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◯二十四番(佐々木 允君)登壇 改めまして、おはようございます。民主県政県議団、田川市選出の佐々木允です。ただいまより、重度障がい者の在宅生活支援について質問をいたします。
 知事は年頭の挨拶の中で、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県にしてまいりますと述べておられます。来年度当初予算案においても、一千億円の人づくりをはじめ、人に焦点を当てた事業の数々によって、ぜひ県民がその言葉を享受できる福岡県にしていただきたいと思います。そういった中、様々な障がいを持つ方々が充実した生活を送るためには、行政による伴走は欠かせません。どのような障がいがあっても、自ら望む生活を送る居場所のある社会を福岡県につくること、これもまた誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県づくりにとって欠かせない視点だと思います。
 この障がいの中でも重度の知的障がいや精神障がい、神経難病、人工呼吸器の装着をしている方々などで、日常生活の介助を必要とする重度障がい者の多くは、病院や障がい者施設などで過ごしているのが現状であります。しかし、二〇一四年、障害者の権利に関する条約の批准、二〇一六年、障害者差別解消法の施行、そして二〇一七年には、本県において障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例が制定をされるなど、次々と障がい者の権利の明確化、差別解消に向けた法制度が整備をされてまいりました。こういった中、障がい者が施設から地域への生活に移るための地域移行が推進をされていますが、重度障がい者においては、いまだこの法制度の理念も含め、様々な制限や差別、こういったものが残念ながら存在している状況にあります。
 今回の質問に当たっては、重度障がい者を支える家族や事業者の方々などから具体的な相談をいただいたところです。そのため、障がい者の中でも特に行政との関わりが重要な重度障がい者にスポットを当て、施設ではなく在宅での生活を望む方々への支援を中心に、知事に五点にわたり質問をいたします。
 まず一点目に、重度障がい者が在宅生活を営むに当たって必要不可欠なサービスに重度訪問介護事業というものがございます。この重度訪問介護事業に関して、知事の基本的な認識をお聞かせください。併せて、本県ではどれほどの方がこのサービスを利用しているのか、直近五年の推移も含めてお聞きをしたいと思います。
 二点目に、障がい福祉サービスの介護給付費については、国の事務処理要領に基づき、市町村において支給決定基準を定めておくことが適当であると書かれております。しかし、一部の自治体では基準が十分に整備されておらず、またホームページ等でも広く公開されていないため、支給決定が不明瞭であるという声も聞かれます。
 そこで、県内市町村の支給決定基準の制定状況はどのようになっているのか、全市町村による支給決定基準の制定の必要性も含めお聞かせいただきたいと思います。
 三点目に、重度訪問介護など障がい福祉サービスの支給決定においては、定型の支給決定基準とは別に、障がい者の個別の事情に応じて支給内容を追加する非定型の支給決定を実施することが可能となっています。
 そこで、県内において非定型の支給決定を行っている市町村はどれほどあるのか、非定型の支給決定の意義も含めてお聞きしたいと思います。
 四点目に、重度訪問介護を利用する当事者や事業者、御家族の話を聞くと、そもそも重度訪問介護の受付自体を断られる。家族の居住を理由に支給決定が制限させられる。例えば、ALS患者など全ての時間において介助が必要な方であるのにもかかわらず、不十分な介護時間の支給決定がなされてしまうなど、市町村によっては大きな差異があると聞いております。多くの自治体では、この重度訪問介護について正しく理解されておらず、市町村で制度運用に大きな差がある状況が見られます。その結果、家族の負担が多くなる結果になり、在宅生活を選択できなくなっている実態が見られ、これは全国各地で問題となっておりまして、マスコミ報道でも度々取り上げられているところであります。
 ともすれば、このような事態は、先ほど来述べてきた条約や法律、条例に基づいた障がい者の差別にもつながる深刻な事例ではないかと私は思います。このようなことは決して避けなければならないと思いますが、知事はどのように認識をされているのかお答えをいただきたいと思います。
 最後に、今後の県としての取組をお聞きします。知事は、就任以来、市町村との連携強化を訴えてこられました。制度の運用を適切に行うため、市町村に適切な助言を行うことも大切な連携であると思います。この重度障がい者の在宅生活や重度訪問介護については、本県でどのような実態になっているのか、十分に把握できていないのではないでしょうか。また、先ほど述べたように、市町村において制度の運用に大きな差異があってはならず、また行政担当者や医療関係者が十分に制度を知らないことによって、必要な支援が受けられない状況となることは避けるべきだと思います。
 この点を踏まえ、知事は重度障がい者への取組を強化していただきたいと思いますけれども、どのように取り組んでいかれるのか、具体的にお聞かせください。
 以上、答弁をよろしくお願いをいたします。(拍手)

◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
 まず、重度障がい者の在宅生活における重度訪問介護についての認識についてでございます。重度訪問介護は、常時介護を必要とする重度の障がいのある方の、病院や施設ではなく自宅で暮らしたい、あるいは自分らしく安心して家族と暮らしたいといった希望をかなえるために必要不可欠なサービスであると認識をいたしております。県内の重度訪問介護利用者の直近五年の推移を見てみますと、平成三十年三月時点で百九十三人でありましたが、令和四年の三月時点では二百五十六人となっておりまして、六十三人増加している状況でございます。
 次に、県内市町村における支給決定基準の制定状況についてお尋ねがございました。現在は、三十九の市町村がそれぞれ支給決定基準を定めております。県内の残る二十一の市町村は支給決定基準を定めず、利用者一人当たりの国庫負担基準額を参酌して給付決定を行っているところでございます。この給付決定を公平かつ適正に行うためには、あらかじめ支給量の決定や支給の要否についての支給決定基準を定めておくことが望ましいと考えております。このため、基準を制定していない市町村に対しましては、県が行います実地指導の際に、支給決定基準を定めるということを求めているところでございます。
 次に、重度訪問介護の非定型の支給決定についてでございます。先ほど支給決定基準について御答弁申し上げましたが、このほかにも市町村は、非定型の支給決定といたしまして、障がいの程度や、御本人、御家族の利用意向、市町村審査会の御意見などを踏まえた上で、支給決定基準を超えた支給決定を行うことができます。今年度は、これまで支給決定基準を制定している三十九の市町村のうち十二の市町村におきまして、この非定型の重度訪問介護の支給決定が行われました。第三者機関の御意見も伺った上で、障がいのある方の特別な実情というものを十分に酌み取って支給決定を行うことは、一人一人の障がいの状況に応じた適切なサービス提供を実現するということのために意義のあることであると考えております。
 重度訪問介護の支給決定につきまして、市町村間で違いが生じているという問題についてでございます。重度訪問介護の支給決定は、障害者総合支援法に基づきまして、実施主体でございます市町村が行っております。各市町村では、入浴、排せつ、食事、家事などの介護給付の内容や時間数を、市町村審査会で判定された障がい支援区分、障がいの種類、程度、介護を行う御家族の状況などから月単位で決定を行っております。このため、御本人を取り巻く状況、さらにはお住まいになっていらっしゃる市町村のサービス提供事業所が十分でないといったことから、市町村間で違いが生じている場合もあると考えております。
 重度障がい者への取組強化についてお尋ねがございました。県では、来年度、障がい者福祉計画を策定する年に当たります。この計画を策定するため、障がい福祉サービス量を見込む必要がございます。このため、市町村担当者へのヒアリングを行います。その際には、重度訪問介護サービス事業所の状況でございますとか、あるいは重度障がい者がどのようなサービスを御利用されているのかについて実態を把握し、サービス提供体制の充実が必要であると考えられる場合には、市町村において、事業所の参入を促すよう働きかけを行ってまいります。また、医療機関に対しましては、退院後や通院中の在宅サービスの仲介を担います医療ソーシャルワーカーの方々に、重度訪問介護をはじめ、訪問による障がい福祉サービスの理解を深めていただきますよう周知を図ってまいります。

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