどのような支援をしていくおつもりなのかお聞きをいたします。
 次に、災害時における住宅再建の推進についてお聞きします。令和二年七月豪雨災害においては、十一月三十日時点の罹災証明発行件数によると、大牟田市で二千三百七十戸、久留米市で二百三十戸、八女市で六十一戸、みやま市で二十戸の住宅等が被災し、住民生活に甚大な被害が生じました。そして今もなお、多くの住宅が応急修理もままならない状況になっていると聞き及んでいます。
 そこで一点目に、住宅再建に関する大牟田市の意向調査について、その調査結果はどうだったのか、お聞きをいたします。
 また、住宅再建を希望されない方々が応急仮設住宅入居終了後、取り残されていくのではないかと危惧します。
 そこで二点目に、この方々を県としてどう支援していくおつもりなのかお伺いをいたします。
 住宅再建が進まない現状が長期に及んだ場合、新しい住まいを求め地域を離れる方々も出てくるなど、復興の観点からも多くの問題を生じさせます。被災された皆様が、一日でも早く住み慣れた地域に帰ってこられるための支援を、本県としてもより一層加速すべきであります。被災された家屋については、災害対策基本法に基づき、全壊、半壊等の罹災証明が自治体から交付され、その罹災証明に基づき、国は応急修理にかかる費用を支援しています。この申込みの過程において、大牟田市などでは、罹災証明の発行数と市の想定する申込み件数、実際の応急修理の申請件数に乖離があると聞き及んでいます。
 そこで三点目に、応急修理の想定申込み件数、実際の申込み件数、そして修理完了件数、このそれぞれの直近の状況についてお示しください。
 その上で、応急修理の想定申込み件数と実際の申込み件数との差異について、その原因はなぜか、お答えをいただきたいと思います。
 また、応急修理が早期に完了するよう、県はどのように支援してきたのか、また今後どのように支援していくおつもりなのか、それぞれお答えください。
 四点目に、住宅再建の迅速化に向けた県と建設業界団体との連携についてお聞きをいたします。住宅再建を図るには、それらを担う建設業者がいち早く対応し、修繕を完了することが大切であります。県では、市町村を支援するため、大手の建設業者も加盟した建設業界団体と既に協定を結んでいると承知しています。一方で、今回の大牟田市での応急修理では、市内の身近な建設事業者が中心的に対応している状況だとお聞きしています。よって、このような身近な建設事業者で構成される建設業界団体等との協定を加えて新たに締結し、災害発生前から緊密な連携を取ることが必要だと思います。
 そこで、応急修理を迅速に行うため、様々な建設業界団体との連携について、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、お答えをください。
 この項の最後に、今国会で被災者生活再建支援法が改正されましたが、その内容をお示しいただき、今後の手続や、県としての改正法の周知をどのように行われるのか、それぞれお聞きをいたします。
 次に、教職員の働き方改革及び運動部活動についてお聞きします。教職員の働き方改革については、現在県教育委員会において教職員の働き方改革取組指針を策定し、二〇一八年度から二〇二〇年度の三年間で、いわゆる超過勤務時間を二〇%削減することを目標とした上で、一月当たりの超過勤務時間が八十時間を超える者が出ないように、長時間勤務の是正、改善に努めるなど、具体的な取組を定めています。本県については、二〇一八年九月定例会において、我が会派の大田京子議員による代表質問でただし、城戸教育長は、一月当たりの超過勤務時間が八十時間を超える者が生じないことを目指しており、できる限り早期に実現できるよう働き方改革の取組を推進すると答弁しています。またそのために、超過勤務時間が八十時間を超える者等について報告を受け、各学校の実態に応じた指導、助言を行い、目標達成に努めるとも述べておられます。また、長時間労働が増大している要因の一つに、部活動指導の負担が挙げられており、教員の部活動指導の在り方についても、度々ただしてきたところです。
 勤務時間の把握については、二〇一九年一月からICカードによる勤務時間管理システムが本格導入され、勤務時間や部活動指導の時間把握が詳細に行えるようになりました。
 そこで一点目に、三月から始まった臨時休校など、イレギュラーな要素のない二〇一九年一月から同年十二月までの一年間における、県立学校の教職員のいわゆる超過勤務、以下長時間労働と述べますが、この平均時間、月八十時間を超える長時間労働のあった教職員の割合、併せて部活動指導との関係で労働時間が長くなる傾向にある教諭のみの割合、長時間労働が著しい教職員の状況について、それぞれお示しください。
 また教育長は、その実態をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。コロナ休校後の状況も含め、その認識と長時間労働の解消に向けた取組、それについてお聞きをいたします。
 二点目に、今回、教職員の勤務実態が明確となるのは、勤務時間管理システムが導入されたからであり、市町村教育委員会にも勤務管理を教職員の負担のないようなシステムで導入すべきであります。
 そこで、市町村教育委員会における勤務時間管理の現状及び教育長としてどのように認識しているのか、お聞きをいたします。
 三点目に、運動部活動指導の在り方についてであります。現在策定している福岡県運動部活動の在り方に関する指針では、休養日を週二日以上に、一日当たりの活動時間を平日は二時間程度、土日は三時間程度とするなど、詳細に定めています。
 そこで、まず私立高校について知事にお聞きします。この指針の遵守について、二〇一九年二月定例会において、我が会派の小池邦弘前県議が知事にただし、知事から、休養日や活動時間の設定の状況、部活動指導員の任用や研修の実施状況等について、来年度の早い時期に調査を実施し、取組が遅れている学校につきましては、その対応を促していきたいとの答弁がありました。
 そこで、知事に、私立高校における調査結果についてお示しいただき、その結果に対する御所見をお願いいたします。
 また、県立学校については、二〇一九年九月定例会において、我が会派の守谷正人議員が県立高校運動部の休養日の取得状況や自主練習の実施状況について教育長に質問をいたしました。
 そこで、改めて県立高校運動部の休養日の取得状況や自主練習の実施状況、併せて部活動指導員の配置状況についてお示しいただき、その状況に対する所見もお聞きをいたします。
 また、休養日を設定しても、いわゆる自主練習によって休養日となっていない実態もあると言われています。自主練習の実態についても、知事と教育長の認識をお聞きをいたします。
 この項の最後に、指針の遵守についてお聞きします。今回の福岡県運動部活動の在り方に関する指針は、県教育委員会独自で決定したものではなく、私学団体も含めた策定委員会によって決定したものであります。この点からも、私学においてもこの指針を遵守した取組が求められます。以上の点から、それぞれが指針の遵守をどう図っていくのか、また今後の実態調査の継続的な実施も含め、知事、教育長にお聞きします。
 最後に、福岡県立大学の振興及び地域貢献活動への県の支援についてお聞きします。私の地元田川市にある福岡県立大学では、人間社会学部及び看護学部の二学部、大学院も含め、総勢で約千名を超える学生の皆さんが学んでおられます。私はこれまで、二年前の会派代表質問をはじめ予算特別委員会など様々な場を通じて、福岡県立大学への支援について県の姿勢をただしてまいりました。全国的に十八歳人口が減少していき、各大学の地域間競争が厳しさを増しています。地方にある福岡県立大学が、これからも優秀な学生に選ばれる大学となるために、また地方の特性を生かした学びをつくり出し筑豊地域の振興の核として活躍していくことは、地方創生にも大きくつながると考えています。こうした視点に立って、以下、知事に質問いたします。
 まず一点目に、大学施設の改修、整備の考え方についてです。一九九二年の同大学の開設後二十八年が経過し、とりわけ前身の社会保育短期大学時代から受け継いだ一号館などの建物は築三十八年を経過して老朽化しております。一部の建物では雨漏りなども発生していると聞き及んでおります。
 そこで、現在の施設改修の状況についてお伺いします。また、これから必要となる計画的な施設改修、整備の考えについても知事にお伺いします。
 二点目に、地域振興や地元の高校などとの連携、そのことに対する大学の地域貢献活動への取組支援についてであります。福岡県立大学は、田川市郡の市町村との間で連携協定を結び、これに基づく地域振興策に積極的に取り組んでいます。また、筑豊地域の市町村からの要請に応えて、地元の児童生徒の学習支援を行う学生ボランティア活動も積極的に行われています。
 そこで、福岡県立大学の地域貢献活動の概要、取組に対して知事はどのように評価をしているのか、また今後の展開も含めて、この活動をどのように支援をしていくのか、お聞きをいたします。
 三点目に、福岡県立大学が行っている、小中高校生を対象とした不登校・ひきこもりサポートセンターの取組についてです。二〇一九年度、本県における小中高校の不登校児童生徒数は一万一千二百六十四名と調査以来最多となり、我が会派も度々この問題をただしてまいりました。福岡県立大学では、二〇〇七年度、学内の附属研究所に不登校・ひきこもりサポートセンターを設置し、不登校に悩む生徒や家庭からの相談を受け、学内フリースクール事業等の取組を現在行っています。
 そこで、同大学が取り組んできた不登校に悩む児童生徒への支援について、これまでの成果と今後の展開について知事にお聞きします。
 この項の最後に、看護師の特定行為研修についてお聞きします。医師の判断を待たず一定の診療補助の特定行為が行える高い専門性と技能を有する看護師を養成する特定行為研修において、来年度予定されている研修は、在宅医療の推進を目的としているものと聞いております。これを福岡県立大学で行うわけでありますが、大変重要な研修だと認識しています。現在この研修を行う機関がない筑豊地域において、福岡県立大学では、来年度の研修開始に向け施設の整備や病院等との連携調整が行われているとお聞きしております。これが実現すれば、筑豊地域では初の研修機関の指定となり、地域の高齢者福祉の向上の観点に加えて、地域の医療環境の底上げに大きく寄与すると期待しています。
 そこで、来年度の特定行為研修の開始に向けての現在の取組状況及び今後の県の支援について知事の考えをお聞きします。
 以上、答弁をお願いいたします。

◯副議長(江藤 秀之君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、県有施設における再生可能エネルギー発電設備の導入の状況でございます。昨年度末現在で、太陽光発電につきましては県立学校、警察署など六十か所で、中小水力発電につきましては県営ダム五か所で、風力発電につきましては県立高校に一か所、合計六十六か所に再生可能エネルギーの発電設備を導入いたしておりまして、その設備容量は約一・六万キロワットとなってございます。
 再エネ利用などを前提とした入札についてお尋ねがございました。県におきましては、平成二十三年度でございますが、福岡県の電力の調達に係る環境配慮方針というものを定めておりまして、まず本庁舎におきまして、再生可能エネルギーの導入状況のほか一キロワットアワー当たりの二酸化炭素排出係数、未利用エネルギーの活用状況について評価を行った上で、評価点の基準を満たした事業者に限って一般競争入札への参加を認めているところであります。また、今年六月からでございますが、その対象に総合庁舎や知事部局の単独庁舎を加えたところであります。今後、教育委員会や公安委員会の所管分につきましても、その対象に加える方向で検討してまいります。
 次に、県有施設における使用電力の再エネ一〇〇%化と再エネ一〇〇宣言REアクションアンバサダーについてでございますが、自らの施設の使用電力を一〇〇%再生可能エネルギーで賄うこと、またREアクションへの参加を企業等へ呼びかける取組というものは、再生可能エネルギーの需要を喚起するということによって、その普及を図ろうとするものであると考えております。一方で、我が福岡県におきましては、これまで再生可能エネルギーの普及促進のため、これはエネルギー使用の根っこ、基となります供給側に着目をいたしまして、その日照時間や風速といった再生可能エネルギーの適地に関する情報を提供する再生可能エネルギー導入支援システム、これは全国ではないんだろうと思いますが、そのシステムを導入してこれを運用しております、また市町村及び民間事業者への導入支援など積極的に取り組んでいるところであります。
 その結果でございますが、昨年度末時点における本県の再生可能エネルギーの導入容量は二百四十九万キロワットとなっておりまして、平成二十二年度末の三十万キロワットに比べて八倍強まで拡大しているところであります。また九州電力におきましては、昨年六月、再生可能エネルギー開発量を二〇一八年の二百万キロワットから二〇三〇年に五百万キロワットへ拡大を目指すということを発表されております。県といたしましては、新たに洋上風力発電の導入を図るなど、引き続き供給面での強化にしっかり取り組んでまいります。御指摘の県有施設の再生可能エネルギー一〇〇%化につきましては、その供給の安定性、調達先が限定されること、また調達コストの大きさ、そういったことの課題が考えられるわけであります。アンバサダーへの参画も含め再生可能エネルギーの今後の導入状況、また今申し上げたような課題も踏まえながら、今後検討を進めていきたいと考えております。
 次に、スマート農業についてお尋ねがございました。農業者の減少、またその高齢化が進んでいく中で、我が福岡県の農業の振興を図っていくためには、これまで以上にその作業を効率化をし、収量、品質、これを向上させていくことが重要であります。スマート農業は、これらの実現に大きく寄与するものだと考えております。県におきましては、農林水産振興基本計画におきまして、ICTやロボットといった先端技術の導入促進を生産力強化のための施策として位置づけております。このため昨年度からスマート農業機械の導入を進めるとともに、地域の栽培条件に応じて、その機能が最大限発揮できるよう、その実証を行っているところであります。具体的にその中身を申し上げますと、水田農業につきましてはロボットトラクターやドローンによる省力化、ミズナ、コマツナといった大規模施設園芸におきましては、AI、IoTの活用による栽培から労務、経営管理までの効率化、イチゴ、ナスにおきましては、ICT機器で収集したハウス内の環境データの活用による収量の向上、そういった点について県下三十七か所で農業者やメーカー、JA等と一体となって、それぞれの実証に取り組んでいるところであります。
 次に、スマート農業機械の導入の支援でございます。県におきましては、昨年度から園芸農業や水田農業におきまして、スマート農業機械の導入経費を助成をいたしております。園芸農業におきましては、イチゴやナスといったものの生産をする四十四の経営体がハウス内の環境をタブレット端末により遠隔で管理をいたします装置や、自動かん水施設を導入いたしております。また水田農業におきましても、二十八の経営体がGPSを搭載したロボットトラクターや、収量がリアルタイムで測定できるコンバインなどを導入しているところであります。今後とも、スマート農業機械の導入を支援するとともに、その実証によって得られた成果を取りまとめ、普及指導センターを通じて、きめ細かな栽培指導、個々の経営形態に合わせた機種の選定などについての指導を行い、スマート農業の普及拡大を図ってまいります。
 次に、大牟田市における住宅再建に関する意向調査でございます。九月の時点で罹災証明により全壊、大規模半壊及び半壊の認定を受けられた千二百十一世帯を対象に、大牟田市のほうで行った意向調査によれば、回答がありました四百九十八世帯のうち、その住宅を解体するというお答えが百六世帯、二一・三%となってございます。一方で、修理するが百五十九世帯、解体しないが百十四世帯で、合わせて二百七十三世帯、五四・八%が被災した住宅に住み続けると回答されているわけであります。また検討中、また意向を明らかにされていない世帯が百十九世帯、二三・九%となっているところであります。大牟田市におきましては、十一月に設置をいたしました地域支え合いセンターを通じまして、回答を寄せられなかった七百十三世帯を含めて全ての被災世帯を訪問し、それぞれの再建の意向の確認、把握を進めているところでございます。
 次に、住宅再建を希望されない被災者への支援でございます。大牟田市におきましては、被災世帯の生活再建をきめ細かく支援するため、先ほど申し上げました地域支え合いセンターにおきまして、全世帯への訪問活動や高齢者世帯等の見守り活動を通じた相談対応を行ってきているところであります。この地域支え合いセンターが中心となりまして、被災された方お一人お一人が抱えておられる具体的な課題にできるだけ早期に対応し、避難生活の長期化、これを防ぐことが重要であります。このため県といたしましては、同センターが把握をしました被災者の御意向というものを踏まえながら、大牟田市による医療、福祉サービスの利用調整等の支援活動、これに対する助言を行うとともに、市と協力をいたしまして公営住宅、民間住宅等への入居のあっせんというものを行ってまいります。
 応急修理の早期完了への支援でございます。十一月三十日現在、応急修理の申込みが可能な物件の数は七百五十九件、修理申込み件数は四百十七件ございまして、このうち修理が完了した件数は三百三十三件となっております。また、被災者の多くが御高齢でありますこと、国の制度の拡充が見込まれましたことなどから、応急修理制度や公費解体制度の活用、公営住宅等への転居などそれぞれの再建方法を決めるのに時間を要しておられる方が多いというのが状況でございます。このため県におきましては、応急修理の期限について国との間で再三協議をやりまして、延長の承認を得ているところであります。また、特に被害の大きかった大牟田市におきましては、公費解体の申請期限を来年の二月二十六日までとし、検討に必要な時間というものを確保したところであります。県といたしましては、被災者に応急修理制度を円滑に御利用いただくため、被災市による住民への説明パンフレットの作成を支援するとともに、福岡県建設業協会、福岡県建設業協同組合、福岡県木造住宅協会による福岡県建築物災害対策協議会と、平成二十八年六月ですが、締結をいたしました協定に基づき、この応急修理を実施することができる建設業者さんの名前、名簿を提供しているところであります。また、大牟田市及び久留米市に対しましては、家屋被害認定調査及び罹災証明書の発行を支援するため県職員を派遣するとともに、大牟田市に対しましては、この応急修理業務を支援するため、建築の技術職員も派遣したところであります。今後とも、修理申込みが済んでおられない世帯が多い大牟田市につきましては、市の地域支え合いセンターが行う資金面、また福祉サービス等に関する相談支援活動に対する助言を行い、被災世帯が抱えておられるそれぞれの課題の解決につなげていきたいと考えております。
 県と建設業団体との連携でございます。県におきましては、先ほど申し上げましたが、県内の建設業三団体で構成される福岡県建築物災害対策協議会と締結した協定に基づき、災害発生時には応急修理への協力要請を行い、市町村による応急修理の迅速な実施というものを支援してきているところであります。今回の豪雨災害を見てみますと、大牟田市や久留米市から地元の大工さんや小規模な工務店へ工事を依頼しておられる被災者が多いと、このように伺っております。このため、今後さらに応急修理を円滑に進めていくため、こういった地域の身近な建設事業者で構成される団体との間で協定締結に向けた協議を進めていきたいと考えております。
 次に、被災者生活再建法の改正であります。今般の改正法の内容でございます。被災者生活再建支援金の対象といたしまして、大規模半壊に至らないものの相当規模の補修を要する中規模半壊を追加をいたしまして、住宅の再建方法に応じて、建設、購入の場合は百万円、補修の場合は五十万円、賃借の場合は二十五万円をそれぞれ支給するものでございます。改正後の法の規定というのは、この前の令和二年七月豪雨で被災した世帯に遡及してこれが適用されることになってございます。中規模半壊に該当する世帯に対しましては、大牟田市のほうから法改正の内容、申請手続等必要な事項を個別に通知をすることといたしておりまして、被災者は罹災証明書の再発行申請など追加の手続は必要がありません。県といたしましては、法改正に関わる国からの通知を受けた後、直ちに県のホームページにその内容を掲載するとともに、大牟田市に対し、地域支え合いセンターによる中規模半壊に該当する世帯に対する戸別訪問等を通じて、この制度の説明を丁寧に行うなど、その周知徹底を図るよう助言をしてまいります。
 次に、私立高校における運動部活動の休養日設定状況等でございます。昨年の七月でございます、県内の六十校全て調査をいたしました。その結果、休養日については、県の運動部活動の在り方に関する指針で基準としております週二日以上を確保できている学校が八校、大会前の練習等で確保できない時期があった学校が四十七校、ほとんど確保できていない学校が五校、それぞれありました。平日の活動時間でございますが、基準とする一日二時間程度以内の学校が二十一校、大会前の練習等のため超える時期があった学校が三十四校、ほとんど超えている学校が五校、それぞれありました。生徒の健康や安全を確保していくためには、休養を適切に取る必要があります。そのため県では、私学団体の会議の場等様々な機会を捉えまして、この県の指針にのっとり適切に取り組むよう働きかけを行っているところであります。その際、大会前の練習等で対応できていない場合であっても、休養日や活動時間を学期や年間を通じて弾力的に設定できることを学校に対して説明を行っているところであります。
 部活動指導員についてでございます。任用している学校は二十五校ございまして、任用していない学校におきましても十四校は運動部顧問を複数配置をし、交代勤務を取っておられます。県といたしましては、教員の負担軽減を図るため、この県の指針にのっとり、各学校の生徒や教職員の数、校務の分担の実態等を踏まえた部活動指導員の活用について私立学校に働きかけを行っているところであります。
 自主練習についてお尋ねがございました。県の指針におきましては、筋肉の疲労をほぐすストレッチや保護者会等が実施主体となり生徒が自発的に行う活動といった、いわゆる自主練習につきましては、運動部活動とは捉えられないとしているところであります。その場合にありましても、生徒の健康や安全を確保するため、指針に基づき校長等が事前に自主練習の内容を把握し、安全指導を行うよう私立学校に働きかけを行っているところであります。
 県の指針の遵守についてでございます。生徒が生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質と能力を育んでいく基盤として運動部活動を持続可能なものとしていくためには、休養日を設けるなど生徒の健康と安全を確保することが重要であります。このため、今後も休養日や活動時間の設定、部活動指導員の任用等、県の指針で求めている事項の実施状況についての調査を行いまして、取組が遅れている私立学校に対しましては、その対応を促していきたいと考えております。
 福岡県立大学の施設改修についてお尋ねがございました。県におきましては、これまで大学と協議の上、施設の安全性や学生の修学環境を確保するため、つり天井の改修や老朽化したエレベーターや空調機の更新工事など必要な財政支援を行ってまいりました。今年度は、電気設備の更新、屋上の防水工事に必要な経費を予算措置をしているほか、新型コロナウイルス感染防止のためのトイレの改修工事に必要な経費を九月の補正予算で措置をしたところであります。県におきましては、中長期的な視点による更新、集約化、長寿命化等を計画的に進めていくため、福岡県公共施設等総合管理計画というものを策定しております。県立学校の改修、整備につきましては、今年度末までに策定をする予定の個別施設計画の中で具体的なその実施内容と時期を示してまいります。
 次に、福岡県立大学が取り組む地域貢献活動についてでございます。大学におきましては、地域住民に対する子育てや健康などに関する公開講座を実施しておりますほか、学内に社会貢献・ボランティア支援センターというものを設けまして、障がい児との交流活動、献血推進啓発活動といった学生のボランティア活動を支援をしているところであります。また、筑豊地域の小中学生の補充学習の場に学生を派遣をする土曜の風事業、不登校・ひきこもりサポートセンターの運営など、地域の抱える課題の解決に資する活動について、県におきましても必要な経費を支援しているところであります。
 さらに、県立西田川高校が単位制高校に移行することを契機といたしまして、今年度新たに県立大学の講義を西田川高校の単位として認定することなどを定めた協定を締結をし、令和四年度から運用を始める予定でございます。こうした取組は、地域の教育力の向上、そして人材の育成に資する活動であると考えておりまして、引き続きその支援を行ってまいります。
 不登校・ひきこもりサポートセンターの成果と今後の展開であります。福岡県立大学におきましては、不登校の児童生徒やその保護者に対する支援を目的といたしまして、平成十九年度に不登校・ひきこもりサポートセンターを開設をいたしました。このセンターにおきましては、子供や保護者、学校などからの電話や来所、また自らの巡回による相談事業というものを行っておりまして、昨年度は四千件を超える相談がありました。また二十年度からは、不登校のお子さんたちへの学習支援と心理的なサポートを行いますキャンパススクールを学内に開設をし、全学生の半数以上が子供サポーターとして活動をしているところであります。このスクールを利用した児童生徒のうち、再び学校に通学できるようになった割合が約六割を超えるところまで行っております。二十九年度からは、県教育委員会とともに各学校と市町村の教育支援センター、フリースクール等との連携の在り方に関する調査研究を行うとともに、不登校の児童生徒の支援に関わる職員の研修に取り組んでまいりました。県といたしましては、この福岡県立大学がこれまでの取組の成果を生かし、不登校の児童生徒に対する支援はもとより、不登校対策に取り組む人材の育成の拠点としての役割を担っていくことができるよう、引き続きその支援を行ってまいります。
 次に、看護師の特定行為研修についてでございます。高齢化の進展によりまして、在宅医療のニーズが高まっております。そういう中にありまして、医師等の判断を待たずに手順書により、胃瘻カテーテルの交換や床擦れの処置といった特定行為を行う看護師を養成するため、福岡県立大学におきましては、来年度からの特定行為研修の実施に向け、現在その必要な施設の改修、受講者の募集、選考を行っているところであります。県といたしましては、施設の改修や備品の整備に関わる費用を助成するとともに、医療機関や訪問看護ステーション等に対し、この制度のメリットや県の受講費助成制度についてその周知を図り、特定行為研修の受講というものを促進しているところであります。今後とも、県立大学におきまして高度な専門知識と、また技術を有する看護師が育成することができるよう、引き続き支援に努めてまいります。

◯副議長(江藤 秀之君) 城戸教育長。

◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県立学校における超過勤務の現状と今後の取組についてでございます。昨年一年間の教職員の超過勤務は、月平均三十九・三時間であり、月に八十時間を超える者は一〇%、また教諭のみでは月四十一・八時間、月に八十時間を超える者は一一・五%でございました。なお、超過勤務が最も多い五月では、百六十時間を超えた者が五十五名、そのうち二百時間を超えた者が三名となっております。今年度の学校再開後の状況を見ると、月平均と八十時間超過の双方において減少傾向が見られるものの、教職員の健康保持の観点から、さらなる縮減を図る必要があると考えております。このため、来年度から本格稼働する統合型校務支援システムの運用により、実効性のある取組を進めてまいります。併せまして、学校においてコロナ禍により縮小された会議や行事等について、その必要性を精査し、今後の業務改善につなげるなど、職員一人一人の意識改革を図ってまいります。
 市町村教育委員会における勤務時間管理についてでございます。本年七月の時点で、小中学校教職員の勤務時間が把握できているのは五十三市町村であり、そのうちICカード等を導入しているのは二十六市町村でございました。勤務時間を適正に把握し、学校や個々の教員にデータを明示することは、超過勤務の改善を進めるために必要不可欠な取組でございます。このため、未実施の市町村への指導とともに、実施済みの市町村に対しましても、自己申告によらず、より正確で簡便な仕組みとなるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。
 県立高校運動部の休養日の取得状況についてでございます。昨年度末に実施をいたしました令和元年八月から二年二月までの福岡県運動部活動の在り方に関する指針の運用調査によりますと、県立高校全日制課程の全運動部千七百八十三部における休養日の取得状況は、月平均十一・五日であり、指針の基準である週平均二日以上をおおむね満たしているものの、基準に満たない運動部も八十九部ございました。なお、休養日が一日もない月があった運動部はございませんでした。また、休養日に一日でも自主練習を実施した運動部は四百四十七部でございました。これを昨年度の四月から七月までの同調査の結果と比較をいたしますと、休養日の取得状況が月平均九・四日、休養日が一日もない月があった運動部が十部であったことと比較すると、改善されてきたと認識しております。なお、自主練習の実施状況に大きな変化は見られませんでした。
 運動部の部活動指導員については、本年十一月現在、県立高校全日制課程の九十五校中八十一校において百五十六名が任用されており、生徒が専門的な指導を受けることができる環境の整備と教員の負担軽減に寄与しているものと認識しております。なお、任用が進んでいない学校については、引き続き適切な任用について指導してまいります。
 自主練習の実態についてでございます。福岡県運動部活動の在り方に関する指針において、高等学校段階における自主練習は、部活動とは捉えられないものとしており、日数の制限は設けておりません。現状では、一部の運動部で大会前において休養日のほとんどに自主練習を実施している例も見受けられます。そのため、生徒の健康、安全の観点から、休養を取ることの必要性や、過度な練習によるスポーツ障がいのリスクなどについて、引き続き様々な機会を通じて周知していく必要があると認識しております。
 福岡県運動部活動の在り方に関する指針の遵守と今後の実態調査についてでございます。本指針により、運動部活動の運営が改善されてきたものの、一部の運動部においては休養日の設定等について課題が見られます。そのため、今後も校長会や運動部活動指導力向上研修会等において、本指針に基づいた運動部活動の適切な運営がなされるよう周知するとともに、実態調査を継続し、課題が改善されない学校には個別に指導してまいります。

◯副議長(江藤 秀之君) 佐々木允君。

◯二十二番(佐々木 允君)登壇 運動部活動について、知事、教育長にそれぞれ要望いたします。
 まず、私立高校において指針を遵守している高校は、知事の答弁では六十校中わずか八校、実に九割近くの高校で遵守をしていないということが明らかとなりました。また、県立高校においても、遵守できていない部活動がございました。そもそも運動部活動指針の活動時間については、公益財団法人日本スポーツ協会がスポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間についてというものを発表いたしまして、週当たりの活動時間上限を十六時間未満とすることが望ましいとしたことがきっかけであります。またスポーツ庁は、運動部活動ガイドラインの解説の中で、トレーニング効果を得るには適切な休養が必要であり、過度な練習はスポーツ障がい等のリスクを高め、体力、運動能力の向上につながらないと断言しており、明確な根拠がございます。
 こういった指針をひもとくと、そもそも自主練習か部活動かといったものは関係のないはずであります。今後、活動時間の適正化を図る中で、自主練習という名の部活動が常態化するのではないか。このことを我が会派は非常に危惧をいたします。そもそも、このガイドラインの遵守は、適切な休養の取得であります。決して難しいことではないはずであります。引き続き、ガイドラインの遵守を強く要望いたします。
 また、本項では今回取り上げませんでしたが、中学校においても同様の課題がございます。中学校に対する働きかけも教育長に要望いたします。
 また、県立学校の長時間労働についての答弁では、一割を超える教員が過労死につながるとされる月八十時間以上となっている実態を、教育長は明らかにいたしました。なお、同時期、知事部局において八十時間以上の超過勤務をした方は三・一%でありまして、その差は三倍を優に超えます。しかも、学校現場の実態を聞けば、休憩時間とされる四十五分、しっかり休憩できている実態は皆無だとお聞きしています。コロナ禍において、働き方も大きく変わったと思いますが、長時間労働の実態が深刻であることに変わりはありません。
 こういう点で我が会派は、業務改善やシステム導入、そういったものだけでは、この長時間労働を抜本的に解決することにはつながらないと考えます。従前よりずっと要望している教職員の増員に向けて、しっかりと知事部局と連携して取り組んでいただきますよう強く要望し、以上をもちまして代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

福岡県議会議員
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