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総務文教委員会の審議内容

2008年11月17日

今日は総務文教委員会でした。以下の通りご報告いたします。

 

財政課

 

まず自治労田川総支部より陳情があった「地方財政の充実・強化を求める意見書提出に関する陳情」が協議されました。ほぼ原案の通り全会一致で採択されました。

 

また「中期財政見通し」が事務報告されました。

 

歳入部分では、地方交付税の減少、人口減や高齢化に伴う市税収入の減などがあげられました。

 

歳出部分ではあがり続ける扶助費や5000戸もある市営住宅の維持補修費などで今後も劇的な減少は見込めないことが報告されました。

 

よって歳入と歳出差し引いた収支では、

 

  • 平成20年度  11億7100万円
  • 平成21年度  11億5400万円
  • 平成22年度  4億800万円
  • 平成23年度  3億1700万円
  • 平成24年度  3億2100万円
  • 平成25年度  3億500万円

 

赤字が生じることになっています。しかし平成21年度まで基金(貯金)を取り崩すことで収支があうのですが、それも平成22年度で基金が底をつき、

 

  • 平成22年度  3億1700万円
  • 平成23年度  4億8400万円
  • 平成24年度  2億6400万円
  • 平成25年度  2億4100万円

 

合計13億1000万円の累積赤字が生じる見込みです。これは早期健全化団体指定の赤字額15億5700万円に迫る金額で、このまま行けば平成26年度には早期健全化団体になる可能性が濃厚になっています。

 

そもそも前回の財政見通しでは平成20年度から平成24年度までの基金を繰り入れる前の赤字額が累積で34億6000万円と言っていたものが、今回は41億7000万円とわずか1年で7億1000万円も増加しているのですから、来年は今年よりもっと赤字額が増えるのではないかと思います。となると、早期健全化団体への転落も早まる可能性があります。

 

しかしこの財政見通しは、懸案である下水道整備事業、給食センター設置事業などは見込みの金額の中には計上していません。また公営住宅などの維持補修費や庁舎耐震化事業、また交付税の推移、人口減少や不況による税収減、一方高齢化の進展による扶助費の増加などは、かなり過小計上しているように見えます。

  

また地方債残高は確実に減少しているものの、取り崩し可能な基金は平成21年度までしか工面できないのですから、もう基金に頼らない形での収支均等が喫緊の課題です。

 

また以前から述べているように、人口減少を基本とした行政施策を実施する時点に来ています。国立社会保障・人口問題研究所という団体が出した田川市の将来推計人口

 

  • 平成22年  48554人
  • 平成27年  45235人
  • 平成32年  41723人

 

となります。平成32年次では高齢化率が36%となってますので、人口減と高齢化だけを見ても大幅な税収減と負担増が待っています。

 

平成32年と言ってもあと12年後。私もまだ39歳ですし、すぐそこに迫っています。第一平成26年度からは早期健全化団体になる可能性が極めて濃厚の状況ですから、待ったなしの状況なのです。未来に責任を持つためには、抜本的な行政施策の見直しを喫緊にしないといけません。

 

皆様も、自分の家計にたとえればよく分かると思います。

 

収入では確実に給料がカットされ続けられることが分かっている。しかし支出では借金返済、養育費、両親の介護費用などで負担が増えている。しかもそれはすでにすでに貯金を崩さないと給料以上の支出をしていて、これも2年後には底をつく。

 

こういう時点でとても危機感を感じるはずです。今の田川市がそのような状況なのです。

 

必要なのは、財政危機を市職員はもちろん、市民や市議会議員に共有してもらうことです。もっと雑駁な数字ではなく、リアルな状況を示してほしいと要望しました。

 

総務防災課

 

「田川市災害応援協力に関する協定書の締結について」事務報告がありました。これは大規模災害時に市内業者に災害復旧の応援をお願いするというもので、本年10月17日より防災協定の締結を実施したとあります。すでに44業者と防災協定を結んでいるとのことです。

 

ちなみにこれを結べば、建設業法の経営事項審査の加点対象となるそうです。

 

なぜこれを急に行うようになったのかは、建設業法の経営事項審査加点だけが目的なのかどうかは分かりませんが、現在のところ建設業者だけの協定締結だけが目的のようで、委員の中からは医療機関やスーパーなどの食料品業者なども広げるべきだという意見が出ていました。

 

また基本は5社以上の業者組織としか協定締結を行っていないとのことでしたが、今は1社でも協定締結を受け入れているとのことでした。このことに関して私もHPなどでの周知を広く行うべきだと述べました。

 

人権・同和対策課

 

「小字地名の廃止について」事務報告がありました。これは昭和57年に市広報で小字地名を掲載した際、極めて差別性の強い名称の小字名があったことから、運動団体より抗議があったことが発端です。

 

その際田川市としては役所内で小字名は使用しない、ということになったのですが、不動産登記簿などでは以前残っていることから廃止を今回決定することにしたとのことです。小字地名の廃止は議会議決で可能で、12月議会で提案されます。

 

しかし昭和57年のことをこれまで引っ張ってきたのはなぜか、と委員からは批判されました。執行部も「問題であった」と述べています。私も最初は昭和57年は機関委任事務の時代なので、その法令関係でとても難しかったからなくならなかったのか?と聞きましたが、当時でも議会の議決でなくすことは可能だったとのことでした。

 

文化課

 

「伊田竪坑櫓二本煙突を含む『九州・山口の近代化産業遺産群』の暫定一覧表入りについて」事務報告がありました。

 

現状としては、まずこの暫定一覧表入りを可能にする条件として、伊田竪坑櫓・二本煙突とも国の重要文化財の指定が必要とのことでした。しかしこれだけでは不可能との見解もあり、周辺の炭坑遺産の保存や、発掘作業、山本作兵衛氏の記録画なども含めた動きをすべきとのことでした。

 

国宝の平泉の中尊寺金色堂も今回世界遺産から外れているのですから、並大抵のことでは出来ません。また新たな財政負担が生じるのであれば、財政負担を生じてでも世界遺産登録を目指す意義を述べていただかなければなりません。

 

また「二本煙突築100周年記念式典の報告について」も事務報告がありました。今回は特別招待者として大韓民国および中華人民共和国の駐福岡総領事をお呼びしたとのことでした。

 

今回の特別招待について私が「謝罪の意味で呼んだのか」と聞くと執行部からは「謝罪という意味ではなく、追悼の意味で呼んだ」という発言がありました。私は強制連行の歴史から考えても、また政府見解である村山談話からしても一定の謝罪の意味があったのか、と思ったのですが、残念です。

 

教育総務課

 

市の公共施設における「各種減免規定の見直しについて」事務報告がありました。これは

 

  • 田川市体育施設10施設
  • 田川市中央公民館
  • 田川市美術館
  • 田川文化センター
  • 田川青少年文化ホール
  • 田川市立学校施設

 

などでこれまで「市共催は10割減免」「市後援は3割減免」「社会教育団体は5割減免」としていました。その基準を明確化することが決まったとのことです。

 

共催・後援に関しては、

 

  1. 国・地方公共団体もしくはその機関またはこれらに準ずる団体
  2. 学校または学校の連合体
  3. 公益法人(宗教法人を除く)または社会教育関係団体
  4. 市民の自発的な意思に基づき、かつ公益的な活動を行う非営利団体 

 

の4つに分類しました。

 

また田川市が認める社会教育団体としては、今後「田川市社会教育団体登録要綱」を作成し、社会教育団体の登録用件として次をあげています。

 

  1. 社会教育法第10条の規定する社会教育関係団体であると認める団体であること。
  2. 公益性のある団体であること
  3. 団体の構成員がおおむね10名以上であること。
  4. 団体の主体活動場所が田川市内であり、構成員の過半数が市内に在住し、在勤しまたは在学する者であること。

 

登録は随時とのことで、教育委員会庁舎の教育総務課に行けばいいと思います。

 

この件については、広く市民や団体に周知をする必要があるので、市広報での掲載や受付等に紙を置くなどをしてほしい、と要望しました。

 

またこの際、9月議会でおきた耐震工事に関する議会審議と今回の減額条例の一連の流れにについて、委員の中から意見がありました。しかしこの件は次の人事課での報告を行わないとよく分からないと思いますので、次にまとめて掲載します。

 

人事課

 

「『田川市教育委員会の委員長の給料の減額に関する条例』制定の専決処分について」事務報告がありました。

 

この専決処分等の経緯について、人事課は次のように述べています。

 

  1. 議会説明等に適性を欠くとともに、市長への迅速な報告、協議等を怠ったため、結果的に議会提案に不備を生じさせ、議会の混乱を招いたこと
  2. また校区保護者や生徒等市民から教育行政ひいては市政全般への不信を強く抱かせ、市民との信頼関係を根底から損なう事態に至ったこと
  3. これに対し教育行政統括の責任者として速やかにその責任を明らかにし、反省の意を表するため減額条例を制定する必要が生じた
  4. しかし議会を召集する時間的余裕がなかったため専決処分にした

 

とあります。

 

私はこの問題について、教育委員会の独立性の観点から以下のような重大な問題があると考えています。

 

第1に、教育長に対する懲戒処分は教育委員会でしか発令できません。しかし減額条例という形で事実上の「処分」を首長部局が行っているのですから、これは首長部局による教育長への「処分」の形態になっているのは明らかです。事実、会話の端々に「教育長への処分」とありましたから、それは確かだろうと思います。これは首長による教育委員会への介入と言っても過言ではありませんし、法の趣旨からも逸脱しています。

 

第2に、人事課は今回の教育長の減額条例については「形式的には、『給料の自主返納』のたちとなる」と10月31日の記者発表資料に書いています。しかし減額条例制定による減額なのですから、自主返納でも何もありません。

 

人事課長からは「教育長自ら減額の意思を示し」「そもそも給料については条例で示さないといけない」など言ってましたが、意思を示したのなら、いったん給料を満額もらい、その後市に寄付なりすることは可能ですし、給料の条例云々はまったくの話のすり替えです。

 

このことからも首長による教育長への「懲戒処分」の色合いが濃いことが分かります。

 

私は今回のことを教育長の個人擁護のつもりで述べてはいません。ただ現行の制度上、明らかに逸脱した行動を首長部局がとっていることに、大きな問題を感じます。もし教育長が問題であるということで処分するのは教育委員会の仕事であり、首長部局が考えることではないのです。

 

今後また新たに教育長が何らかの問題を起こした場合、また減額条例という裏技を使い「懲戒処分」をするのでしょうか。これこそ法の趣旨に合致しないということで同意できないと意思表示しました。またそれに伴う人事異動や文書訓告についても承知できないと述べました。

 

しかし多くは述べませんが、田川市教育委員会の機能強化もぜひ考えるべきです。事実、委員より今回の一連の流れについて、定例教育委員会でどのような審議をされたのか、と質問したら教育長より「傍聴者がいる平場では話せないから、教育委員会が終わった後話し合った」という趣旨の発言がありました。しかし、これは公式の会議でもなんでもない雑談なのですから、それを理由に「協議した」とはなりません。この件については今後も定例教育委員会の議事録を参考に総務文教委員会としても協議することになっています。

 

委員の中からは、「教育委員会は本当にいるのか、という議論にもなりかねない」と指摘する声もありました。私は教育環境の多様化と複雑化が叫ばれている今日だからこそ、教育委員会の役割は大きいと思っている一人ですが、だからこそ、もっと教育行政全般に関して独立性のあると胸を張っていえる組織になってもらいたいと思っています。

 

ほかにも委員の中からは、処分等について内示があった直後に事前に情報が流出し、議長にまで話がいったとのことだが、情報管理はどうなっているのか、という発言もありました。

 

また市長自身の任命責任や予算提案者としての責任はどうなのかという質問に対して、市長は自身の懲戒処分等は行わないと述べました。これに関しては多くは語りませんが、これが今の田川市長の姿勢なのだと言うことです。

 

そして議会として言うとすれば、今回の専決処分について正副議長にはなんの連絡もしていなかったとのことでした。これまでの専決処分では正副議長にはかならず連絡をしてきていました。これについても議会軽視ではないかと述べました。

  

以上が今日の総務文教委員会の審議です。打つにの1時間30分かかりました。この手の報告は時間も労力もかかりますが、この報告で市議会でどのような会議が行われているのか、市民や市役所職員の方々がご理解いただければ幸いです(^^)

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