本文の始まりです

◯四十番(佐々木 允)登壇 改めましておはようございます。民主県政県議団、田川市選出の佐々木允です。通告に従い、まず健康増進に向けた特定健診の取組強化について質問をいたします。
 本県の健康施策については、生活習慣病予防、がん検診、歯科口腔保健、フレイル予防、そして近年はスマートにソルトを使う減塩プロジェクト、スマソルなど、あらゆる機会を使い行っているところであります。
 しかし、今回は、二〇〇八年度より始まったメタボリックシンドロームに着目した健診である特定健康診査に絞って質問をいたします。まず一点目に、特定健診の意義について知事はどのように認識をしているのかお聞きしたいと思います。
 さて、二〇〇八年度から国が定めた二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる健康日本21に併せ、県も同年度から福岡県健康増進計画を策定し、現在は第三期計画が進められているところです。本計画において特定健診の実施率の向上が数値目標で示されており、現在は二〇二九年度までに特定健診実施率を七〇%にすると定めております。
 しかし、この数値目標については、第一期計画においても同様に七〇%となっており、本来であれば二〇一二年度には達成すべき指標ですが、十二年後である今日においてもその達成は未達の状況になっており、県も十七年遅れの達成を目指していることになります。
 そこで二点目に、特定健診受診率の向上のためにこれまでどのようなことを行ってきたのかお聞きしたいと思います。
 知事が後で意義について述べられますので多くは語りませんけれども、特定健診は自らの健康や生活習慣病を把握する端緒として極めて重要な役割を担っており、医療費の適正化にもつながるものであり、対象となる四十歳から七十四歳までの方々はあまねく健診を受診していただきたいと思います。
 そういった中、市町村国保や国保組合などの医療保険者は、対象となる方々に直接受診勧奨を行っているところですが、本県の特定健診対象者の約三割を占める市町村国保の場合、この十年の伸びは僅か四・六%であり、今のままでは二〇二九年度においてその達成は見通せません。都道府県別の受診率を見ても、本県は全国で三十六位の五三・一%で、全国平均五七・八%を下回っており、残念ながら私の地元田川市も含む田川地域を中心に低い状況が続いています。
 そういった結果も相まって、後期高齢者医療費における都道府県別一人当たり医療費は、二〇二二年度現在、全国平均九十五万一千七百六十七円に対して本県は百十七万五千六百二十四円と全国第一位となっており、後期高齢者医療費の県内平均を超える二十一自治体中約半数の十自治体は、特定健診受診率が県内平均を下回っています。また、二〇一九年度現在、本県の健康寿命は男性で七十二・二歳、女性で七十五・一九歳と、これも全国平均を下回っているところであります。
 県としても、計画達成が大幅に遅れていることを挽回していくために、医療保険者と両輪となって特定健診受診率向上のための取組を強力に進めていただきたいと思います。
 そこで三点目に、特定健診受診率の目標達成においてこれまでどのような課題があったのか、また目標達成に向けてこれまで以上にどのように取り組んでいかれるのかお聞きをしたいと思います。
 次に、骨髄バンク事業についてお聞きします。本件については、私自身、骨髄ドナーとしてバンクを介して骨髄提供をする機会をいただいた経験を基に、本県における同政策の充実についてこれまで二回、知事にただしてまいりました。今回は、これまでの質問の進捗状況及び今後さらなる推進について知事にお聞きしたいと思います。これまでも述べてきましたが、骨髄ドナー制度は白血病をはじめとする血液疾患患者へ末梢血幹細胞の提供を行うための制度です。御存じのとおり、この制度は多くの皆さんの登録が必要であり、またその提供はドナーの自由意思による善意で成り立っています。だからこそ、社会全体で骨髄ドナーになれる環境づくりの醸成が必要ですし、本県行政としてさらに取組を強化していただきたく強く願っています。
 この骨髄ドナーの登録者については、満五十五歳の誕生日で取消しとなります。また、病気等でも取消しになるため、毎月一定数の取消し者が発生することになります。そういった中、近年骨髄ドナー登録者の現状は厳しい状況が続いています。骨髄ドナー登録者の推移は、全国的には制度開始以来一貫して増加傾向にあったものの、コロナ禍で初めて減少に転じましたが、コロナ禍後は微増傾向に戻っています。
 一方で、本県の近年の登録者の推移を見てみると、二〇二二年でマイナス二百五十七人、二〇二三年でマイナス四百四十人、二〇二四年の十月末現在マイナス六十四人と、コロナ禍が明けても減少傾向が続いており、極めて憂慮すべき状況だと思います。
 本県で骨髄ドナーの骨髄採取が可能な医療機関は十三ございまして、西日本地域でも圧倒的に多く、ドナー適合後の環境も整っています。本県での登録者増は骨髄ドナー制度を大きく支えるものにつながると思います。
 さて、骨髄ドナーについては、適合した場合、コーディネートに進むか否かについて意向確認が郵送で行われます。その際、健康上以外の仕事の都合等を理由にコーディネートを辞退する方が、厚生労働省によると全体の三割程度存在しているとのことでした。
 確かに、ドナーは提供に当たって平日昼間に多くの検査や説明を受け、入院も伴います。しかし、患者にとっては、ドナーの提供者を以前知事がおっしゃっていただいたように、一日千秋の思いで待っておられます。だからこそ、企業や家族など社会全体の理解をより一層深めることが急務です。特に、骨髄提供可能者が二十歳から五十五歳までであることから企業の理解は大きな役割ですが、ドナー休暇制度は極めて低調です。
 そこで一点目に、ドナー休暇制度の導入促進についてはこれまでも質問し、知事も呼びかけ等について言及をされましたが、現状においても進んでいないことについてどのような課題があると認識しているのかお聞きします。その上で、今後制度導入に向けてどのように取り組むかお聞かせください。
 二点目に、大学や専門学校において学生の方が授業や出席日数を心配せずにコーディネートのために学校を休むことができるドナー公欠制度の導入についても、前回ただしてまいりました。その後どのように取り組んだのか、現状も含め、今後増やすためのさらなる取組についてお聞きをいたします。
 三点目に、骨髄ドナー登録説明員の充実についてお聞きします。本件についても以前の質問後、骨髄バンクとともに骨髄ドナー登録説明員養成研修を県が共催で開催をしていただくようになりました。この方々は、献血会に合わせボランティアの骨髄ドナー登録説明員がドナー登録会を同時に開催をして登録をお願いする役割を担っておられます。骨髄ドナー登録推進において重要な役割を担っており、説明員の充実は極めて重要です。そこで、二〇二四年四月から十月までの間、福岡県赤十字血液センターからドナー登録会の開催が可能と案内された日のうち、実際にボランティアのドナー登録説明員が活動したのは一部だとお聞きしていますが、何日開催できたのか、その認識も含めてお聞かせください。また、登録説明員の増員について一昨年度以降何人増えたのか、また多くの場所に登録説明員が参加できるようにその数をこれまで以上にどのように増やしていかれるのかお聞かせください。
 四点目に、普及啓発についてお聞きをいたします。先ほど述べたように、本県の骨髄ドナー登録者は近年減少傾向となっており、早期に逆転していくことが大切です。二〇二四年三月に行われた厚生労働省健康局による全国健康関係主管課長会議においても、特に若年層ドナーの登録者確保について各都道府県に要請をしているところであります。
 一方、若年層も含め県民に対する骨髄ドナーについての普及啓発は、登録者の減少という事実を踏まえるとまだまだ足りていないのではないかと感じます。前回答弁では、他県の好事例を参考に登録増につながる取組を検討してまいると述べられましたが、その後どのように取り組んだのかお聞かせください。また、その上で、登録者の減少という状況に鑑み、取組の強化をしていただければと思いますがいかがでしょうか。お答えいただければと思います。
 これまで骨髄バンク事業の推進に係る個別の関係について述べてまいりましたが、これらの事業を推進していくためにはやはり推進するためのエンジンである体制を整えることが必要ではないかと思います。
 そこで最後に、国の調べでは骨髄バンクの推進協議会の設置はなされているということでありますが、その開催実績をお答えください。また、もしその開催が不十分とするなら、骨髄バンク事業に関わる皆さんとともに推進を図るため体制を整え、定期的に開催していくべきだと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお聞きをいたします。
 以上よろしくお願いします。(拍手)

◯知事(服部 誠太郎)登壇 御答弁を申し上げます。
 まず、特定健診につきまして、特定健診の意義についてお尋ねがございました。特定健診は、医療保険者が四十歳から七十四歳までの方を対象としてメタボリックシンドロームに着目をし、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病のリスクの有無を検査し、リスクがある方の生活習慣をより望ましいものに変えていくための保健指導を受けていただくことを目的とした健康診査でございます。これは生活習慣病の予防や早期発見につながりますことから、県民の健康を守る上で重要な取組であると認識しております。
 この特定健診受診率向上のための取組についてでございます。県では、特定健診受診率の向上に向けて、被用者保険の被扶養者が居住地の市町村で特定健診とがん検診を同時に受診できる総合健診を推進しておりまして、市町村に対しその実施を働きかけてまいりました。現在では、県内五十九の市町村で受診しやすい場所や時間を工夫しながら実施されておるところでございます。
 また、ふくおか健康づくり県民運動では、健診受診率の向上を取組の柱の一つに位置づけまして、健康二十一世紀福岡県大会などの機会を通じ、広く県民の皆様に特定健診の受診を呼びかけておりますほか、健診受診率が低いとされている県内の中小事業所に対し健康づくりアドバイザーを派遣し、健診の受診勧奨や生活習慣の改善等について助言を行っております。
 さらに、毎年九月を特定健診・がん検診の受診促進月間と位置づけまして、県、医療保険者、関係団体が共同で統一したポスターや動画を用いて受診を呼びかけているところでございます。このような取組が受診率の向上につながったものと考えております。
 特定健診受診率の目標達成に向けた課題と今後の取組についてでございます。特定健診受診率の目標値でございます七〇%は、国が、保険加入者の健康増進に資するとともに医療費適正化の効果を期待して、全国で達成すべき目標値として平成二十年度に定めたものでございます。これを受け、全ての都道府県は七〇%を目標として設定をしております。
 本県の一昨年度の特定健診受診率は五三・一%と、増加傾向にはございますものの目標値の七〇%を達成しておりません。また、全国の平均値も五七・八%と、東京都を除く全ての道府県で目標に届いていない状況でございます。
 この要因として、医療保険者別の受診率が、市町村国保の被保険者や被用者保険の被扶養者につきましては、全国の受診率になりますが、三〇%前後にとどまっているということが挙げられます。未就業者が多い市町村国保の被保険者や被用者保険の被扶養者は、事業所の従業員の方とは異なりまして職場で勧奨されないということから、受診率向上のためには適時適切な働きかけが必要でございます。
 また、国の国民生活基礎調査によりますと、健診を受けていない理由として、心配なときはいつでも医療機関を受診できるからとか、時間が取れなかった、あるいは面倒だからとの回答が多数を占めております。先ほど申し上げましたとおり、特定健診は生活習慣病の予防や早期発見を目指すものでございますが、生活習慣病は自覚症状がなく、気づかないうちに進行し重症化する危険がございます。このため、定期的な健診が重要であることを理解してもらう必要がございます。
 以上のことから、今後は被用者保険の被扶養者に対する受診勧奨の状況を調査し、その結果を踏まえ、保険者協議会においてより効果的な勧奨方法について検討を行ってまいります。また、特定健診の定期的な受診について、県の広報媒体に加え、包括提携協定の締結企業との連携による様々な発信チャンネルを活用し発信することで県民の行動変容につなげてまいります。さらに、受診率の伸びが高い市町村の取組を分析し他の市町村に紹介いたしますことで、県全体の受診率の底上げを図ってまいります。このような取組により受診率の目標達成に向けて取り組んでまいります。
 次に、骨髄バンク事業につきまして、骨髄ドナーの休暇制度についてでございます。企業のドナー休暇制度の導入が進まない理由といたしまして、令和三年に実施をいたしましたアンケート調査によりますと、従業員の長期不在に伴う業務をカバーできない、また骨髄ドナーに関する知識不足、あるいは就業規則の改正届出事務の負担といったことが挙げられました。これは、骨髄ドナーとドナー休暇制度に関する企業の理解が十分ではないということに加え、企業にとって貴重な労働力が欠けることへのちゅうちょがあることが原因と認識いたしております。
 しかし、その一方で、骨髄移植を受けなければ生き続けられない多くの患者の方がドナーからの提供を待ち続けておられるという現実もございます。県といたしましては、多くの命の危険に直面して移植を待っている人がいるということを強く訴えますことで企業の経営者の方に御理解していただき、ドナーを応援していただきますよう、これまで以上に働きかけを実施してまいります。
 骨髄ドナーの公欠制度についてでございます。県では一昨年度、日本骨髄バンクと共同で県内の各大学にドナー公欠制度導入の働きかけを行いました。この結果、県立大学三校に導入をしていただきました。大学や専門学校では、骨髄等の提供のための入院や検査等をボランティア活動として、この中で公欠扱いとしている場合もあると考えられます。今後は、県内の大学、専門学校を対象に、現在の公欠制度の内容や実際の対応など実態を調査した上で、導入を働きかけてまいります。
 ボランティアの養成についてでございます。福岡県赤十字血液センターから、献血会場でドナー登録会の開催が可能であると案内された百九十一日のうち、ドナー登録を説明するボランティアが確保でき開催できましたのは約四分の一に当たります四十八日となっております。これは、仕事等との兼ね合いからボランティアの方が活動できない日が生じたためと思われ、ボランティアの数を増やし、少しでも開催日数を増やしていく必要があると考えます。
 次に、ボランティアの人数についてでございます。日本骨髄バンクとの共催でボランティア養成研修会を実施いたしました一昨年度から昨年度までのこの二年間で、県内で活動しているボランティアは八人増えまして、現在、二十六人となっております。今後、ボランティアのさらなる養成のため、養成研修会の案内先に骨髄移植に理解のある移植された方が所属する患者団体や骨髄移植を行う医療機関を追加いたしますとともに、休日、夜間における研修の開催について検討を行ってまいります。
 次に、ドナー登録者の増につながる取組についてでございます。県では、日本骨髄バンクが若年層のドナー登録に効果的な取組として紹介をいたしました広島県で実施されていたショッピングモールでの登録会や、東京都など十二の都府県で実施され若年層に訴求できるSNSによるドナー登録の呼びかけを令和三年度以降実施しているところでございます。また、先ほど答弁いたしましたとおり、企業や大学に向けドナー休暇制度や公欠制度の導入を働きかけましたほか、市町村に呼びかけ、成人式での啓発リーフレット等の配布を行いますとともに、県だよりによる広報にも取り組んでまいりました。引き続きこれらに取り組みますとともに、日本骨髄バンク、福岡県赤十字血液センター、骨髄バンクボランティア福岡との意見交換の場におきまして、若年層も含めた登録者を増やす効果的な手法について検討し、取組を進めてまいります。
 骨髄バンクの推進協議会についてお尋ねがございました。県では、日本骨髄バンク、福岡県赤十字血液センター、骨髄バンクボランティア福岡と円滑な意思疎通を図るための意見交換会を開催いたしております。令和三年度は二回、四年度は一回開催しておりますが、令和五年度はこのボランティア団体と日程の調整がつかず、開催することができませんでした。県といたしましても定期的に開催したいと考えておりまして、より効果的にこの事業を推進するため、開催の時期やその方法について意見交換会において協議してまいります。また、議題によっては関係者の方の意見も伺ってまいりたいと考えております。

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