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田川市、下水道計画を正式に中止 浄化槽整備に転換へ

2016年11月14日

 このたび田川市は公共下水道を正式に中止し、全市で合併浄化槽整備を進める方式での汚水処理構想とすることが表明しました これで、私が2年半近く反対を訴えてきた、田川市の公共下水道計画はついに終わりを迎えることになります。

 そもそも田川市の公共下水道計画については、基盤となる基本構想、そして計画の具体的段階を迎える全体計画がすでに終わり、田川科学技術高校裏の旧日通工跡地に最終処分場を建設することを地元と合意をした状況まで進んでいました。

 しかしその全体計画を見ると

〇総建設費390億円、収支が均衡するのは68年後(と言っても簿記等の会計ではなく単純な収入支出を見たのみ)、70年間トータルで5億円黒字、という非現実的な財政計画

〇白鳥工業団地などすべての工場が下水道に接続することを前提に計画され、工場が接続すれば現状の汚水処理費の10倍以上かかかるところもあるのを全く公表していない。また工場排水の流入量が全体の4割となっており、接続がない場合はすぐに破綻してしまう。

〇わずか13年で接続率が93%という状況という高い数値になっている。

〇工事費用の算定金額の参考にしている下水道工事は、どれも事業開始が1965年~1975年であり、物価や工事単価も大きな違いがあり、本管・枝管工事ともに過小に計算していた。

〇そもそも公営企業会計への移行が決まっている事業であるにもかかわらず、企業会計での試算はしていなかった。

〇福岡県からは、「どう考えても無理な計画」「このような事業をして財政再生団体になっても、田川市は支援しない」と厳しく糾弾されるも、その事実を公表していなかった。

 など、様々な指摘をしてきました。

 その後、2年前の計画が白紙になったことが議会で正式に表明されたものの、その後、計算をし直し、面積を伊田周辺部のみに縮小した形で再度計画が行われます。

 しかしそれでも30億円以上の赤字が被ること、またこれをつくっても、汚水処理率は数%しか上昇せず、しかも大幅に人口減をしている地域であり、投資的効果は極めて厳しいことなどが、市からも表明されていました。

 私も県議会議員という立場で、県の汚水処理関連部課とともに、田川市に対して、田川市のあるべき汚水処理のあり方について技術的助言などを行ってきました。

 田川市は、ただでさえ人口減少と高齢化、そして多くの公共施設を抱え、今後も長期にわたって財政運営は厳しい状況になるのは間違いありません。そういった中、全国的に大赤字を招いている公共下水道を新規に建設するというのは、今後の田川市の運営に大きな負担をもたらすもので私は一貫して反対でした。  またすでに市域の約60%が浄化槽による処理が行われており、残りの40%の家屋の汚水処理をどうするのか、という段階であり、そういった中公共下水道を敷設しても、汚水処理率の大幅な上昇とはなりえません。

 私は市議会議員時代から、今後の田川市の汚水処理のあり方として、以下の事を一般質問で提言してきました。

  ① 公共下水道は中止し、全市で合併浄化槽による汚水処理を進めること。

 ② 現在、国は汚水処理の10年概成に向けた新たな汚水処理構想の作成を要請している。そのため、汚水処理率をアップさせるためには既存家屋の浄化槽設置が急がれる(新築家屋はほぼすべてで浄化槽設置を行うため)。その際、17億円の下水道整備基金を使い、既存家屋の浄化槽設置について浄化槽設置補助金の上乗せ等を実施することや、既設単独槽やくみ取りの除去費用も新たに補助する、などを行い、汚水処理を促進する。

 ③ 5万人規模の自治体において、浄化槽だけで汚水処理の概成を計画している自治体は見当たらない。下水道を敷設した自治体はいずれも財政悪化に苦しんでいる中、浄化槽を主体とした汚水処理を実施すれば全国のモデルになることは間違いない。

 今回の新聞記事を見ると、私の市議会議員時代の提言が入っているものがたくさんあります。

 本当に議会の難局を乗り越え、大きな決断だったと思います。そういった意味では、二場市長の英断は非常に意義深く、今後の田川市の財政運営や汚水処理には歴史に残る決断だったと思います。

 また私自身、この汚水処理問題に携わって3年以上となります。当初は「一度始まってしまったものが変えられるはずがない」と言われながら、多くの方の知見を頂き、地道に市議会で訴えてきたこと、県議会議員となってもいろんな提言を続けてきたことが、少しでも役に立ったのなら、これほど嬉しいことはありません。

 しかし、新たなステージは今始まったばかりです。福岡県全体をみると90%以上が汚水処理出来ているにもかかわらず、田川市は60%程度と3割の家庭の雑排水がそのまま河川に流れている状況であり、環境面からも早期に解決しなければなりません。

 また、浄化槽管理を適正に行うための仕組みづくりも今後求められると思います。

 私も、公共下水道計画の中止に尽力した立場として、この結果になったこと、そのために重ねた努力の様を、ささやかな誇りとしてこれからも田川の為に頑張っていきたいと思います。



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