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1万2千円ばら撒くにもコストがかかるんです。

2008年11月12日

今日の与党の定額給付金なるものの決定に、自治体議員の一人として驚いたと同時に、こんな決定しか出来ない自民党・公明党政権は一日も早く政権を譲るべきだと改めて強く感じました。

 

以下は引用です。

 

【定額給付金】市町村の混乱不可避 丸投げ年内支給

 自民、公明両党が12日に大枠を決定した「定額給付金」は、政府・与党内でもめた所得制限のあり方や支給手続きなど具体的な内容のほとんどを支給窓口を担う市町村に「丸投げ」した格好だ。総務省の生活支援定額給付金実施本部で具体化の作業が本格化するが、「年度内支給」という厳しい条件の中、市町村の混乱は避けられそうにない。

 総務省の実施本部では、市町村が作成する「給付要綱」のガイドラインを早急に作成し、自治体側に説明していく。

 支給方法についてはこれまでのところ、平成21年1月1日を基準日に、住民基本台帳に掲載されている氏名、住所、生年月日などの情報から、給付対象者と給付額を決め、同年3月までに各世帯に給付金引換券を郵送などで発送、世帯主などが引換券と身
分証明となる免許証や保険証などを持参し、給付を受ける仕組みが検討されている。

 受け取る方法として最有力なのが、申請者があらかじめ指定した金融機関の口座に振り込む方式だ。現金を直接支給すると、窓口業務が煩雑になる上、虚偽の申請による二重取りや、受け取った直後のひったくりというような犯罪が発生しやすくなる問題が想定されるためだ。

 しかし、沖縄県座間味村をはじめ、人口1000人未満で指定金融機関を持たない約50町村では、振り込み方式はかえって煩雑になるため、最終的に市町村に判断を委ねる。

 所得制限をしない市町村は、全世帯主に通知して、給付すればよいが、所得制限をすると数々の問題を抱えることになる。

 21年の所得が所得制限額を超えた場合、翌年に返還することに同意する文書を申請時に提出させ、同意しなければ給付しない方法が検討されているが、事務作業が煩雑になるのは避けられない。額を決めるのも頭の痛いところだ。所得制限をすると、結果的に市町村の懐は温まる。しかし、市町村ごとに額にバラツキが出ると公平性の問題をいわれかねない。

 全国市長会の佐竹敬久会長(秋田市長)は12日の会見で、所得制限を市町村が決めることは「所得制限方式を事実上取らないということだ」と、多くの自治体が制限を設けないだろうとの見通しを示した。外国人への支給対象も市町村任せになった。永住外国人に限定するのか、納税しているすべての外国人にするのかという線引きも課題だ。(産経新聞)

(引用終了)

 

2兆円ものお金を使って行い、不況下における低所得者の対策と胸を張りながら、個人に辞退を求めたり、外国人に対する給付の有無など大きな外交問題にもなりかねないものまで市町村で判断せよなんぞ、もはや「制度」でも「政策」でもありません。思いつきで始めた「史上最大の買収行為」です。

 

また「申請のため持参」と記事に書いていますが、持参する先はもちろん市町村窓口になります。本当に行うとすればおそらく3月に近いところで発送となるでしょうから、転入出などが最も多い3月という超繁忙期に新たな仕事が入り、しかも全市民が対象ということで多くの市民がこられるでしょうから、市民課窓口が大変なことになりはしないかと心配です。

 

というかそもそも持参できない人なんかはどうするんでしょうね。持参するのに片道30分以上かかる高齢者などは持っていって帰ると、給付金の半分以上タクシー代で使っちゃうということにもなりかねません。指定金融機関への振込みに関しても、手続きが非常に煩雑になるのは必至です。

 

財政面では、この問題で市町村には補正予算を組みなおす必要もあります。いつ補正を組むのかも未定ですし、おそらく12月補正の追加提案なのか、臨時議会の召集も検討しなければなりません。

 

組織面では、この定額給付金の担当を総務部とするのか福祉部とするのかも決めなければなりません。公明党が言う低所得者対策となると福祉に近い形になると思いますし、財政を扱う総務部になるのかもしれません。

 

また所得制限となると所得情報の開示が求められますが、それは徴税吏員しか対応できないはずです。となると所得制限を課す場合は税務課ですかね??いや目的外使用になるから地方税法違反になるはずです。またこれが差押禁止債権なのか否かも聞きたいところですし、当該事務にかかる人件費は国がもってくれるのですかね??持ってくれないとなるとまた問題ですし、十分に人件費をつけてくれるかどうかもチェックしていかなければなりません。

 

この件について総務省のHPで調べてみると、鳩山総務相は11月4日の発言「実際、自治事務でやるわけですから」と発言しているのを見つけました。ということは市町村議会の議決事項になりますから、市町村議会の混乱も避けられません。ちなみに市長が「しません」ということも可能です(まあ言わないでしょうが)。

 

いま頭の中でざっと考えられる問題だけでもこれだけあります。まだまだ多くの問題があるはずですし、この対応に今全国の市町村役場の職員は苦慮していることと思います。難しいことを並べましたが、ただのバラマキと言ってもものすごいコストがかかるということをご理解していただくだけで結構です。

 

たださえコストをかけて集めた2兆円を、また莫大なコストをかけて振り分けるぐらいなら、減税措置のほうがコストは大幅に削減されます。

 

本当にこんな形で2兆円ものお金を使うのは頼むからやめてほしい。いつか振り返って「あの2兆円なんか決めたのはほんと意味なかったよな」と言われるのが関の山です。全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議長会、ぜひ反対の声を上げて下さい。私も議会内外で訴えていきます。

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